トヨタ新型「ヤリスクロス」クロスオーバーSUVを初公開【動画】

トヨタは2020年4月23日、ヤリスをベースにした新型クロスオーバー「ヤリスクロス」初公開しました。ヤリスクロスは、本来3月3日から開催される予定のジュネーブ・モーターショーで発表のはずでしたが、開催が中止されたため、1ヶ月半遅れでWEBサイトでの発表となりました。

モデル概要

ヤリスクロスは、コンパクト・クロスオーバーでTNGA-Bプラットフォームを共用し、パワートレーンもヤリス共通化されています。スポーティ指向のヤリスの資質を継承するクロスオーバーSUVで、トヨタのクロスオーバーSUVのラインアップの中では、ライズとC-HRの間を埋めるモデルとなります。日本では2020年秋、ヨーロッパでは2021年半ばの発売を予定しています。

新型ヤリスクロスは、走る楽しさへのこだわりと、クラスを超えた質感を受け継いだ、都市型コンパクトSUVとして開発されています。ダイナミック性能を重視したヤリス・ハッチバックは、リヤシートの足元スペースが先代より狭く、デザイン的にもリヤ席の閉塞感が強いなど、フロントシート優先のパッケージングに割り切っています。その背景には、実は、よりパッケージングを重視したヤリスクロスがあったからということがわかりました。

もちろんヤリスクロスはBセグメントのクロスオーバーSUVなので、取り回しの良さ、十分な居住性や荷室空間を実現し、基本性能のバランスを重視した走りと利便性を両立させることが狙いです。

ヨーロッパ発のデザイン

ヤリスクロスは、ヤリスと同様に日本、ヨーロッパの市場を重視したモデルで、開発のテーマは「ロバスト」（頑丈さ）としていますが、このデザインはフランのニースにあるヨーロッパ・デザイン・センターが中心になり、まとめられました。

チーフ・デザイナーのランス・スコット氏は、「このセグメントのクロスオーバーはスタイリングが最重視され、同時にコンパクトさと利便性も盛り込む必要があります。そこで、キーワードとして、ミニマムであることとSUVならではの堅牢さを選び、エクステリアのデザイン・テーマは”軽快な動きを表現するダイヤモンド”としました」と語っています。

これまでトヨタはヨーロッパ向けのクルマは「キーンルック」が定番で、カローラ・シリーズやC-HRなども、このデザイン言語を用いていますが、このヤリスクロスはそうしたキーンルックからは少し離れた新しいデザインになっています。

ヤリスよりひと回り大きいボディサイズ

ボディサイズは、全長4180mm、全幅1765mm、全高1560mm、ホイールベースは2560mmで、全長はヤリス・ハッチバックより240mm長く、全幅は日本のヤリス・ハッチバックより70mm、ヨーロッパ・ヤリスより20mmワイド、そしてホイールベースは、ヨーロッパ仕様のヤリス・ハッチバックと共通で日本仕様のヤリス・ハッチバックより10mm長くなっています。また最低地上高はヤリス・ハッチバックより30mm高くなっています。

つまり、ヤリスクロスはヨーロッパのBセグメントのクロスオーバーとほぼ同等のサイズになっています。さらに競争力を高めるために、リヤ・シートバックの折り畳みは40：20：40で、電動リヤゲートも装備しています。

パワートレーン

パワートレーンは1.5L・3気筒のダイナミックフォース・アトキンソンサイクル・エンジンとダイレクトCVT式トランスミッションの組み合わせと、1.5Lダイナミックフォース・アトキンソンサイクル・エンジン+ハイブリッドの2本立てで、これはヤリス・ハッチバックと同様です。

1.5L・3気筒エンジンの熱効率は40%で、ディーゼルエンジンを凌駕する燃費を達成し、ハイブリッド用の1.5L・3気筒エンジンはそれ以上の熱効率を備えています。そして、ハイブリッド・モデルのシステム出力は116ps、CO2排出量は90g/km以下と発表されています。ただし、ヨーロッパ市場でもまだ公式の認証は取得していないようです。

駆動方式はFFと4WDで、自然吸気エンジン車はダイナミックトルクコントロール4WD、ハイブリッド車はリヤの駆動モーターを装備するe-FOURを採用しています。

ヤリスクロスは、デザインだけではなく開発もヨーロッパをベースに行なわれており、ヨーロッパにおけるこのクラスでしっかりとしたポジションを築くことを目指しています。

ヤリスクロスの発売は日本では2020年秋、ヨーロッパでは2021年半ばが予定されています。生産は、日本市場向けはトヨタ自動車東日本、ヨーロッパではヤリス・ハッチバックとともにフランス工場（TMMF)での生産を予定しており、ヤリスクロスだけで年産15万台以上を生産し、ヨーロッパ市場でBセグメントSUVの8%以上のシェアを目指しています。