【SUBARU Active Damper e-Tune 試乗記】乗り比べて納得!制御アプデで走りが格段アップ

SUBARUから電子制御ダンパーの制御プログラムアップデートサービスが発表され、早速試乗してきた。

商品名は「SUBARU Active Damper e-Tune」でダンパー制御のアップデートを行なうものだ。対象はレヴォーグSTI Sportの各グレードで、電子制御ダンパーを装着しているAとBタイプ。これが2023年4月25日から発売される。そしてCタイプは現在開発の最終段階を行なっている最中ということで、2023年夏頃には発売される予定だ。

レヴォーグSTI Sportに装着される電子制御ダンパーは、ZF製のCDCダンパーで、2021年12月にその詳細をお伝えしている。そこでは純正のセットアップ状態から「コンフォート」と「スポーツ+」を大幅に設定変更し、その振り幅の広さを体験するテストを行なった。この時のデータはZFのドイツ本社内で作られたデータということだったが、今回商品化されたアップデートの中身はSUBARUで作り込まれたデータだ。

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アップデートの中身は「コンフォート」と「Sport+」をさらにチューニングした仕様で、ディーラーに車両を持ち込み、パソコンを車両と接続してアップデートを行なう。作業時間は30分程度で、費用は3万3880円+作業工賃となっている。工賃はディーラーによって多少の違いはあるものの4万円以内に収まるようだ。

レヴォーグSTI Sportのドライブモードは5つあり、6つのドメインで変更が可能になっている。ドライブモードは「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」「スポーツ+」「インディヴィデュアル」で、それぞれ、「パワーユニット」「ステアリング」「サスペンション」「AWD」「アイサイト」「エアコン」というドメインで、それぞれのドライブモード内で変更される。

例えばパワーユニットは「I」「S」「S#」の設定がドライブモードに連動して変更され、コンフォートを選択すれば「I」でスポーツ+を選択すると「S#」になるといった具合。同様に、サスペンションでは「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」がドライブモードに連動する。そしてインディヴィデュアルを選択すれば、連動する部分も任意に独立させて変更できるようになっている。

今回の「Active Damper e-Tune」はドライブモードセレクト内のサスペンション項目のコンフォートとスポーツが変更される商品だ。それはドライブモード内のコンフォートとスポーツ+に連動する形で可変する仕組みだ。

実際に箱根のワインディングで試乗してみたが、ドライブモードでコンフォートを選択するとサスペンション項目の「コンフォート」が選択される。それは乗り心地がよいというだけでなく、路面の凸凹を超えた時の収束の速さが秀逸だ。この試乗では現行タイプとの乗り比べができたので、その違いが明確に掴みやすかったのだ。

周囲の交通環境に溶け込む形で市街地を走行してみると、さらに明確な違いが感じられる。現行モデルはソフトな乗り心地でよいのだが、チューニングされたダンパーはソフトながらも引き締まった印象を受ける。車体の揺れはすぐに収まり、乗り物酔いなどにも好影響がありそうだ。

一方のスポーツ系はドライブモードで「スポーツ+」を選択するとサスペンション項目が「スポーツ」になる。これも乗り比べができたので、わかりやすかったのだが、こちはダンパー特性が現行ダンパーと同じベクトル上にあり、よりハードな速度域にもスポーツ性を損なわない減衰をするように変更されていた。

ワインディングでは速度域が高くなっても少ないロールと、リヤの接地感を維持しながら旋回していく。レヴォーグのスポーツ性がワンランク上がった印象になるのだ。だからよりアグレッシブに走ることができ、小さいロールや回頭性の高さといったスポーツカーに求められる領域の走りも楽しめることになる。

ここまでダイナミック性能の変化を引き出すためには、従来であればダンパーやスプリング交換、スタビライザーも・・・といったことが必要になり予算も十数万円が必要となったと思うが、ベースの電子制御ダンパー(ZFの名称CDC)が高性能であるため、その制御を変更するだけで、ワンランク上のコンフォート性とスポーツ性を手にすることができるのだ。

それでいて価格は4万円程度となれば、乗り心地やスポーツサスペンションが欲しいと感じていたユーザーにはドンピシャな商品といえる。このように、クルマを買ったあとでも商品価値は上がり、性能も進化させることができるわけで、レヴォーグSTI Sportオーナーに、おすすめの商品だった。

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