マツダは2026年6月にロードスターの一部改良を発表し、新たなグレード「PS」も追加している。そのPSモデルに試乗することができたので、お伝えしていこう。

ロードスターは1989年に初代を発売し37年が経ち、4世代が投入されている。そのうち、初代は一種の社会現象にまでになり、1年で8418台を販売した。しかし、この台数を超える後続のモデルは出てきていなかった。ところが、2025年、26年と1万台超えを達成しており、ロードスター史上もっとも売れているのが「今」という状況なのだ。
とくに6月の商品改良で追加したPSグレードは、従来モデルの販売は横ばいで継続しつつ、純粋にPSモデルによる純増になっているという。購入者層でもロードスター全体では20代が多く、とくに20代の女性が多いことも特徴だ。また追加されたPSは40、50代の男性が圧倒的多数で、目の肥えたユーザーがPSを購入している状況だという。
関連記事:【マツダ】ロードスターの一部改良とピュアスポーツがラインアップに追加
つまり、操る喜びを求めるユーザーは各世代に存在しており、ビギナー層は既存のグレードからエントリーし、熟年層はRFや今回のPS、RSモデルを購入するという、さまざまなニーズに対応できるラインアップになっていると言うこともできるわけだ。
少しおさらいをすると、ロードスターのエントリーになるのが「S」グレードで純粋に走りを楽しむためのモデルで、豪華な装備類を持たず、最も軽量なモデル。そのSをベースにした「S Special Package」はLSDやリヤスタビを装着した主力グレードだ。さらに豪華な仕様がRSで、またサーキットを視野に入れたモデルにはNR-Aや12Rといったモデルがラインアップする。またオープンルーフではなくタルガトップになっているRFもラインアップしている。

今回の一部改良では車外騒音規制に対応するための改良で、未対応のモデルは販売できなくなる厳しい規制だ。そのため、タイヤから発する音を抑えたヨコハマタイヤのアドバンV107を専用開発し、ロードスター専用モデルとして装着している。このタイヤの変更に合わせてEPS制御も変更したのが、今回の改良だ。
そして、このタイミングでPSグレードが追加されているが、ポジション的にはS Special PackageとRSとの中間になるだろう。装備の詳細は既報しているが、ブレンボのブレーキキャリパーやRAYSのブラックアルミホイールが標準装備されており、RSよりは軽快に、そしてS Special Packageよりは豪華、スポーティなグレードというわけだ。
そのPSに乗ってみると、乗り心地の良さとステア応答の自然さが体に染み渡る。じつに気持ちよく、軽快にそして爽快に走ることができ、いつまででもエンジンを回して走り続けたい衝動に駆られるのだ。フィーリング的には油圧制御時代を思い出すほど、ステアリング操舵に電動感がなく、アシスト感がない。でも軽く、軽快に操舵できる。
その秘密を紐解くと、タイヤが変わったこととサスペンションが変わったことを前提にEPS制御を見直しているからだ。サスペンションはリヤのバネレートを上げ、ビルシュタインのダンパーを採用し、縮み側減衰力を下げるチューニングを行っている。

このサスペンションに対し、車速ごとのパラメータを作っているという。簡単に言えば、ハイスピード時のハンドルの戻しは車両のセルフ・アライニングトルクによって自然に戻ろうとする。だから電動アシストはほぼいらない。一方、低速で走行しているときはアシストがないと重い操舵力が必要になるので、強めのアシストを入れる。そうした違いを細かく設定することで自然な操舵フィールに仕上げているわけだ。
合わせて、操舵フィールの気持ちよさをさらに磨いているのが、乗り心地の良さだと思う。S Special Packageなどで感じるガツガツした印象がなく、しなやかにサスペンションが動き「アシがよく動いている」という印象を与えてくるからだ。
また走りの爽快感にはエンジンサウンドも付きまとうが、車外騒音対策が主目的のため、エンジン音をどうするのか。音を抑えるにはさまざまなものを絞り込む方向になる。そうなるとロードスターの持つ軽快感や爽快感、ヒラリ、ヒラリとコーナーをクリアする楽しさがスポイルされてしまうわけで、開発に苦労したポイントでもある。
そのため、吸気音に関しては「インダクション・サウンド・エンハンサー」と呼ぶ装置で、吸気音をダイレクトに室内に聞こえるようにしている。これは吸気圧力変動を直接聞くわけで、人工的に作った音でもないので、自然に感じるし、アクセルとのレスポンスなど「思った通りの走り」につながるわけだ。
さらにエンジン本体もレブリミットまで出力を絞る制御をせず、使い切る制御に変更。合わせてアクセルペダル踏み込み時の初期応答性を磨くことで、ドライバーの意思を反映しやすくしている。さらにヒール&トゥアシスト制御も組み込まれているので、峠を気持ちよく爽快に駆け抜けるわけだ。
コーナー脱出時のロールを抑え、フラットライドな姿勢を早い段階で作ることで、アクセルを開けるタイミングも早まり、意のままのライントレースで、そしてエンジンサウンドを奏でながら突き進める。これがPSなのだ。





価格(税込み)
マツダ ロードスター:295万9000 円~ 407万円
マツダ ロードスターRF:385万円~ 469万7000円













