【BYD】ラッコ試乗、日本の軽を徹底研究した軽EV。その実力と気になる弱点

2026年7月28日に中国BYDが日本市場専用の軽EVの「RACCO」を発売した。近年稀に見る新型車に対する盛り上がりがあり、注目度の高いことが伺える。

そのラッコの実際はどうなのか。日本法人のBYDオートジャパンでも、ラッコの導入に関し、手厚い保証や購入のしやすさなど、これまでにない取り組み方をしているのだ。

例えば、保証は6年/15万kmで、バッテリー8年/16万km、有償の保証では10年/20万km保証されるので、電池の劣化に対する不安は払拭できる。また購入時のローンも5年均等払いの場合、月々1万9300円から購入が可能で、5年後に50%の残価を設定できる取り組みも行なっている。ただし、50%の残価を保証するものではないのは、他の残価設定ローンと同じだ。

こうした車両を購入する場合の背景を整えた上で、実車を検討してもらいたいというのが本音だろう。そのラッコは、日本のスーパーハイトワゴンを徹底的に調べ、必要な装備や人気の装備はもれなく搭載していると言っていい。

例えば両側電動スライドドアや、足の蹴り込み動作でドアが開く機能。これは蹴り込み動作ではなく、車両が地面に照らすライトの位置を足で踏むとドアが開く仕掛けで、こちらのほうが認識率は高い。またシートアレンジも研究しつくされ、フルフラットなどはもちろん、さまざまな使い勝手に対応できるようになっていた。

そしてライバルのスーパーハイトワゴンにはない武器として、EVであることと、SDVであることがアピールできる。EVならではのトルクフルな力強さは、四人乗り状態で急な坂道でも難なく、そして静かに加速することができ、660ccでは厳しい中間加速も、EVは得意な領域として強調できる。

実際試乗してみると、まさにEVらしい走行を体験するが、思ったより静粛性は高くなかった。およそ30km/hあたりまでは、高い静粛性があるのだが、それ以上の車速になると走行音が入ってくる。それと乗り心地も良くなかった。日産・ルークスやダイハツ・タント、そしてホンダ・N-BOXのほうが乗り心地は良い。

常にゴトゴトとした音がするので、しなやかな乗り心地に慣れているユーザーには気になるポイントだと思う。それとステアリングの操舵フィールがやや重い。スポーツモードがあり、そのモードではステアリングのセンターの座りがしっかりとして、操舵フィールも手応えがあり、良い感じになるが、ノーマル(コンフォート)モード時のステア操舵は他社と比較すれば、もう少し軽い方がいいだろう。それとセンターの座りももう少し欲しいところだ。

もうひとつ気になったのが、高荷重になるコーナリングでは頼りないことだ。腰砕けのようなフィールもあり、改善を望むポイントだ。特にスーパーハイトワゴンなので、ロールも感じやすいため、不安要素は取り除きたい。

これらの気になるポイントは、じつはタイヤに起因している可能性が考えられる。ラッコのOEM装着は中国の「Good Ride」と「サイレン(SAILUN)」で、グッドライドは日本法人もあり、1958年創業の歴史もある。また中国国内ではメジャーなブランドだ。

一方のサイレンは2002年創業の若い企業だが、中国国内ではそれなりのシェアを持っているようだ。このタイヤが乗り心地のゴトゴトや走行音、そして腰砕けに感じたフィールの原因かもしれない。あるいはダンパーとスプリングの熟成が不足していることも考えられるため、タイヤを変えて試乗してみたくなったのだ。

さて、ライバルにはないUSPとしてSDVがある。OTAによってアップデートが可能で、購入後も進化するクルマとして所有できるのは大きい。

最近、こうしたOTA対応をようやく欧州のプレミアムモデルも国内導入が始ったばかりで、BYDの先進性が際立つのだ。

OTAが可能な領域は明確には示されていないが、BYDオートジャパンによれば、全領域で可能であり、カタログスペックが変わるような領域も技術的には可能になっている説明している。ただ現実的には変更手続きが必要になり、現状ではかなり複雑な要件となるため、スペック変更は当面行わないはずだ。ただ、将来的には可能になってくるはずだ。

したがって、直近ではIVI系、インフォテイメント関連のアップデートが可能になり、常にアプリケーションは最新の状態を維持することができるわけだ。

技術的にフォーカスしたいのがX-Packだ。BYDは電動ユニットをできるだけ一つのユニットにまとめる3 in 1、5 in 1、そして8 in 1などがあるのだが、軽自動車のボンネット内に8 in 1ユニットを搭載すると、クラッシャブルゾーンが取れないため、新たにX-Packというユニットをラッコのために開発している。

このユニットは高電圧と低電圧を制御するものすべてをX-Packにまとめ、フロアにあるバッテリーの直上に設置している。そのため、フロントには駆動モーターと減速機のみになっており、衝突時のクラッシャブルゾーンを作っているのだ。つまり、軽自動車でなければ、X-Packは不要なのだが、日本市場専用のラッコには専用の技術開発をしている点もBYDの本気度が伺えるというわけだ。

諸元

価格

政府CEV補助金:15万円
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