【JLR】ディフェンダー110 P300e試乗 快適性の先にある「冒険」──現代のSUVに残された本物の道具感

ランドローバーのSUVと聞くと、多くの人がイメージするのは、快適で静かで、乗用車のように運転できる高級車、ではないだろうか。大径ホイールを履き、インテリアには上質な素材を使い、電子制御によって路面状況に合わせてクルマが最適な状態をつくってくれる。

しかし、ディフェンダーに乗ると、そこには明確に別の世界が存在していることに気づく。

ランドローバーのレンジローバーは、悪路走破性を備えながらも、その能力を感じさせないほど優雅に移動することを得意としている。路面が荒れていても、車内は静かで快適。それはまさに「ラグジュアリーSUV」という言葉そのものだ。

一方のディフェンダーは、悪路を走れることを隠そうとしない。むしろ、その能力をデザインにも、乗り味にも、ドライバーとのコミュニケーションにも残している。

今回試乗したのは、2026年モデルの「DEFENDER 110 X-DYNAMIC HSE P300e」。2.0Lの直列4気筒ターボエンジンに105kWの電動モーターを組み合わせ、システム最高出力300PS、最大トルク625Nmを発揮する。ただ、ディフェンダーの面白さは、巨大なトルクによる力強さも魅力だが、大きなボディを動かしたときに感じる「ゆったり感」にあると思う。

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大きなボディがゆっくり動く

走り出して最初に感じるのは、クルマの動きが穏やかなことだ。ステアリングを切ったとき、「動くぞ」と身構えるような瞬間があって、そのあとに大きなボディがゆっくりとついてくる。この感覚が非常に独特なのだ。

とくに印象的なのが、ボディの「上屋」の動きだ。路面の段差を越えたとき、サスペンションが入力を受け止め、その上に載ったボディが少し遅れて上下する。ところが、これが悪路に入ると意味を変える。路面から入力が次々と入ってくる状況では、ボディが路面に対して神経質に反応しないことが、むしろ大きな武器になる。

つまり、ディフェンダーは路面の情報を全部ドライバーに伝えようとはしない。「ここに段差があります」「右のタイヤが滑っています」「いま車体が傾きました」そんな情報を逐一、ドライバーに知らせるのではなく、サスペンションや4WDシステム、電子制御が受け止めながら、クルマ全体として前へ進んでいく。この「おおらかさ」が、ディフェンダーの能力であり、魅力なのだ。

ディフェンダーの世界観

ディフェンダーについて語るとき、どうしても歴代モデルのラダーフレーム構造を思い浮かべる人が多い。ただし、現行ディフェンダーは伝統的なラダーフレームではない。アルミニウム製のモノコック構造を採用し、現代的なボディ剛性と軽量化を実現している。

それでも乗ってみると、一般的なモノコックSUVとは明らかに違う「道具感」がある。それは構造形式そのものというより、クルマの動かし方、サスペンションの仕事、そしてドライバーに与える情報の伝え方から生まれているのだと思う。

ここに、昔ながらの本格4WD車に通じる感覚がある。もちろん、昔の4WD車ほど無骨ではない。空調もインフォテインメントも快適装備も、現代の高級SUVとして十分に整っている。

2026年モデルでは13.1インチのタッチスクリーンを採用し、インテリアの使い勝手もアップデートされた。つまり、現代的な快適性を身につけながら、クルマの根っこの部分では「どこへでも行く」という思想を失っていない。

ここがディフェンダーを理解するうえで、もっとも重要なポイントかもしれない。四角く、堂々としたボディ。大きなウインドウ。直立したようなキャビン。外から見ても「普通の道だけを走るクルマではない」と感じさせる。

そして実際に運転してみても、そのキャラクターは変わらない。舗装路を走っているときでさえ、クルマの奥に「まだその先へ行ける」という余裕を感じる。これがディフェンダーの世界観なのだと思う。

◆試乗車スペック
DEFENDER110 X-DYNAMIC HSE P300e 26MY
全長4945mm×全幅1995mm×全高1970mm
ホイールベース3020mm
AWD
最小回転半径6.1m
WLTCモード 9.3km/L
直列4気筒ターボ
165kW(224ps)/5500rpm
350Nm/2000rpm
8速AT
交流同期モーター
モーター出力 105kW
最大トルク 278Nm
水冷ステータ
油冷ローター
定格電圧370V
電池容量 19.25kWh
タイヤサイズ(全輪)
255/60R20
価格:1395万394円(26MY オプション込み)

価格(2027MY)

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