スズキ e-SKY試乗 「EVは特別じゃない」スズキが作った日常派の軽EV

スズキから軽乗用のEVがデビューする。「e-SKY」はセダンに近いワゴンスタイルで、現在軽自動車市場で中心となるスーパーハイト系ワゴンではなく、やや背の低いタイプのデザインで登場する。

2025年のジャパンモビリティショーでプロトタイプ「Vision e-Sky」として発表している。この時のデザインとほぼ同じデザインで登場する。

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このe-SKYのプロトタイプを走らせることができたので、早速お伝えしていきたい。正式発表前であり、もちろんナンバーも取得していないので、クローズドのサーキット試乗ではあったが、開発コンセプトとの整合性は確認することができた。

そのコンセプトは単純明快で、ガソリンエンジンの軽自動車から、乗り換えがスムースに行えること。EVだからといって、特別な何かがあるということではなく、EVが初めての人でも、今まで通り日常生活にちょうどいい軽自動車に仕上げることだ。

EVになると高い静粛性とトルクフルな加速感が際立つ特徴だが、あえてそうした特徴は訴求せず、あくまでもエンジン車と変わらないことに注力しているのがe-SKYの特徴だ。

早速試乗してみる。なるほど、アクセルペダルの反応はガソリン車と変わらない印象がある。動き出しで飛び出し感が少し感じられるが、これはエンジン車で言うところの「アクセルの早開き」制御とそっくりだ。つまり、アクセルペダルの開度より、トルクを出す制御で意図的にそうしているのだが、そのポイントまで似ている。

そして40km/h、60km/h、100km/hと加速させてみるが、その時の加速感もEVならではのトルクフルなものではなく、ターボ車のような力強さで加速していく。中間加速でもドカンと加速はせず、ある意味期待どおりの加速をするのだ。

また静粛性についてもフツーだ。EVは高い静粛性があり、そのためロードノイズや風切り音といったものが目立ち、そこを徹底して遮音していくことに各車注力しているのだが、e-SKYはエンジン車と同じように走行音はある。不快に感じる風切り音、ロードノイズは抑えつつも、走行していれば聞こえるであろう「自然な音」はあえて抑えていないというわけだ。

乗り心地にも配慮しているのだが、試乗場所がサーキットのため正直不明だ。滑らかな路面で、比較的一般道に近い路面といわれるサーキットだったが、アンジュレーションや凸凹はなく、急な入力が生じる場所もないので、乗り心地全般の評価は公道試乗の機会を待ちたい。ただ、印象としては「乗り心地は良さそうだ」と感じられることはお伝えしたし。それはサスペンションはソフトな味付けがされており、シートもソフトに感じるタイプなので、期待して良いと思う。

そしてドライブモードがないのも潔い。エコ、ノーマル、スポーツを装備するモデルはエンジン車、EVともに多い。果たして本当に必要なのだろうか? そうスズキは考えたようだ。開発哲学の「小・少・軽・短・美」に基づき、装備をやめている。もっとも、このドライブモードは制御プログラムを3種類作ることになり、それはそれは時間と労力が必要なアイテムだけに、賢い選択だと同調する。

そのかわり、ワンペダルで走行する機能を搭載している。これはエンジン車にはないEV独自の機能になるが、慣れると使いやすく、峠ではフットブレーキに触れることなく、快適にリズミカルに走行することができるのだ。

さてインテリアは広い。これはEVの特徴を活かしていると感じる。新しいプラットフォームで製造されたe-SKYは、こうした居住スペースや使い勝手といった部分ではEVの特徴を存分にアピールしている。ヘッドクリアランスも大きく、外観の印象より広く感じさせる内装だ。

そして何よりコクピット周りが新しい。10.1インチのディスプレイオーディを装備し、さらに「つながるナビ」を搭載している。これは単に道案内だけでなく、電池残量を考慮したルート案内をするので実用性が高い。もちろん、運転支援や安全装備系もエンジン車と遜色なく搭載され、スペーシアなどに搭載している運転サポートの音声案内も搭載しているので、同乗者も安心な機能だ。

EVで気になる航続距離は一充電距離で310km。十分な航続距離がある。日常生活には十分な電池容量であり、週末のドライブでも電池残量を考慮したナビがあれば、電池切れの不安もなくなるというわけだ。

スズキは日常生活にちょうど良いEVを目指して開発しているが、市場はどう反応するのか。現時点で価格は発表されていないが、BYDのラッコが競争力の高い価格設定をしており、スズキもかなり意識していると思う。またライバルと想定されるホンダ N-ONE eの価格をどう考えるか。ホンダは約270万円〜320万円あたりだ。

スズキはガソリン車からの乗り換えをスムースにできることをアピールしているが、給油と充電という違いは大きいと思う。自宅充電ができる環境であれば、圧倒的に有利になる。また充電の電気代もそうだが、ランニングコストは下がる。エンジンオイルはないし、ミッションもない、ブレーキは装備しているものの回生ブレーキがあるためブレーキパッドやブレーキシューの減りは少なく、ラジエターもないので凍結への対応も不要というメンテナンスフリーなことが多いのもEVの隠れた特徴だ。

そうしたメリット、デメリットは人によっても異なってくるので、じっくりと検討してみるのはいかがだろうか。

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