BYDオートジャパンは2026年9月29日、CセグメントのクロスオーバーSUV「ATTO 3」を大幅に刷新した新型「ATTO 3 EX」を発売した。

このATTO 3 EXは、見かけ上は既存のATTO 3の大幅マイナーチェンジであるが、プラットフォームを含めて実質的なモデルチェンジである。

ATTO 3は中国では2022年からBYD王朝シリーズの「元」として発売されており、第1世代のe-プラットフォーム3.0を採用していた。BYDはその後も技術革新を繰り返し、今回のモデルは第2世代のe-プラットフォーム3.0を採用し、駆動方式はFWDからRWDに変更。さらに新たに4WDモデルも追加した。

駆動モーターを始め、電子プラットフォームも最新世代となるなど大幅なアップグレードが行なわれている。一方でエクステリアは従来のATTO 3をベースにしながら、部分的に刷新している。そしてモーターのパワーアップと先進装備を充実させ、CセグメントのEVとして日産リーフ、トヨタbZ4X/スバル ソルテラと真正面から競合する存在となっている。
3つの「EX」が示すコンセプト
新型ATTO 3 EXの車名に付された「EX」には、3つの意味が込められている。すなわち「EXTEND(生活を広げる)」、「EXPLORE(選択肢を広げる)」、「EXPERIENCE(体験を広げる)」だ。
具体的には、RWDモデルの一充電走行距離を従来の470kmから620km(WLTCモード)へ大幅に伸ばし、新設定のAWDモデルによって走る場所や雪国などでの用途の選択肢を広げている。そして、AWDモデルに採用した車載温冷庫をはじめとする新装備によって新たなカーライフを実現している。コンセプトは「毎日を、もっと広げる。」で、日常使いからロングドライブまで、幅広いライフスタイルに適応できることをアピールしている。
FWDからRWDへ、AWDを新設定
最大の変更点は駆動方式の刷新だ。現行モデルの前輪駆動から後輪駆動へと変更され、新たに4WDモデルを追加している。

RWDモデルは最新のモーターを搭載し、リヤの永久磁石同期モーターの最高出力は150kW(204ps)から230kW(313ps)へ大幅に向上。AWDモデルはフロントに誘導モーターを搭載し出力は100kW(136ps)、リヤに230kWのモーターを搭載し、システム最高出力330kW(449ps)、最大トルク560Nmを発揮する。
動力性能は、0-100km/h加速はAWDモデルで4.0秒、RWDモデルで5.5秒。現行FWDモデルの7.3秒から大幅な性能向上を果たし、スポーツカー並みの加速性能を実現している。
シャシー
高出力化に対応し、シャシーも刷新されている。フロント・ストラットは6度47分とハイキャスター化され、さらにロワアームはデュアル・ボールジョイント式を採用。BMWと同様のこのシステムにより、より理想的な仮想キングピン軸を生み出し、操舵フィーリングの向上、キックバックを低減させ、より高レベルなステアリングの質感を生み出している。

リヤは従来の4リンク式から新設計の5リンク式サスペンションにグレードアップ。AWDモデルにはiTAC(Intelligent Torque Adaption Control)を採用し、タイヤのスリップを0.022度という微小回転角から検知して前後のモーター出力を路面状況に合わせて瞬時に制御。発進・加速時の空転抑制や滑りやすい路面での安定したコーナリングが可能になっている。

容量74.88kWhのブレードバッテリー
搭載するブレードバッテリーの容量は、現行の58.56kWhから74.88kWhへ拡大。ブレードバッテリーのセル数は122から156へ増加し、定格電圧は390.2Vから499.2Vへ引き上げられている。これにより一充電走行距離はWLTCモードでRWDモデルが620km、AWDモデルが550kmを実現している。

バッテリー搭載方式では、従来のCTP(Cell to Pack)構造から最新のCTB(Cell to Body)へ変更。バッテリーと車体フロア部を一体化し、バッテリーを車体構造の骨格として活用することでフロア剛性を大幅に向上。衝突時の入力を車体全体へ分散させ、乗員空間と駆動用バッテリーを保護する。
ボディ重量の約74%に高張力鋼板を採用し高強度なキャビンを実現。7つのエアバッグとあわせて乗員保護性能を高めている。
急速充電の最大充電能力は85kWから100kWへ向上。なお、ヨーロッパ向け「ATTO 3 EVO」は800Vの電気アーキテクチャを採用し、DC急速充電の最大充電能力は220kWになっている。つまり日本仕様は充電制御システムが1ランク下というわけだ。
また、従来型は急速充電時にバッテリーの熱だれが発生しやすかったが、新型はバッテリー温度を適切にコントロールし、寒冷時には充電予熱機能も新採用し常に充電量が落ちないようになっている。

普通充電ではAC充電電流を6AからMAX(6kW)まで段階的に設定できる機能を備え、家庭の電力環境に合わせた充電に対応。設定電流と充電出力の目安は、6Aで約1.3kW、8Aで約1.8kW、10Aで約2.2kW、16Aで約3.6kW、MAXで約6kWとなる。
なおATTO 3 EXは、起動補助用バッテリーにもLFPバッテリーを採用し、半永久的な寿命を持ち、他車の鉛バッテリーに対して大きなアドバンテージとなっている。
先進装備
運転支援システムのセンサー構成は、従来の3基のミリ波レーダー+1基のフロントカメラから、5基のミリ波レーダー+1基のフロントビューカメラへ強化。安全・運転支援機能を拡充させている。
さらに、新たにドライバーの疲労や注意散漫などを検知するドライバーモニタリングシステム(DMS)を採用。その他に幼児置き去り検知システム(CPD)も搭載した。CPDは車内のミリ波レーダーによって車内で動く生命体を検知し、警告や空調作動などによって、車内に取り残された子どもなどの早期発見・救助をサポートする。
デザインの変更
エクステリアはフロントバンパーにエアダクトを追加し、よりスタイリッシュな印象に。フルワイドテールライトは中国結びとメビウスリングをモチーフにした印象的なデザインへ変更されている。

そしてCピラートリムはシンプルなブラックに変更され、リヤスポイラーがスポーティさを表現。リヤバンパーには空力効果のあるディフューザーをモチーフとしたデザインが採用されている。ホイールは18インチで躍動感あるデザインだ。


ボディカラーはルビーレッド、コスモスブラック、ハーバーグレー、アトランティスグレー、スキーホワイトの5色展開。内装色はグレー。
インテリアはグレーインテリア×イエローステッチを採用し、ゆったりと心地よく過ごせる室内空間と、イエローアクセントによるスポーティさを演出。ステアリングホイールは新たに4本スポークステアリングとコラムシフトを採用し、センタコンソールのスペースも拡大して、スマートフォン2台を置くことが可能(充電1台)となった。シートはセパレート式となり、ヘッドレストは分割式、フォルシア製合皮(フォルシア社製)を採用してホールド感を向上させている。

メーターディスプレイは従来の5インチから8インチに。そして15.6インチの大型センターディスプレイ、ヘッドアップディスプレイも装備している。またシフトはレバー式のコラムシフト方式に変更されている。


先進装備面では、AWDモデルは前席センターコンソールに容量4.5Lの車載温冷庫を新設している。今では中国では車載温冷庫は必須の装備となっているが、ついに日本にも導入された。

保温は35度~50度、冷蔵は-6度~6度の温度設定が可能で、500mLペットボトルを4本収納できる。遅延電源オフ設定により車両電源オフ後も最大12時間、保温・冷蔵の継続が可能。パワーオフメモリー機能も備え、次回の車両電源オン時に前回の動作状態を引き継ぐことができる。
その他の装備では前席シートベンチレーション(3段階)、ステアリングヒーター(3段階)、50Wワイヤレス充電(冷却ファン付き)などを装備。
パッケージ面では、ボンネット下には95Lのフロントトランク(フランク)を新たに設置し、EVならではのパッケージングを活かして実用性を高めている。

また、キャビンのより優れた静粛性を追求し、フロントと前席サイドウインドウに防音ガラスを採用している。
サービスプログラム
ATTO 3 EXにも「BYD安心プログラム」が適用される。プログラム構成は、メンテナンスパック商品(有償)としてBYD eパスポート・延長パスポートなど、新車保証6年・15万km、ロードサイドアシスタンス6年、高電圧部品保証8年16万km(全車共通)、パワーバッテリーSoH保証/SoH延長保証(有償)8年16万km(全車共通)/10年20万km、30万kmと長期の保証を実現している。

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