【Kia PV5】働くクルマが遊びの相棒に。EVミニバンの新しい可能性【試乗記】

韓国のヒョンデ自動車グループのKia(キア)から、EVミニバンがデビューし試乗することができた。2025年のジャパンモビリティショーで発表され、その後、2026年7月には韓国本社を訪ね、PV5の詳細についてお伝えしてきた。しかし、試乗の機会はわずかで、乗り心地や運転のしやすさといった実用性については今ひとつ情報が薄かった。

関連記事:【Kiaとは】Kiaが日本上陸! EVバン「PV5」とPBV戦略の最前線を韓国本社で探る

今回試乗したのは箱根のワインディングと周辺の一般道路。モデルはパッセンジャー仕様(5人乗り)とカーゴ(2人乗り)の両方を乗り比べることができた。

PV5のボディサイズは全長4695mm、全幅1895mm、全高1925mmでホイールベースが2995mmと長い。ちょうどハイエースの標準ボディと全長が同じで、全幅が1695mmなので、PV5はかなり幅広になっている。駆動方式はFWDのEVでバッテリーサイズは2タイプ用意され、71.2kWhと51.5kWhで共に三元系のNMCバッテリーになっている。本国ではLFPバッテリーの43.3kWhもあるが、航続距離を心配する日本には、ひとまず投入を見送っている。その航続距離はカーゴが528km、パッセンジャーが521kmで、小さいほうの51.5kWhのバッテリーでもカーゴは379km、パッセンジャーが377kmになっている。

ちなみに保証期間は5年10万kmで、高電圧バッテリーは8年または16万kmの保証があるので、商用利用でも安心材料になると思う。そして

タイヤサイズは全モデル共通の215/65-16を装着しており、タイヤコストの点でもありがたいサイズと言える。そして、モーターの出力はバッテリー容量により違いがあり、120kWと89kWで最大トルクは共通の250Nmとなっている。

ハイエースと同じ全長。でも、キャラクターはずいぶん違う

さて、フレキシブルボディで話題のPV5だが、試乗車のカーゴはバルクヘッド付きの2名乗車仕様で、このモデルを最初に乗った。荷室はドンガラでパネルが剥き出しの状態。運転席周りも特別にドレスアップしているものはなく、樹脂素材のままの部分が多い。ただ、シフトレバーはコラムポスト右側にあり、回転式の前後進タイプで、モニターはスマホとタブレットが並んで置いてあり、純粋な商用モデルよりは見栄えは良い。

カーゴルームの特徴は低床フロアがポイントだ。ちょうど膝の高さにフロアがあるので重量物の出し入れは楽になる。最大積載量はバッテリーサイズで変わり、ロングレンジの大きいバッテリーでは550kg、スタンダードでは650kgとなっており、車載するモノによっては影響があるかもしれない。また100Vのコンセントも後部にあり、使い勝手は良さそうだ。電動工具など野外作業で便利だ。そしてリヤドアは観音開きになっていて、後ろからのルックスが抜群にカッコいい。どこかアメ車感もあり、カーゴを乗用として乗るのもありか?とイメージが膨らむ。

空荷でも快適。静けさと滑らかさはEVならでは

試乗は空荷状態での走行。すぐに静粛性と滑らかさが伝わり、乗り心地が良いと感じる。車速を上げても特に音が大きくなることもなく静かに速度は上がる。箱根のワインディングに入っても、状況は変わらず、静かに滑らかに、そしてアクセルを強めに踏めば、ドンと加速するEVらしい力強さがある。

そしてハンドルのキレ角の大きさが印象的だった。最小回転半径は5.5mで使い勝手は良さそうだが、ハイエースの標準ボディは5.0mとさらに小回りが効くので、乗り換えユーザーには魅力的には映らないだろうが、実用範囲では十分小回りが効く性能だ。

ベース基地にもどり、パッセンジャーモデルに乗り換える。こちらはヴィーガンレザーシート(合皮)になり、電動パワーシートが装備されるなど、グッと上質なインテリアになっている。シートカラーはダークネイビーとキャメルカラーと組み合わせたタイプもあり、3タイプから選択できる。

ステアリングまわりやモニター系統はカーゴと共通で、つまり、フレキシブルボディは同じ装備のまま荷室にもキャビンにもなるというコンセプトが如実に理解できる部分でもある。だからパッセンジャーには後席が用意され、大人3名が乗れるシートが装備される。リクライイニングやシートアレンジにも対応し、カーゴスペースはフルフラットになる。また収納スペースも豊富にあり、使い勝手は良さそうだ。ただ、後席を前に倒しても荷室とはフラットにはなない。そこで車中泊仕様やキャンピングカーを製造する企業がPV5のディーラーを兼ねている理由でもあり、少しの改造で快適な後席スペースに変身するわけだ。

5人乗り乗車で車両を使うだけであれば、ノーマルのままで十分なスペースと快適性があるが、何かをしようと考えた時はディーラーで仕様変更できるというのもPV5の特徴と言えるのだ。たとえば、車中泊仕様のために運転席後端から全部フルフラットにするとか、仕事ができる机になるように変更したり、あるいはキャンピングカーとしてポップアップ式のルーフに改造して、車両の上部で寝泊まりができる車両にすることもディーラーで可能なのだ。

仕事だけではもったいない? 遊びの可能性も広がるカーゴ

こうした自由度のあるパッセンジャーを走らせると、先ほどのカーゴよりも静粛性がより高く、乗り心地もさらによくなったように感じる。それは内装材が使われたり、吸音材、制振材が使われていることと、車両重量も重くなり、その重量感がしっとりとした乗り味に変わる要因になっているようだ。

重量はカーゴと比較して200kgほど重くはなっているが、そこはEVの特徴だが、瞬時にトルクが立ち上がるので重量を感じさせないのだ。カーゴとの外観の違いではサイドウインドウとリヤウインドがある。カーゴのサイドウインドウはなく、荷室が見えないようになっているのに対し、パッセンジャーは6ライツになっていて、車内は明るいといった違いがある。

ちなみに今回は高速道路を走行していないので、ADAS関連を試していないが、基本的な運転支援機能や安全装備は装備されている。

クルマを買って終わりではない。PV5から始まる「コト作り」

PV5を販売する総合商社双日の100%子会社PBVジャパンは、このPV5を所有することで「コト作り」につなげたいとしている。所有から利用し、体験を積み、そして感動を覚え、共有するというコト作りのパートナーとして位置付けているのだ。

価格

Kia PV5 パッセンジャー:679万円から(税込み)
Kia PV5 カーゴ:619万円から(税込み)

Kia PBVジャパン 公式サイト

Kia 公式サイト

ページのトップに戻る