横浜ゴムは2018年9月26日、このほど金沢大学・理工研究域・岩井研究室との共同研究により、氷上路面と摩擦中のゴム(走行中のタイヤ)の接地状態を可視化する評価技術を開発したと発表した。この技術を活用することで吸水性に優れた新たな配合剤の発見や排水性の高いトレッドパターンの開発をより高精度に行なうことが可能となり、氷上性能を飛躍的に高めたスタッドレスタイヤの開発が期待できる。
氷上を走行する際、氷表面に発生する水膜によりタイヤが路面に密着できなくなることがグリップ力低下の原因とされており、スタッドレスタイヤには水膜を除去する吸水剤や排水性の高いトレッドパターンが採用されている。
しかし、これまでタイヤと路面の接地面を観察する際、路面とゴムの間に水が入り込んでいる部分とゴムが直接路面に接している部分(真実接触部)は同じように見えるため、見分けるのは困難で真実接触の程度を正確に把握することはできていなかった。
今回、高速度カメラを搭載した特殊試験機の開発により、接地状態を可視化し、真実接触部を識別することに成功。さらに、接触画像を数値化する解析技術の確立により、ゴムの吸水性や排水性を数値的に評価することに成功した。
特殊試験機では氷あるいは氷を再現した透明で平滑な円盤と、ゴムサンプルを最大時速50kmで摩擦させ、その接地面のミクロレベルの画像を高速度カメラで1秒間に100万枚撮影することができるようになっている。また、試験中の摩擦力を同時に測定することができる。
この試験機で撮影した画像は、真実接触部のみを黒く映し出すことができ、例えば吸水剤ありと、吸水剤なしのゴムでは前者の方が黒い部分の面積が広くなることがわかった。さらに接触面積を摩擦力と関連づけるために新たに開発した解析技術で画像を数値化した結果、算出した数値はゴムの摩擦力と高い相関関係があることを明らかにしたのだ。
特殊試験機で撮影した接地面の画像(吸水剤ありと吸水剤なし)の比較では吸水剤なしのゴムは黒い部分(真実接触部)が少なくほとんど接触していないが、吸水剤ありのゴムは黒い部分が増加しており、吸水剤の周囲で真実接触していることがわかる。
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