富士6時間レースで、トヨタが今季初優勝を飾ってから3週間、世界耐久選手権(WEC)は上海に移った。10月下旬にはWECを長年支えてきたアウディ・モータースポーツが今季でWECから撤退すると発表し、感傷的な雰囲気も漂うWEC2016シーズンの終盤戦となった。
■上海6時間レース
2016年11月4日~6日に渡り上海サーキットで開催されたレースの公式予選ではポルシェ1号車がポールポジションを獲得し、決勝レースでも追いすがるトヨタ勢を振り切って優勝。この勝利により、ポルシェのマニュファクチャラー・チャンピオンが確定した。
トヨタは富士スピードウェイで見せたパフォーマンスを依然として備えており、6号車はレース中に2度もパンクしたにもかかわらず、ポルシェ2号車と接戦を演じながら1号車を追い上げ2位に食い込んでいる。
トヨタ5号車は、予選2番手からのスタートとなったが、レース序盤に遅れ、その後はポルシェ2号車と戦いを繰り広げた。最後のピットストップのタイミングで2号車をかわして3位となり、今季初の表彰台に上った。
アウディは、好調の8号車は燃料タンクのトラブルのため遅れ、最終的に5位に食い込むのがやっととなった。一方の7号車は6番手から追い上げていたが、周回遅れのマシンを抜く時に接触し、エアジャッキの空気パイプを破損し、次にピットで修理のために25分を費やし、トップから16周遅れの6位でゴールを迎えた。
■バーレーン6時間レース
上海から2週間後の2016年11月17~19日、WEC2016シーズンの最終戦となるバーレーン6時間レースが中東のバーレーン国際サーキットで開催された。
予選では、メカトラブルなど災難が続いたアウディは最終戦では好調振りを見せつけ、8号車がポールポジションを獲得。
次いでポルシェ1号車、ポルシェ2号車、アウディ7号車と続き、トヨタ勢は4、5番手となった。トヨタは、2台とも予選時にコース外走行のペナルティを受け、ベストタイムが取り消された結果このポジションとなった。
決勝レースは、アウディ8号車のリードで開始された。アウディ7号車も好調で一時はトップに立ったが、ピット作業中のトラブルのために再び8号車がトップに。そしてアウディ8号車はトップを守り切り、7号車が16秒遅れの2番手でフィニッシュを迎え、1-2フィニッシュというまさにこれ以上はない有終の美を飾ることができた。
ポルシェは1号車がトヨタ5号車と接戦を演じ、最終的に3位でレースを終えた。ドライバーのマーク・ウェーバーにとってはこれが最後のレースだが、表彰台に上がることができた。
レースでは1号車より好調だったポルシェ2号車は、レース序盤にGTマシンと接触し、ボディとリヤタイヤを破損し1周遅れになってしまった。その後もペースは上がらず6位でゴールを迎えることになったが、この2号車のドライバー、デュマ/ジャニ/リーブ組がドライバーチャンピオンを獲得し、ポルシェにとってはマニファクチャラー、ドライバーのダブル・チャンピオンシップを独占することができた。
トヨタは、結果次第では6号車にドライバーチャンピオンの可能性が残されていたが5位に終わり、ドライバー選手権ポイントはマニュファクチャラーズ・ポイントと同じ3位となった。バーレーンではトヨタ勢はラップタイムでもアウディ、ポルシェに及ばず、フラストレーションの残る最終戦となった。
アウディが撤退した2017年シーズンはトヨタとポルシェの一騎打ちとなるが、両チームともすでに2017年マシンの開発を進めている。