2026年3月にアルファ ロメオのトナーレがマイナーチェンジをし、MCのメインとなる「ヴェローチェ」に乗ってみた。といってもクルマのデザインがパッとわかる人はかなりのアルフィスタだろう。

多くの人がトナーレを思い浮かべるには時間がかかるのではないだろうか。そもそもアルファ ロメオというブランド自体に魅力を感じるアルフィスタがいる一方で、よくわからない人も多いのではないだろうか。
明らかにドイツ車とは違ったデザインで成立しているのは理解できると思う。例えばドイツ車は機能や合理性から美しさを作っていく手法が見られる。言い方を変えるとデザインを説明できる理屈が存在している。一方で、アルファ ロメオは、理由はよくわからないけど惹かれる、色気を感じるといった感覚に訴えてくる要素が多分にある。

そして、そのモデルを走らせると、ハマってしまうというのがアルファ ロメオの魅力のひとつだろう。
トナーレのラインアップは2グレードで、「スプリント」と「ヴェローチェ」。スプリントは装備を簡素化したエントリーグレードで、受注生産になっている。今回は上級グレードのヴェローチェに試乗した。
トナーレはスポーティな走りをするSUVだ。アルファロメオらしい走りと言えばいいのか。SUVなのに、スポーツカーをドライブしている気になる。そんな感覚を持たせるのもアルファ ロメオなのだ。トナーレはCセグメント+サイズだが、ひとクラス上にはステルヴィオがある。SUVなのに、こんなクイックなステア応答でいいのか?という、あのステルヴィオだ。




トナーレも同じ流れにあるモデルなのだ。だからSUVを運転している感覚はないし、硬い足とクイックレスポンスの操舵フィール、アルファ ロメオのSUVはSUVらしくないのだ。
そして今回のMCでトナーレのマイルド・ハイブリッドモデルの呼称を「ハイブリッド」から「イブリダ」に変更している。
その「トナーレ イブリダ ヴェローチェ」のパワーユニットは、「ファイアフライ」と呼ばれる1.5Lのターボのガソリンエンジンと48Vマイルドハイブリッドの組み合わせで、システム最高出力は175psを発生する。
トランスミッションに内蔵のハイブリッド・モーターは20ps/55Nmを発生する。じつはこのパワーユニットは変更されておらず、制御の変更が行われているのだ。制御を変えることで0-100km/h加速が8.8秒から8.5秒へ短縮されている。組み合わされる7速DCTのトランスミッションも、より高いギヤを積極的に使う制御へと変更されているのだ。
スペックの絶対値は変更ないものの、こうしたドラビリに関わる変更をするあたりが、アルファロメオらしいとも言える。ただ、実際の走行ではギクシャクが残っている。もっとも市街地の生活道路を走行していると感じるもので、アルファロメオが大好きなハイスピードのワインディングでは、その魅力を存分に発揮してくれる。
それは、SUVなのに乗用車ライクでSUVらしからぬ軽快なハンドリングとレスポンスが楽しめるのだ。じつはこのマイナーチェンジで、前後トレッドを左右4mmずつ拡大し、全長を10mm短くしており、取り回しと高速コーナリングのスタビリティが向上しているのだ。
またデザイン変更も大きな変化点として挙げられる。今回の顔つきで面白いのは、単に新しいデザインを与えたのではないことだ。新しいスクデットは限定33台のスーパーカー「33ストラダーレ」から着想を得て、その左右には「アゾレ」と呼ばれる4つの小さな開口部を設けた。これは1930年代のグランプリカー、P3(Tipo B)にも通じる意匠だという。つまり新しい顔を作るために、アルファ ロメオは過去のデザインを掘り起こしてきたのである。

つまり、今回のMCでフェイスリフトした内容は、かつてのアルファ ロメオのデザインをモチーフに33ストラダーレをオマージュし、現代のトナーレの顔にしたというわけ。
こうした顔の作り方は日本車やドイツ車とは一線を画しており、アルフィスタの心を打ち、より深みにハマっていくわけだ。
クルマの魅力は、スペック表だけでは測れない。なぜこのクルマが気になるのか、なぜハンドルを握ると走りたくなるのか。その答えを理屈で説明しようとすると、少し難しい。けれど、そういう説明できない部分こそがアルファ ロメオなのだろう。新しいトナーレは、そのアルファ ロメオらしさをSUVというカタチに凝縮した一台なのだ。


















試乗車価格
車両本体:665万円
オプション:21万7910円
合計価格:686万7910円
試乗車スペック
◆試乗車スペック
Alfa Romeo Tonale Ibrida Veloce
全長4520mm×全幅1835mm×全高1600mm
ホイールベース2635mm
FWD
最小回転半径5.8m
WLTCモード 16.6km/L
市街地モード 14.1km/L
郊外モード 17.5km/L
高速道路モード 17.4km/L
試乗走行距離 728.5km
平均実燃費 15.4km/L
1.5L 直列4気筒ターボ
117kW(160ps)/5750rpm
240Nm/1700rpm
7速DCT
235/40R-20(全輪)
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