マニアック評価vol94
308シリーズは2011年6月にマイナーチェンジを行い、308CCにファブリックシートを採用したエントリーモデル「308CCPremium」を設定し、追加導入した。また、一部のモデルは価格のみなをしを行い、求めやすい戦略的な価格設定も誕生している。価格設定の変更のあったモデルは、308CC Griffe（インテグラル レザー内装/受注生産）と308Cielo（レザー内装/受注生産）が20万円価格が下げられ、それぞれ、440万円、329万円となった。また308SWのPremium（レザー内装/受注生産）も6万円価格が下げられ349万円となった。その他のラインアップは、装備を充実させながらも価格は据え置かれ、ラインアップ全体で、求めやすい価格が訴求されている。
今回試乗したモデルは、308CC Griffieのインテグラルレザー仕様でクーペカブリオレというプジョーならではのデザインを持つモデルだ。スイッチひとつでオープントップとなり、スタイリッシュなクーペスタイルから爽快なオープンスタイルへと変化を楽しむことができるモデルだ。
今回のMCでグリル周りが変更され、プジョーの新しいアイデンティティとなるフローティンググリルが採用されている。そして左右にあるフォグランプハウジングにはLEDランプで縁取られ、昼間でもその存在感が強くアピールされている。
搭載されているパワーユニットは1.6L+ツインスクロールターボエンジンに6速ATの組み合わせで115kw（156ps）6000rpm、240Nm/1400rpm-3500rpmというスペック。10・15モード燃費は11.0km/L（JC08モード10.8km/L）である。
現在プジョーのラインアップである207シリーズから最上級モデルの508シリーズまで、国内に導入されいるのは全てこのエンジンが搭載されており、プジョー流の効率化が垣間見れる部分なのだろう。組み合わされるミッションは6速AT、4速AT、6MTとあるが、308CCには6速ATが搭載されている。したがって、パワーユニットに対する特別感は薄く、求めるものはそのデザインや走りの味になるのかも知れない。
実はプジョーのもっとも得意としているパワーユニットは、ディーゼルであり欧州での需要の中心はディーゼルになっている。ル・マン24時間レースからも分かるように、プジョーのディーゼル技術には定評があり、そのノウハウはもちろん市販車にもフィードバックされている。そのため、ユーザーからの支持もディーゼルが高くなるのは当然と言えるのだ。国内ではハードルの高いディーゼル規制と、ユーザー意識の違いからガソリン車のみの導入となっている点を付け加えておく。
デザインは見てのとおり、前傾角の強いフロントウインドウのオープンボディであり、ボンネットからなめらかに立ち上がるウインドウになっている。観れば見るほど強烈な個性を持っているデザインで、この非常に寝ているAピラーはドライバーにはどのように感じるか？と言えば、ドライバーの頭上付近にまでウインドウが迫るので、風の巻き込みが気にならない反面、開放感というのが薄いかもしれない。後頭部でオープンエアを感じるとでもいうのか。もっとも2シーターモデルではなく2+2であることを考えれば、全席でオープンエアが楽しめるモデルということもできる。
ルーフの開閉は2分割で行われ、約20秒でスイッチひとつで簡単にオープン＆クローズが行える。クローズしたときの密閉感も高く、外からの騒音などを拾いすぎることはない。そのため、屋根が空くことを忘れてしまうほどである。
今回の試乗では横浜エリアでの試乗であっため、コーナーを攻めてみるような走行はできない。そのため、ハンドリグやボディ剛性の違いなど細かなポイントを感じることはできなかったが、それでもルーフのオープン時とクローズド時ともに剛性感は高く、スカットルシェイクなどは一切感じられなかった。ただ、路面状況の悪い場所では、鋭角的な入力に対し、素直にガツンと感じてしまう場面もあった。
直進安定性やブレーキのコントロール性などは申し分なく、欧州の高いレベルをクリアしている安心感のある繰安性だと感じる。また308の5ドアハッチバックモデルより約200kg重量が重く、1580kgある。この重量が、軽快なルックスとは異なり意外にもどっしりとした重厚感を感じさせているのかも知れない。
●全長4455mm×全幅1820mm×全高1430mm WB2610mm ●最大出力115kw（156ps）/6000rpm 最大トルク240Nm/1400rpm-3500rpm ●10・15モード11.0km/L 価格308CC Premium 399万円 308CC Griffe 420万円 同Griffeインテグラルレザー440万円
