キャデラックは2026年8月14日、ブランド初のシングルシーター・コンセプト「V-ONE」を初公開した。

キャデラックが発表した「V-ONE」は、モータースポーツで培った血統と、キャデラックならではのビスポーク(特別仕立て)の美学を融合させたコンセプトカーだ。世界に一台限りというシングルシーターはキャデラック史上初の試みであり、名称の「V」は、長年キャデラックのハイパフォーマンス・ラインを支えてきた「Vシリーズ」の系譜を受け継いでいることを現している。
骨格はレースカー技術
このコンセプトの土台にあるのは、キャデラックのLMDhマシン「Vシリーズ R」だ。レーシングカーとしての本格的なハードウェアを、いかにしてドライバー中心のスーパースポーツカーに落とし込むかという問いへの答えとして誕生した。

「V-ONE」の開発はキャデラック・デザイン、キャデラック・レーシング、そしてシャシーコンストラクターのダラーラが三位一体で手掛けており、ファクトリー直系のプロトタイプ・パフォーマンスをそのまま体現した設計となっている。
グローバル・キャデラックのエグゼクティブ・デザイン・ディレクター、ドミニク・ナジャフィは、
「 V-ONEコンセプトは、 キャデラックが提供する パフォーマンス・コンセプトを究極の形で表現したものであり、将来のVシリーズに対する私たちの意欲を明確に示す存在です」と語っている。

「V-ONE」はキャデラックのLMDhカテゴリーのレース活動をルーツとし 、アメリカのIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とFIA世界耐久選手権(WEC)のレースで活躍しているLMDhマシン「Vシリーズ R」から得た知見を取り入ている。

ふたつの選手権シリーズで合わせて10勝、ポールポジション16回、表彰台32回という実績を記録しており、2023年にはIMSAウェザーテック選手権でメーカー、チーム、ドライバー・チャンピオンの三冠を達成し、2025年のル・マン24時間レースではハイパーポールを獲得。さらにサンパウロ開催のWECラウンドでは、キャデラックとして初となる1-2フィニッシュも記録している。
パワートレイン、シャシーはレースカー直系
「V-ONE」のパワートレインは、「Vシリーズ R」と基本設計を共有するV8ハイブリッド・パワートレインで、最高出力は830psを発生する。サスペンション、トランスミッション、一部の電子制御システムに至るまで、レースで鍛えられたアーキテクチャがそのまま引き継がれている。
ボディはレースカーと同等のエアロダイナミクス・パッケージを装着しており、サスペンション(ダブルウィッシュボーン、プッシュロッド作動式コイル/トーションスプリング、フロント/リアのラテラル&ヒーブダンパーを含む)もレースカー譲りだ。
そして直感的インターフェースとデータ可視化コンセプトによる、ドライバーへの明確なフィードバックとコーチング機能も装備されている。
デザイン
ボディシルエットと全体プロポーションはレースカーからほぼそのまま継承され、そこに新意匠のVシリーズ・ホイールと、刷新されたダーク・ペルソナ仕様のVシリーズ・エンブレム採用することでオーダーメイド感の強いハイパフォーマンスな個性を演出している。

とりわけ印象的なのが、シルバーからディープネイビーへとハンドスプレーで描かれたグラデーション塗装だ。これは耐久レースにおける昼から夜への移ろいを表現したものだという。

インテリアは、シングルシーターというレイアウトを活かし、純然たるプロトタイプ・マシンのハードウェアを、完全オーダーメイドのレーシング・コックピットへと昇華させている。剥き出しのカーボン構造体に、没入感のある専用UX/UIと、徹底的にパーソナライズされた素材を組み合わせることで、キャデラックが掲げる「パフォーマンス・ラグジュアリー」を表現している。

レーシング・エンジニア監修のステアリングホイール、「キャデラック コレクション」のリサイクル・ファブリックなど、吟味された素材を使用している。
また、ドアにはシリアルナンバー入りプレートを配置。シートはドライバーの体格・好みに合わせてカスタマイズされたシートを装備している。
なお、「V-ONE」コンセプトはあくまでコンセプトカーであり、市販の予定はないとされている。それでも、この一台がキャデラックにとって単なるショーモデルではないことは明らかだ。レースで磨いた技術を、いかにラグジュアリーブランドの美学へと翻訳するかという挑戦であり、次世代Vシリーズの方向性を明らかにする役割を担っている。













