【JLR】635PSは何のためにあるのか 最強のディフェンダー「OCTA」に乗ってわかった、その異次元の走破力

ディフェンダーには、いくつもの顔がある。

コンパクトな90、スタンダードともいえる110、そして3列シートを備える130。以前は110と130はホイールベースが異なっていたが、現在は同じになり、オーバーハングの違いになっている。パワーユニットもディーゼル、ガソリン、PHEVなどが用意され、ユーザーの使い方に合わせて選ぶことができる。

そのなかで、ひときわ異質な存在が「DEFENDER OCTA」だ。単純にいえば、ディフェンダーの最上級モデルである。しかし、「最上級」という言葉だけではOCTAの存在意義は説明できない。

OCTAは「最強のディフェンダーを作ろう」と考えて、単純に一番大きなエンジンを載せたクルマではないのだ。最強のエンジンを載せるために、ディフェンダーそのものを作り直したクルマと言うことができる。

OCTAのボディを見ると、まず目につくのが巨大なタイヤとワイドなスタンスだ。車高は通常のディフェンダーより28mm高く、スタンスは68mm広げられている。バンパーも専用設計とされ、アプローチアングル、デパーチャーアングルを改善。渡河性能も最大1mまで高められている。

つまり、見た目がワイルドになったのではない。ワイルドな場所を走るために、ワイルドな姿になった。そこがOCTAらしく、このモデルの本質だと思う。

その象徴が、ボンネットの下に収まる4.4L V型8気筒ツインターボだ。最高出力635PS、最大トルク750Nm。ダイナミックローンチモードを使えば最大800Nmにも達する。0-100km/h加速は4.0秒。これは、2トンを大きく超える本格4WDとして考えると、ほとんど異常ともいえる数字だ。

だが、OCTAに乗ってみると、この635PSという数字が単なる「速さ自慢」ではないことがわかってくる。むしろ、このエンジンを積んだことによって、ディフェンダーというクルマの世界観が一段上に広がっていくのだ。

635PSを受け止める「6D Dynamics」

OCTAを理解するうえで、V8エンジンと同じくらい重要なのが「6D Dynamics」だ。

これはOCTAのために導入された油圧連動式のサスペンションシステムで、前後・左右のダンパーを連携させることによって、加速時のピッチ、ブレーキング時のノーズダイブ、コーナリング時のロールを抑えながら、オフロードでは大きなホイールストロークを確保する。

普通なら、オンロードで速く走ろうとすればサスペンションを硬くしたくなる。しかし、オフロードではサスペンションが大きく動かなければならない。つまり、「硬くしたい」と「柔らかく動かしたい」という、相反する要求が存在する。

OCTAは、油圧連動式の6D Dynamicsによって、路面とクルマの状態に応じてサスペンションの働き方を変えていく。これがOCTAのもう一つの特徴のひとつだ。

走り出すと「普通のディフェンダー」と違う

OCTAに乗り込む。ドアを閉めた瞬間の雰囲気は、確かにディフェンダーだ。直線的なインパネ。高い着座位置。四角いボディによって得られる広い視界。しかし、ステアリングを握った瞬間から、別物であることに気づく。

まずステアリングのレスポンスが違う。OCTAは通常のディフェンダーよりクイックなステアリングレシオを採用している。大きな車体を持つSUVなのに、ステアリング操作に対してノーズが思った以上に素早く向きを変えるのだ。

そしてアクセルを踏む。ここでV8ツインターボが目を覚ます。低回転から太いトルクが立ち上がり、635PSという数字を肌で感じながら車体が一気に前へ押し出されていく。だが、驚くのは加速そのものだけではない。「これだけのパワーを、こんな車高の高いSUVで使えるのか」という感覚なのだ。

アクセルを踏み込んだとき、普通のSUVなら車体が後ろへ沈み込む。ブレーキを踏めば前へ沈み込む。コーナーへ入れば車体が外側へ傾く。OCTAでは、これらの動きが非常に小さい。6D Dynamicsがピッチとロールを抑え、車体の姿勢をコントロールしているからだ。だから635PSを踏み込んでも、クルマが暴れる感じがない。

前回、P300eの試乗では、ディフェンダーの「上屋のゆったりした動き」について触れた。OCTAに乗ると、その印象が大きく変わる。明らかにボディの動きが抑えられている。しかし、単純にサスペンションを硬くしたような感覚ではない。ここが面白い。

つまり、「ボディは安定しているのに、サスペンションはよく動く」のである。これは本格的な悪路走破性を持ちながら、オンロードで高い運動性能を得るために非常に重要な考え方だ。

OCTAには「OCTAモード」という専用の走行モードが用意されている。

これはディフェンダー初のオフロードパフォーマンス専用モードだ。ステアリング上のボタンを長押しすることで呼び出すことができ、悪路でのアクセル、ステアリング、サスペンションなどの制御を専用のセッティングに変更する。

さらにオフロードローンチモードや、滑りやすい路面に対応した専用ABSキャリブレーションも用意される。つまり、OCTAは単に「パワーがあるディフェンダー」ではない。

635PSを使って悪路を走るための専用制御まで与えられている。このことが、OCTAのキャラクターを明確にしていると感じるのだ。

試乗車スペック
DEFENDER 0CTA P635 (26MY)
全長4940mm、全幅2065mm、全高2000mm、ホイールベース3020mm
車両重量2610kg
乗車定員5名
V型8気筒4394cc ツインターボ
最高出力467kW(635ps)/6000-7000rpm
最大トルク750Nm/1800-5855rpm
車両本体価格2190万円(26MY)(税込)
オプション価格178万3000円(税込)
合計価格2368万3000円(税込)

価格(2027MY)

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