2012年6月28日、パナソニックストレージバッテリー株式会社はアフターマーケット向けの「アイドリングストップ車用バッテリー」、「ハイブリッド車補機用バッテリー」を、BlueBatteryシリーズ「caos（カオス）」ブランドとして新発売すると発表した。発売は7月から順次開始される。
「アイドリングストップ車」や「ハイブリッド車」などのエコカーが急速に普及しているが、これらの車種用のアフターマーケットにおける補修用バッテリーは数少なく、ユーザーはディーラーで純正部品として購入する必要があった。しかし、今後はアフターマーケットの幅広い流通網で購入できることになる。
パナソニックはエコカー用バッテリー（鉛バッテリー）の新車純正装着において高い占有率を持っているが、その実績を生かしてアフターマーケット向け補修用バッテリーとして、展開していくとしている。
商品の特徴は次の通り。
●過酷な使用環境にも耐えられる高い「充電受入性能」、「耐久性」を実現（caosアイドリングストップ車用）
●トランク・車室内搭載のための専用設計とした制御弁式（VRLA）補機バッテリー（caosハイブリッド車補機用）
●高い新車OEM実績を生かし、業界最ラインアップを展開（caosアイドリングストップ車用・caosハイブリッド車補機用）
caosアイドリングストップ用バッテリーが採用した技術
狙いは、停車時にエンジンを停止し、燃費を約7〜10%向上できる「アイドリングストップ車」の普及に対応することだ。アイドリングストップ時にはエアコンのファンなどの電力を全てバッテリーから供給しており、バッテリーは充電不足が続くため、これを解消するためには短時間でより多くの充電ができる「高い充電受入性能」が必要だ。
また、アイドリングストップ車は頻繁にエンジンの「ON/OFF」を繰り返すのでバッテリーに大きな負荷がかかり高い耐久性も必要とされる。今回発売する「caosアイドリングストップ車用バッテリー」は、新車OEMに使用している技術を取り入れ、高い「充電受入性能」と「耐久性」を実現。
充電受入性能を高める技術として、「Vクイック粒子」を採用。負極板に「Vクイック粒子」を採用した独自の配合により、短時間でより多くの電気の充電を可能にし、一般車用バッテリーの約3倍の充電受入性能を実現。また「極板の構成枚数増加」による内部抵抗の軽減も行っている。
充電受入性能を高めるためには、内部抵抗の軽減が必要で「caosアイドリングストップ車用バッテリー」は極板枚数を増やし反応表面積を増加させることで、一般車用バッテリーに比べて内部抵抗を大幅に低減できているという。
さらに耐久性を高める技術として、「正極活物質の高密度化」による極板劣化の防止をしている。正極活物質は深い充放電を繰り返すと粒子間の結合力が失われて劣化が進行するが、「caosアイドリングストップ車用バッテリー」は正極の活物質の密度を高めて粒子間の結合力を向上して耐久性を向上している。
また「耐腐食合金」の採用による負極耳部の腐食防止対策も採用。「アイドリングストップ車」のように頻繁に充放電が繰り返されると負極耳部が腐食し、内部断線することがあるので、パナソニック独自技術となる腐食防止効果の高い「耐腐食合金」を採用し、負極耳部の耐久性を向上したとしている。
なお、アイドリングストップ車は各社から発売されており、車種によってバッテリーに求められる性能が異なるため、使用状況次第では充電不足によるアイドリングストップの停止や、過充電による短寿命の原因となる可能性がある。
このようなトラブルを防止するため、パナソニックは車種の特性に合わせてバッテリーを設計し、アイドリングストップ車用バッテリー規格をベースに識別記号を加え、オリジナル品番を設定している。
caosハイブリッド車補機用バッテリーが採用した技術
ハイブリッド車はエンジンとモーターの2種類の動力源を持ち、状況に応じて動力源を切替えて走行することで燃費を向上させている。
ハイブリッド車には主電源となる「メインバッテリー（リチウムイオン電池またはニッケル水素電池）」と、ハイブリッドシステムの起動やECU（エンジンコントロールユニット）などのバックアップ電源、車内機器の安定化に使われる「補機バッテリー（鉛バッテリー）」が搭載されている。
そのため、ハイブリッド車はエンジンルームのスペースに余裕がない車種が多く、トランクや室内に補機バッテリーを搭載するケースがある。そのため、補水不要の「制御弁式（VRLA）バッテリー」を採用する必要がある。
「制御弁式（VRLA）バッテリー」は通常使用においては外部へのガス排出がなく、万一ガスを排出する場合は、専用の排気構造により車外へ排出されるようになっている。
