ミシュランは「すべてを持続可能に」を企業ビジョンとして、環境に配慮したタイヤ作りに取り組んでいる。そのサスティナビリティ戦略から生まれたニュータイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を2026年4月1日に発売した。
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そのニュータイヤのテスト試乗とサスティナビリティ戦略について取材する機会があったので、お伝えしよう。
このサスティナビリティ戦略の背景には、さまざまな環境規制が今後強化されていくことがあり、その対策をとる必要があるからだ。

たとえば、ユーロ7の規制ではタイヤ摩耗による粒子排出量を段階的に削減していく規制がある。これは摩耗粒子の排出量に上限を設け、基準を超えたタイヤは市場投入不可となるものだ。また森林破壊防止規制(EUDR)は天然ゴムなど原材料が森林破壊に関与していないことの証明が必要で、森林破壊を伴わない原材料が要求される。
他にもエコデザイン規制(ESPR)は製品全体の環境性能で、タイヤではリトレッドやリサイクル再生材料利用など、環境設計に関する枠組み規制も行なわれていくのだ。


こうした環境規制を背景にOEMからの要求も変化し、かつてのグリップ、操安性、NVH、ウエットといった性能要求が、現在は転がり抵抗の重要度が増大、電気自動車を視野に高荷重、高トルク対応といったものへシフトしている。そして将来は環境性能が要求されることが予想できるというわけだ。
そのため、ミシュランでは妥協のない基本性能を維持、向上させつつ「高い性能が最後まで続く」ことを基本としている。それは、タイヤの使用本数を削減することで環境対応をしていく戦略で、例えばタイヤ寿命が2万5000kmだとして、20万キロ走行した場合、タイヤは8セット必要になるが、タイヤ寿命が3万5000kmに伸びれば5〜6セットで済む計算ができる。
また商用車用では溝の減ったタイヤに再び溝を掘る「リグルーブ」やトレッドを再生する「リトレッド」を推奨し、タイヤを最後まで使い切ることを考えているのだ。
こうした背景から生まれてきたのが「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」というわけだ。この2タイプの性能テストをしてきたのでお伝えしよう。


まずはプライマシー5エナジーで、車両はトヨタプリウス。高速周回路を走行し、80km/hでレーンチェンジ。50km/hで地面に凸を設置しハーシュネスのチェック。40km/hでスラロームを2ラップ行ない、ウエット路面でのハンドリング路を走行するというものだ。
乗ってすぐに感じるのは「すごくしっかりしているタイヤ」という印象で、剛性感や操舵応答など、しっかり反応がある。レーンチェンジでも応答よくリヤの応答遅れを感じさせない素直さがある。ロードノイズも静かでハーシュネステストも入力が丸く、プレミアム・コンフォートタイヤに相応しい印象だ。
そのままウエットハンドリングコースに入ると、こんなにグリップする?というほどスポーツタイヤに匹敵するかのように高いウエットグリップ性能を体感した。ウエット路面でも操舵の初期応答がよく、またブレーキもしっかりグリップするので安心するタイヤだった。

次にbZ4Xに乗り換え、タイヤはパイロットスポーツ5エナジーをテスト。当たり前だが、プライマシー5エナジーより剛性感としっかり感がワンランク上がり、操舵初期はかなり反応がいい。また切り込んだ時の追従性もよく、操舵角と車両の方向がピタリと一致した動きが気持ちいい。50km/hで凸を超える場所では、さすがに硬さを感じるが、それはプライマシー5エナジーに乗った後の試乗だったからだ。ウエット路面でもグリップ力は高く、タイヤのパワーが勝っている印象で、まだまだbZ4Xに対して余裕があるタイヤだと感じた。



そしてプライマシー5エナジーではウエット路面での短制動テストも行った。このテストでは新品と残溝2mmという状態まで摩耗したタイヤとの比較テストだ。80km/hからのフルブレーキで何メートルで完全停止するかというテストなのだが、驚くのは急ブレーキ中にクルマが安定していることに感心をした。
とくにすり減ったタイヤでウエットブレーキだと、スーッと滑空してしまう瞬間があり、制動感がなく不安を覚えるものだ。それが、プライマシー5エナジーは急ブレーキ初期でノーズダイブをし、その後も滑空することなく制動力が感じられるのだ。結果、制動差は4mほどあったが、残溝2mmという悪条件でこの差はすごいと思う。
まさにミシュランが目指す、高性能が最後までつづく思想を証明できるテスト試乗だった。













