ソフトバンクと本田技術研究所は2021年11月17日、歩行者とクルマが安全で安心して移動できる社会の実現を目指して、スタンドアローン（Stand Alone）方式による第5世代移動通信システム（5G SA）とセルラーV2X通信システム（セルラーV2X）を活用して、歩行者とクルマによる事故低減に向けた技術のユースケース検証を開始したと発表した。
本田技術研究所の鷹栖プルービンググラウンド（北海道上川郡鷹栖町）に設置したソフトバンクの5G SAの実験用基地局と、本田技術研究所が持つ認識技術を活用し3つのユースケースにおける技術検証を進めている。
ユースケース1は、車両から目視できる歩行者の事故低減を目指し、車載カメラで歩行者が車道へ進入するなど事故の危険性を認識した場合、車両から直接もしくはMECサーバーを介して、歩行者が所持する携帯端末に注意喚起を促す警報通知を行なう。その警報により歩行者が回避行動をとることで、車両と歩行者の接触事故を防止する。
ユースケース2は、車両から目視できない歩行者の事故低減を目指している。走行する車両が、路上駐車車両などの障害物によって歩行者を目視できない環境にいる場合、見通しが悪いエリア内に歩行者がいる、いないという問い合わせを周辺の携帯端末および他の車両に行なう。
歩行者がいる場合は、歩行者に走行車両の接近を通知するとともに、歩行者の携帯端末から走行車両に対して、見通しが悪いエリア内に歩行者がいることを通知。また、見通しが悪いエリア内の歩行者を目視できる位置に他の車両がある場合は、その車両から走行車両に対して見通しが悪いエリア内に歩行者がいることを通知する。このように走行車両と歩行者、他の車両が高速でデータ通信を行なうことで接触事故を防止する。
ユースケース3は、車両から目視できないエリア内の情報共有による歩行者の事故低減を目指す。走行する車両からMECサーバーに対して、見通しが悪いエリア内の情報を送信し、MECサーバーは情報を整理して周辺を走行する車両に通知。
通知を受けた車両は、見通しが悪いエリアに近づいた際に、歩行者がいる、いないという問い合わせをMECサーバー（基地局など端末から近い位置に配置したサーバー）に対して行ない、歩行者がいる場合はMECサーバーから車両および歩行者に警報通知を行なう。
このようにMECサーバーと車両、歩行者が高速でデータ通信を行なうことで、接触事故を防止する。このユースケースでは、カメラによる認識機能を持たない車両にも見通しが悪いエリア内の情報を送信することで、認識機能の有無にかかわらず、車両と歩行者の接触事故を防止することが可能となる。
