【Kiaとは】Kiaが日本再上陸! EVバン「PV5」とPBV戦略の最前線を韓国本社で探る

韓国Kiaが日本に再上陸する。2025年のジャパンモビリティショーでも大きな話題となったKia(キア・起亜)は、PV5というモデルを国内に導入すると発表した。

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このモデルは商用にも乗用にも利用できるミニバンで、トヨタ・ハイエース的な位置付けにあるモデルだが、100%バッテリーで動くEVモデルだ。ただし、単にミニバンの発売というだけではなく、 Kiaはモビリティソリューションを創造するというビジョンを掲げているため、非常に興味深い内容になっているので期待してほしい。

そうした理解を深めるためにも日本導入に先立ち、またKia本社へ取材の機会があったので、韓国へ行ってきた。

「Kia」への認知度はどの程度なのか、正直なところあまり一般的にはなっていないと思うが、ヒョンデ(ヒュンダイ・現代自動車)は多くの人が知っていると思う。Kiaはそのヒョンデグループなのだが、もともとは別々の自動車メーカーだったが、1998年にヒョンデグループになっている。

Kiaには82年の歴史があり創業は1944年に「京城精工」という社名でスタートし、そして1952年に起亜産業に改称。1962年に初めて三輪トラックの生産を行っている。当時はマツダのノックダウン生産から始まっている。その後経営危機がありヒョンデグループに吸収されたのだが、もともとが自動車メーカーだったため、ヒョンデの製品とはカニバリ(競合する)のあるラインアップだった。

近年では、その棲み分けの整理からかヒョンデとKiaでは製品カラーが異なるようになった。そのKiaはデザインの先進性とEVに注力するラインアップになり、PV5はこれから始まる新しい挑戦になるモデルだ。

Kiaはグローバルで5万2000人の従業員と190以上の国と地域で展開し、生産拠点も6カ国にある。年間約300万台の販売台数を誇り、電動化車両、EVの普及もリードしているのだ。

左がKia本社、右がヒョンデ本社のツインタワービル

さて、ソウル特別市瑞草区(ソチョグ)に本社がある。ビルの3階までがヒョンデとキアが共有し、4階から上は別のビルのようにツインタワーになっている。そして、キア側の1階にはヘリテージを見学することができる展示スペースになっている。

創業時の三輪トラックの展示や、初めてオリジナルの四輪車Brisaを1974年に発売し、国民車として人気となったモデルも展示されていた。また1980年代には、マツダ・ボンゴを使って新たな事業展開を始めた歴史もある。

品質評価ゾーンでは、名誉会長の鄭夢九(チョン・モング)氏が品質評価を上げることでKiaの評価が上がるとし、こだわったことを表した展示ゾーンもあり、そこには北米で展開した1993年のSUV「Sportage」や北米、欧州で展開した1998年MPVの「Carnival」が展示されている。

また海外で生産され現地で販売しているモデルの展示もあり、その規模の大きさが伝わってくる。例えば、インドではSUVの「SONET」、北米では本格SUVの「Telluride」、そして中国で生産し、モーターショーで販売した「Cerato」、欧州で初めて生産したスロバキア工場の「Ceed」などが展示されている。

また工場の見学もできた。EVO Plant Eastは国内に導入予定のPV5を生産する工場で、1994年から稼働し、385万台/年の生産能力を持つ工場だ。またEVO Westも建設中で2027年6月の完成予定で工事が進められており、ここではPV5の後に発売予定としているPV7、PV9を生産する予定だ。

Kiaは韓国国内に3箇所生産工場を持っており、ガソリン、ディーゼルのICEも生産している。PV5に関してはEastで生産され20万台/年という規模で製造される。

工場内では溶接工程は100%ロボット工程となっており、人はロボットの管理業務をになっている。また特徴的だったのはボディの運搬を空中のベルトコンベアではなく、地下を使っていた。これは初めて見る工場設備で、つまり落下の危険をなくすため、地表に溝を掘り、その溝の中を生産中のボディが移動するやり方になっていた。

そして研究施設では熱マネージメントと風洞テストの設備を見学することができ、温度管理では-40°から+60°までの管理が可能で、その温度内でのバッテリー状況や充電環境等のテストを行うことができるという。また風洞テストでは降雨や降雪も可能で、230mmの雪、300mmの雨を降らすことが可能だという。

Kiaとヒョンデの研究施設全景。1周4kmのオーバルコースもあり、180km/hの走行も余裕があるバンクを所有している

こうして生産されるPV5はPBV事業の中核事業に位置している。Platform Beyond Vehicleの略で、「車両の先へ、クルマの存在を超えた」といった意味を持ち、これまでの常識にとらわれない新しい価値、概念の車両事業を意味している。またこのPBV事業は30年先を見据えた事業に位置付けており、グローバルでの展開を始めていくのだ。

冒頭、Kiaはモビリティソリューションの創造をするビジョンだとお伝えしたが、ソリューション、つまり解決策となるモビリティを提案していくというわけだ。それはEVをリードするメーカーであり、2030年目標として413万台の生産を目指している。そのうち23万台がPBV事業に位置付け4兆ウォンの投資を工場に対して行っている状況だ。

エクスペリエンスセンターにはさまざまなPV5を使った提案モデルが展示されている

そのPV5はE-GMP.sと呼ぶEV専用プラットフォームで作られ、レゴブロックのように、このプラットフォームの上に必要なボディを載せて開発してくスタイルだ。運転席の後ろにバルクヘッドを作り、平台トラックにしたり、バルクヘッドをなくして乗用ミニバンにし、車中泊やビジネスワークスペースにしたり、あるいは、工具類を搭載するバンにしたり、といった展開が容易に可能にするモデルなのだ。

ちなみに、車中泊をした場合、EVのため、一晩中冷房を入れても周囲には気づかれず、また暖房をしても同様に快適なベッドルームになるわけだ。搭載するバッテリーサイズは3タイプあり、LFP(リン酸鉄系)43.3kWhがカーゴ専用、パッセンジャー用がNMC(ニッケル、マンガン、コバルト系)51.5kWh、そしてロングレンジ用は71.2kWhでNMCとなっている。

航続距離は72.1kWhでパッセンジャーモデルが521km、カーゴが528km(WLTCモード)となっている。また出力120kW(160ps)/250Nmのモーターをフロントに搭載している。もちろんCHAdeMOに対応し、100Vのアウトレットも装備している。

つまり、一晩エアコンを使ったとしても使用量は10%程度で済むわけで、移動のための駆動バッテリ容量に影響しないことがわかる。

さて、このPV5を国内で販売してくために、どういったアプローチになるのかといえば、総合商社の双日が担当をする。双日の自動車部とKiaはすでにグローバルでは提携しており、特にパナマでの事業はかなり大規模な展開をしているようだ。

その双日が日本でも展開を始めるわけだが、100%子会社を設立「KIa PBVジャパン株式会社」がすでに存在している。さらに全国52ヶ所のサービス工場と提携し、7店舗のディーラーも存在しているのだ。

このディーラー展開では、おそらく通常のディーラーが行う販売と整備だけではなく、カスタマイズに応じる体制になると思う。車中泊仕様に生産しても、その先の細かな変更は出てくるはずで、そうした要望に応えるための工場とディーラーになるはずだ。

ちょうどハイエースのカスタマイズショップがこのKiaを扱うという噂もあり、事業展開はいい方向で進んでいる様子だ。

また双日の自動車部では、こうした販売店、サービス拠点、そしてファイナンス、インフラ、フリート(事業者)との協業にも携わるので、ユーザーのアフターサービスも含めて、十分なサービス体制が築かれていると言っていいだろう。ちなみに、初年度の販売目標台数は1000台だ。

そのPV5をエクスペリエンスセンターの敷地内で少しだけ試乗することができた。試乗車は商用タイプでファーストインプレションは、ボディ剛性の高さを感じ、また高い静粛性がある印象。長方体の空間は広い反面、ねじれに弱いとされるが一切その弱さは感じない。逆に剛性の高さが際立つ印象だ。

ステアリング操舵は軽めの操作感で、だれもが運転しやすいだろう。パドルシフトがあり、0から3までの4段階で回生ブレーキの強さをコントールできる。最後は完全停止はしない設定で、駐車場での切り返しにはクリープが使える仕様になっていた。

気になる車両価格は、パッセンジャー用が679万円〜、カーゴが619万円〜となっている。果たしてKiaブレークが起きるのか、興味津々だ。

価格

Kia PV5 パッセンジャー:679万円から(税込み)
Kia PV5 カーゴ:619万円から(税込み)

Kia PBVジャパン 公式サイト

Kia 公式サイト

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