スーパーGT2024 富士スピードウェイ公式テスト SUBARU BRZ GT300

スーパーGT2024の公式テストが3月23日(土)、24(日)に富士スピードウェイで行なわれ、前週の岡山国際サーキットに続いて2週連続のテストとなった。土曜日、午前の天気は雨。時折強く降るコンディションで、ウエットからヘビーウエットというコンディションだった。

SUBARU BRZ GT300のテストの目的は、今季の予選フォーマット変更やレース距離の変更などに合わせたそれぞれのセットアップを煮詰めることにある。特にダンロップタイヤもグリップを落とさずロングランができる新しいタイヤを開発してきており、そのタイヤとのマッチングも確認していく必要もある。それはまたレインタイヤにも求められるもので、そうした意味では都合の良い天気と言えるかもしれない。

ドライ、小雨、大雨、コンディションは変わり、テストには都合は良かった?のかもしれない

セッション1はタイヤのレンジ確認

テストは最初に山内英輝がコクピットに収まり、テストを開始。途中雨量の変化に合わせて、タイヤも変更するというマッチングを行ない、ある程度の雨量や路面温度に対するタイヤのレンジが見えたところで、今度は井口卓人に交代して同様にテストを繰り返していく。

タイム的には雨量によるコンディション変化があり20秒ほどの幅がある。そして他チームもどのタイヤをテストしているのかわからないため、タイム、順位はあまり意味を持たない状況だ。淡々とマッチングを見る走行といった印象を受けた。

午前のセッション1は3時間の走行枠だったが、残り50分ほどのところで今季からスーパーGTに参戦した45号車のリル・ワドゥー選手が2コーナーでコースアウトし、ガードレールへ激しく接触。赤旗中断となり、午前のテストもそのまま終了してしまった。

ドライパッチのあるコンディションで山内英輝がテストを繰り返す

模擬予選でアッパーグループから2位を獲得

午後のセッション2は模擬予選というスケジュールだ。今季から予選ルールが変更され、Q1とQ2の合計タイムで競われるルールに変更されたが、ウエット宣言された予選では、Q2のタイムで順位を決めることになる。

Q1ではA組、B組の上位8台、合計16台がQ2のアッパーグループになり、17位以下がロワーグループになる。Q2のロワーグループは17位以下の予選で順位を決め、アッパーグループは予選1位から16位までの順位を決めることになる。

BRZ GT300はQ1を井口がニュータイヤを履いてコースインをする。だが、ヘビーレインの状況だ。井口は「2周目で熱が入りグリップはするけど、雨量が多くてハイドロがすぐに起こる状況だった」と話す。そんな悪条件の中、1分55秒860でポジション3位を獲得した。トップは65号車LEON AMG GT3でブリヂストンタイヤを履き、1分54秒344で、2番手以下に1秒以上の差をつける圧巻の走りだった。

さて、Q2ではQ1と同じタイヤというルールになり、BRZ GT300は山内が走る。予選時間は8分間なので計測3周が限界だ。山内は早めのアタックを仕掛け、2ラップアタックを目指す。最初のアタックで1分44秒939をマークしてトップに立ち、つづいて2アタック目に入ったものの、前の車両に追いついてしまい、結局途中でアタックを中断してしまった。

模擬予選のタイムは88号車のランボルギーニにかわされ2位という結果になった。その差僅か0.015秒でポールを逃した。

タラ・レバになるが、ピットが最終コーナーよりにあり、予選時、全車がBRZ GT300より前を走っているわけで、クリアなアタックラップを作るのは難しい。また8分間という予選時間も短く、レインではタイヤに熱を入れる時間が十分とは言い難いだろう。もし1コーナーよりのピットであれば、コースクリアな状況は作りやすく、2アタックができ、88号車を上回ることができたかもしれないのだ。

模擬予選はまだまだ各チームともテスト段階であり、この結果がどの程度意味を持っているのか正確には不明だが、BRZ GT300の戦闘能力は高いレベルでまとまっていることは間違いなさそうだ。

模擬予選はQ1のA組3位、Q2アッパーグループで2位のポジションを獲得

状況に合わせたセットアップ

先シーズンが終わってから今季に向けてのテストについてドライバーからは、これまでで最も走行回数が多く、走行距離も長く走れているので、いろんなデータが取れてきたと話す。なかでも井口はロングランができ、決勝レースを見据えてのセットアップもまとまりつつあると話す。

セットアップの内容では、Q1はニュータイヤで、その時のジオメトリーがある。そしてQ2では同じタイヤを使うことが条件なので、ユーズドでのセットアップになる。そして決勝では、さらにそのタイヤでスタートをし、燃料も搭載するので車重も変わる。そこをそれぞれのジオメトリーに変更して、決勝を迎えるという手順がまとまり出したということだ。

(左)オーディションドライバーの奥本隼士、(中)井口卓人、(右)山内英輝ともに表情は明るい

デイ2 セッション3

2日目のテストは午前3時間、午後3時間とたっぷりの時間が設定されていた。だが、午前は気温8度、路温8度という低さでレース環境では想定しにくい気温の低さだった。また路面は完全なドライではなく、部分的に濡れた状態が残っている。気温も低いため走行しても乾きにくい状況だった。

今季からカーボンニュートラル燃料をハイオクに50%混ぜて使用する

そうした条件の中でもBRZ GT300はおおむね、トップ10以内には常時ポジションし、ときどきトップタイムをマークする走りを見せていた。そしてセッション3の後半では井口がロングランのテストに入った。しかしながら、路面温度は一向に上がらず、ロングランテストをするには路温が低すぎる状態だった。そのため、10ラップ弱の周回ごとにタイヤを変更し、ユーズドでのライフ確認を行なっていた。

BRZ GT300のタイムは9番手でトップ2号車とは0.594秒差で、前年チャンピオンの52号車は8位、65号車のLEONは2番手、そしてBMWワークスのスペングラーが乗る7号車BMWは5番手で、強力なライバルたちは順当に上位にポジションしていた。

もう少しドライでのテストをやりたかったと話すSTI小澤正弘総監督

セッション4

午後は雨になりウエットでの走行になった。ダンロップはウエットタイヤも数種類を新規設計しており、雨の状況によって使い分けていくことになる。

テスト開始直後は小雨で、水煙は上がらないもののドライではない。時折、雨が強くなりコンディションは変化する。その都度、マッチするタイヤを探すテストとしては好都合だったのかもしれない。

路面のウエット状態は続き、レインタイヤのテストが多くなった

井口は、30ラップほどこなすが、ピットインも繰り返し、コンディションに合わせるようにタイヤ交換もしていく、その中で、昨年まで課題だった、少量の雨というコンディションでのタイヤに目処がついたようだ。ラップタイムも安定して、おおきなグリップダウンも起きなかった。ただ、部分的にドライ路面があるような状況になると、タイヤの消耗が激しく、ロングランで勝負するにはハードルが高そうだった。

テスト開始から1時間半あたりから山内に変わり、引き続きウエットでのテストをする。雨は次第に激しくなり、水煙も上がり始めた。

フルウエットの状態になるBRZ GT300は安定して走行ができ、ウエットでのトータルは70ラップを刻み、タイムも2番手付近で安定した。トップと3番手はミシュランタイヤを履くマシンたちだ。

小澤総監督

「雨の状況でのグリップ具合、発熱状態の確認はできたのでまずまずのテストでした。でも路面温度の上がった状態のドライのテストはもう少しやりたかったですね。ドライでのセットアップをもう少し煮詰めたいといいうのが本音です」

今回の富士スピードウェイでの公式テストは各チームとも期待どおりということにはならなかっただろうが、この低い気温のドライ、ウエットのデータをどう解析して本番レースに活用していくのかというテストになったようだ。

開幕は4月12日(土)、13日(金)岡山国際サーキットで幕を開ける。2度目のシリーズチャンピオンを目指すBRZ GT300のレースはまもなく始まる。

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(2024年3月18日)

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