話題を大きく振り撒いていたBMWのノイエクラッセは、iX3から市場投入が始まった。エクステリアデザインは、大きく変わりBMWのアイコンであるキドニーグリルは細く、小さくなってデザインされている。
じつは1960年代のノイエクラッセへのオマージュであり、一時どこまで開口部が大きくなるんだ?とファンが心配していたキドニーグリルデザインだが、デザイン言語も変わり表現方法も変わってデビューした。
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大開口部だったキドニーより、個人的にはインテリジェンスを感じるデザインになったと思うが、走りも変わったのだろうか。早速試乗してきた。




ドアを開けシートに座ると、あのスポーティな座り心地とは全く別な印象を持つ。お尻を包み込むようにソフトな座り心地なのだ。試乗したモデルはMスポーツなので、かなり前型iX3とは印象が異なる。ドライバーが座ると車両がドライバーを認識し、システムが起動する。そしてシートベルトを締め、ブレーキを踏むと「D」にシフトできる。
EVらしく静かに動き出すが、ぶっ太いステアリングの操舵は軽い。これもインパクトを受けたひとつだ。プレミアムモデルの操舵フィールは軽い傾向にあるものだが、BMWの3シリーズ、SAV系は総じて重い。それが非常に軽い操舵力で回すことができるのだ。

走行は静かに走るが、ときどき硬い入力を感じるが、これはドイツ車にありがちな、ナラシ不足だろう。3000km程度走ると、見違えるように滑らかに走るのはBMWに限らず、ドイツ・プレミアムモデルにみられる傾向で、おそらく、このiX3も同様と思う。というのも、通常走行では十分しなやかで、滑らかに減衰しているわけで、急激な入力にだけ渋い動きになるからだ。

というように、iX3は「これ3シリーズなの?」というくらいしなやかで、滑らかな乗り心地なのだ。Mスポーツは引き締まったサスペンションであり、それなりの乗り心地なのだが、iX3はそうではなかった。この先3シリーズのノイエクラッセ「i3」もデビューするが、その乗り味がどうなのかチェックしたい。
iX3の乗り味を司っているのが、コンピュータ制御されたドライブトレインだ。ノイエクラッセは3つの要素で成り立っていると解釈でき、それはインテリジェンスを感じさせるデザイン、そして4つのドメインコントール、それとパノラミックiDriveという3要素だ。
4つのドメインコントロールとは、ドライブトレイン、IVI、ADAS、そしてボディ系の4つで、それぞれのOSで制御されたSDVだ。中でも走りを担当するドライブトレインは「Heart of Joy」と表現しており、第6世代になった電動パワートレインがBMWの「駆けぬける歓び」を表現しているのだ。






このドライブトレインとADAS制御のOSについては、自動車メーカーだからこそ持つ強みであり、応答遅れやバグが100%あってはならない領域のリアルタイムOSで制御されている。この領域こそ走行することで感じられる「らしさ」や「味」を生み出す源流と言えるわけで、エンジンからモーターに変わっても同様に味が作れるのか?がキーになる。ただし、モーターでエンジン車と同じ味にするのか?といえば、各社の考え方によって違ってくるわけで、必ずしも同じベクトルにあるとは限らない。
だから、iX3の操舵の軽さや乗り心地のしなやかさといったものは既存の3シリーズとは異なり、その反面コーナーでのノーズの入りや回頭性の高さ、レスポンスの良さといった味は継承しているのだ。
ADAS系とボディ系で連携していると感じさせる機能も体験した。例えばサイドミラーの位置調整では、通常、左のサイドミラーを見ながら、手元のスイッチを左に指定してから上下左右に動かしてアジャストする。ところが、iX3ではミラーを見ているだけで、クルマが「左ミラー」を認識し、スイッチを操作すれば左側のミラーが操作できるのだ。



つまりドライバーの目線を認識し「左」という信号を出していることになる。この機能がADASと連携しており、レベル2の運転アシスト機能で高速道路を走行しているとき、追い越しが終わり左の車線に戻ろうと考え、左のミラーを見るとその視線情報から左ウインカーが点灯され、ステア操作も自動で左車線に戻っていくのだ。
したがって、ミラーを動かすモーターはボディ系のOSで動き、走行中、ミラーからの情報はドライブトレインを制御するECUに情報伝達され、実施されるというわけだ。

これは各社が難しいとされるリアルタイムOSとの連携ができていることになる。詳細は不明だが、ハイパーバイザーによるECUの機能の切り分けができており、マルチOSを横断する機能を持っている証拠と言えるのだ。
さて、ノイエクラッセの3つの要素のひとつ、パノラミックiDriveがある。これはIVI系をまとめたドメインで、専用OSで走らせるエンターテイメント系の技術だ。センターモニターは平行四辺形でデザインされ、またピラー toピラーで、フロントウインドウ最下端にレイアウトされたパノラミックビジョン、そして3Dヘッドアップディスプレイで情報が表示されている。
SDV化されたことで、情報表示するモニターは主役に躍り出ることになり、その見せ方に工夫があるわけだ。ただ、この情報コントロールはオーナーに委ねられるわけで、試乗車は当然デフォルトでさまざまな情報が表示されている。だから、ナビ情報は3箇所で同時に展開しており、情報過多になっているのだ。
ドライバーはどこに表示すればもっとも使いやすいかを考える必要があり、ある程度のリテラシーも要求されてくるだろう。
さて、今後のBMWだが、このあと続々と発売されるモデルは「ノイエクラッセ」のコンセプトを持っている。つまり、インテリジェンスを感じさせるデザインになり、4つのドメインコントロールによるSDV化がされており、そしてパノラミックiDriveを装備していることになる。

それはEVに限らず、ICEのMHEVやPHEVも同様となる。ただ、プラットフォームはEVとICE系では異なることもあり、それによって乗り味の作り方も変わってくると思う。まもなくi3がデビューするが、これは3シリーズのEVだが、通常の3シリーズもこの後出てくる。これはICEを搭載しており、i3とは違ったプラットフォームになると想像できる。

具体的には開発記号で見るとiX3はNA5でi3はNA0だ。一方ICE搭載の3シリーズはG50となり、いわゆるCLAR Ⅱで、現行3シリーズの進化版になっているのだ。この開発記号の違いはプラットフォームの違いとも想像できるわけで、構造体は別でもノイエクラッセのコンセプトを持っているというわけだ。
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