三菱自動車は2026年9月2日、5代目となる新型クロスカントリーSUV「パジェロ」を世界初披露した。4代目パジェロは2006年にデビューして2021年に販売を終了しており、今回の5代目は20年振りの復活となる。

新型パジェロは単なるモデルチェンジにとどまらず、三菱が2026年5月に示した中長期ビジョン「尖った商品・ブランドの強化によりお客様満足と企業価値を向上」を体現するブランドを象徴する、新たなフラッグシップモデルに位置づけられている。
投入スケジュールは、生産拠点であるタイを皮切りに2026年度中に日本、オーストラリアへ展開。2027年以降は、ASEAN、中南米、中東などグローバルで約100カ国へ順次展開していく計画だ。
なお、今回のワールドプレミアの時点では日本市場でのグレード展開、価格などは発表されていない。
42年のヘリテージ
パジェロの歴史は1982年に遡る。本格的な悪路走破性と乗用車並みの快適性を高次元で融合した、乗用車感覚で使いこなせる全く新しい多目的4WD車として初代モデルが誕生し、アウトドアレジャーを楽しむユーザー層を中心に世界的な支持を獲得してきた。
1991年から2021年にかけての第2世代から第4世代では、「悪路走破性・耐久信頼性」と「快適性」の高次元での両立を追求し、”オールラウンドSUV”として時代に合わせて進化を続けてきた。初代から4代目までの累計生産台数は325万台を超え、170以上の国と地域で販売されてきた三菱自動車を代表するモデルである。
なお、4代目までは岐阜県のパジェロ製造工場で生産されてきたが、このニューモデルからはタイ工場での生産となる。

コンセプトは「グランドカリスマ ―泰然自若―」
新型パジェロが掲げる商品コンセプトは “First-class & All-rounder CHARISMA”。「悪路走破性・耐久信頼性」と「快適性」を高い次元で両立しながら、三菱らしさの具現化と、時代が求める”先進性・上質さを付加した、フラッグシップとなる”オールラウンドSUV”を目指している。

三菱のDNAである「悪路走破性・堅牢性・環境性能」を軸に、ASEAN市場が求める耐久信頼性、3列シートのパッケージと、先進国市場が求める実用性、走行安定性の両方を地域最適化しながら満たす設計思想となっている。
商品ポジショニングのマップ上では、従来モデルおよび兄弟車の「パジェロスポーツ」が担ってきた”伝統的・実用性重視”の軸から、新型パジェロは”先進的・上質/洗練”の方向へ大きく踏み出している。従来からの提供価値である「Confidence」(悪路走破性、信頼性)、「Comfort」(快適性)を追求しつつ、今回新たに「Prestige」(存在感や上質さ)を付加し、全方位にわたって進化させたという。
デザイン・コンセプトには「グランドカリスマ ―泰然自若―」という言葉が与えられ、4代目モデルの発売から20年という時代の変化を見据えつつ、歴代モデルが培ってきたヘリテージを継承しながら、次世代のフラッグシップにふさわしい独創的な進化を目指している。
専用開発ラダーフレームと新開発サスペンション
新型パジェロは、もともとはトライトンの3列シート・モデルの商品企画が原点であったが、最終的に新生パジェロとして再定義している。

そしてトライトン用のラダーフレームを改良し、補強材の追加、高張力鋼板の適用範囲を拡大することで高いねじり剛性を確保し、堅牢性と高い走行安定性を実現している。


サスペンションはフロントにハイマウント・ダブルウィッシュボーン式、リヤはトライトンがリーフスプリングを採用したリジッド式であるにに対し、パジェロは新開発の5リンク式リジッドサスペンションを採用。これにより、優れた路面接地性と高い悪路走破性を確保しながら、自然なステアリングフィールとフラットで快適な乗り心地を両立させたという。
新世代2.4Lクリーンディーゼルと新開発8速AT
パワートレインは、トライトンに搭載される出力150kW(204ps)の2.4Lの4気筒クリーンディーゼルエンジンを縦置きに搭載。応答性を重視してシングルVGターボを新採用するなどの改良を加え、最大トルクを従来比10Nm向上の480Nm(一部仕様では470Nm)まで高め、発進時から高速域まで力強くレスポンスの良い加速を実現している。

なお、ディーゼルエンジンを搭載しているため、アメリカ市場には対応しておらず、東南アジア、中東、豪州、南米での販売となる。

トランスミッションは新開発の縦置きトランスファー一体型の8速AT(スポーツモード付)を組み合わせることで、スムーズかつ滑らかな変速フィールを両立。厳しい排ガス規制に対応しながら、力強いトルクと滑らかな加速性能、そして優れた静粛性を実現している。
「SS4-II」と「S-AWC」によるオールラウンドな走り
新型パジェロは、世界中の過酷な環境で磨き上げてきた「スーパーセレクト4WD-Ⅱ」を継承する。走行シーンに応じて4モードを選択できる本格クロスカントリー4WDシステムだ。

駆動方法は、2Hは後輪駆動、4Hがフルタイム4WD、4HLcはセンターデフロックで、4LLcはローギヤ+センターデフロックとなり、路面に合わせて選択できる。
さらに今回、三菱独自の車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」を新たに採用している。SS4-Ⅱ、AYC(アクティブヨーコントロール)、ASTC(アクティブ・スタビリティ&トラクションコントロール)、ABSを統合制御し、前後輪間のトルク配分、左右輪間のトルクベクタリング、4輪ブレーキ制御を組み合わせることで、路面状況やドライバー操作に応じた最適な走行安定性と自然で意のままのハンドリングを実現している。

ドライブモードは、NORMAL、ECO、GRAVEL、SNOW、MUD、SAND、ROCKという7種類のドライモードを備え、あらゆる路面状況に適合し、安全・安心・快適に、自信を持って運転できるようになっている。
また、大型ボディでありながら、高い着座位置とワイドな視界による視野角81.7度、最小回転半径5.8mとし、日常シーンで車体の大きさを感じさせない取り回しの良さにも配慮されている。
エクステリア
ボディサイズは、全長4920mm、全幅1925mm、全高1910mm、前後トレッド1630mm、ホイールベース2870mmで、グローバルEセグメント・サイズとなっている。車両重量は2460kg。

クロスカントリー4WDらしく最低地上高は230mmとし、優れたアプローチアングル(30.4度)、ランプブレークオーバーアングル(22.6度)、デパーチャーアングル(25.8度)を確保。52:48と最適化した前後重量配分、高剛性で耐久性に優れるラダーフレーム、ストローク量が多く路面追従性に優れるサスペンションと合わせ、卓越した悪路走破性を実現している。

エクステリアは、初代モデルから受け継ぐ水平基調のスクエアで塊感のある力強いプロポーションをベースに、パフォーマンスを表す力強いフェンダーと立体感あふれるボディで進化。サイドには初代パジェロのロールバーから着想を得たCピラーを配し、フロントには特徴的なT字型ヘッドランプ、リヤには歴代モデルの背面タイヤを想起させるヘキサゴンデザインのモチーフを採用するなど、パジェロのDNAが表現されている。
インテリア
インテリアは、初代モデルから受け継ぐ水平基調のインストルメントパネルにより、優れた機能性と上質な室内空間を両立。視認性に優れた2枚の14.3インチ(グレードにより12.3インチも設定)大型ディスプレイで構成される「モノリスディスプレイ」には、パジェロ伝統の3連メーターを現代的に進化させたマルチメーターを含む、直感的なグラフィックスが採用されている。

14.3インチディスプレイは、オープニングムービーやドライブモードごとに用意された専用演出に加え、メーター背景が時間の経過に合わせてリアルタイムに変化する全16種類のビジュアルを採用している。

パジェロ伝統の3連メーターを現代的に再現したマルチメーターは、GPSやジャイロセンサー、車速、加速度などの車両情報を活用して、走行状況をわかりやすく表示する。

さらに、スマートフォンとのワイヤレス接続に対応したスマートフォン連携ディスプレイオーディオを採用し、地図アプリや音楽アプリなどを直感的に操作できる利便性を実現している。

インストルメントパネルやドアトリムには、日本の伝統工芸「木目込み」に着想を得た縫製技法によるソフトマテリアルを用い、フラッグシップにふさわしい立体感と上質感を演出。所有欲を満たす14.3インチのスマートフォン連携ディスプレイオーディオには、時間帯によって背景が変化する「ライブバックグラウンド」機能も装備される。
パッケージング
3列7名乗車パッケージングにおいて、シート配置と空間形状を最適化し、全席でゆとりある居住空間を確保した。2列目シートは150mmのロングスライドとタンブル機構を備え、乗降性と使い勝手を向上。3列目シートも、大人が着座した際の余裕あるヘッドクリアランスと、つま先がシート下に収まる足元レイアウトが工夫されている。

静粛性は、ウインドシールドガラスに加え前後のドアガラスにも遮音ガラスを採用することで、すべての座席で快適な会話ができるレベルの上質な室内空間を実現した。
快適装備としては、3ゾーン独立温度コントロール式フルオートエアコンや電動パノラマサンルーフを搭載。オーディオシステムには、ヤマハと共同開発したプレミアムオーディオ「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を採用し、計12個のスピーカーとデュアルアンプに加え、車速に応じて音量や音質を自動調整するサウンド補正機能により、走行条件を問わず高品質なオーディオ環境を実現している。
インフォテイメントと安全装備
移動時間そのものに、新たな価値を提供する先進のインフォテインメントシステムを採用。スマートフォンとのワイヤレス接続に対応したスマートフォン連携ディスプレイオーディオを採用し、地図アプリや音楽アプリなどを直感的に操作できる利便性を実現している。
安全システムは、衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM](歩行者・自転車・自動二輪車運転者検知付、交差点アシスト)、前方衝突予測警報[PFCW]、踏み間違い衝突防止アシスト[EAPM]などの予防安全技術を採用。
緊急時車線維持支援機能[ELA]を初採用し、前方カメラとレーダーにより車線や周辺車両を認識し、車線逸脱の危険を検知した際には警報やステアリング制御によってサポートを行なう。また、交差点で左右から接近する車両を検知して注意喚起を行う前進時交差車両検知警報システム[FCTA]を搭載し、出会い頭の衝突リスクを低減している。
運転支援技術は、高速道路同一車線運転支援機能「マイパイロット(MIPILOT)」を搭載。レーダークルーズコントロールシステム[ACC]と車線維持支援機能[LKA]の統合制御により、高速道路で車間距離と車線中央の維持を支援し、長距離移動時のドライバーの疲労を軽減することができる。
また、車両に搭載した4個のカメラ映像と車両の3Dモデルを組み合わせることで、車両周辺の状況を直感的に把握できる3Dマルチアラウンドモニターを採用。
毎秒約30枚の映像をもとに周辺環境をリアルタイムで表示し、日常の車庫入れや狭い道での取り回しはもちろん、オフロード走行時にも周囲の状況を確認できる。
そしてオフロード走行時には「フロントアンダーフロアビュー」が起動し、急勾配や岩場などの悪路において、ドライバーから見えない車両前方や下部などの路面状況を映像で確認することが可能だ。
コネクティビティでは、「MITSUBISHI CONNECT」を装備しており、スマートフォンからのエアコン操作や車両状態の確認、緊急時にオペレーションセンターへ接続するSOSコールなど、多彩なコネクテッドサービスを利用することができる。
なお、この新型パジェロに続いて、コンパクトサイズのパジェロ、軽自動車サイズのパジェロ・シリーズも企画されており、三菱は近い将来にパジェロ・ファミリーを展開する計画になっている。














