ホンダのAセグメントサイズのEV「SUPER ONE」は2026年1月の東京オートサロンでプロトタイプが発表され、4月10日に正式発表、5月22日に発売開始とスピード感ある展開で我々の手元に届いた。そのスーパーワンを箱根でドライブしてきたのでお伝えしよう。

事前の情報としては、EVのコンパクトハッチバックでエンジン音と有段シフトフィールがある痛快なホットハッチとPRされていた。実際に走ってみると間違いなく楽しく走れるコンパクトハッチであり、使い切れるパワーと振り回せる手の内化が楽しめるモデルだったのは間違いない。
ホンダの電動化技術はゼロシリーズを中止したことで、多くの人が電動化へのシフトを失敗経営と言うが、電動化を止めたわけではなく、ゼロシリーズの開発中止を電動化の中止とイコールに理解している人が多い。しかし、ホンダはSDV化も進め、EVモデルも出してくるのだ。並行してハイブリッドやプラグインハイブリッドなどエンジンを搭載しつつも電動化されたモデルが市場に投入され、新しい価値を我々に提供してくれるのは間違いないのだ。
そのEVモデルとしてN- VAN e、N-one eそして今回のSUPER ONEへと繋がっているわけで、軽自動車のプラットフォームを使ったEV第3弾というわけだ。したがって、ボディサイズもコンパクトなのだが、見ての通りブリスターフェンダーで武装しており楽しいルックスをしている。





全長3580mm、全幅1575mm、全高1615mmでホイールベースは2520mm。N-ONE eをベースにトレッドを50mm広げてスポーティなEVに仕上げている。
このスーパーワンが提供している価値は何か。それはエンジン車でスポーツドライブの腕を磨いてきたユーザーへ、EVになってもその楽しいドライビングの世界は提供できるというメッセージだろう。メインターゲットを50、60代で、実際の購入者も90%が男性だという。そこも狙い通りだとホンダは言っている。さらにサブターゲットはその人たちの子供世代で、親からの影響もあり80、90年代のモノに興味がある20代としているのだ。
したがって、BOOSTモードではエンジン音が聞こえ、有段シフトのフィールが得られるこだわりの制御も、そうしたユーザーに刺さっていると分析している。
EVになるとエンジンではできなかったことがたくさんあり、より意のままに操る世界に入り込めるため、魅力が大きくなるとする一方で「音」が重要であると考える人もいる。
ホンダの開発陣もスーパーワンの開発では「刺激の最大化」としてサウンドと全身で感じる有段シフトフィイールを重要な要素としている。特に直感的な操作には「音」が必要不可欠であるといっているのだ。
これはエンジンでスポーツドライブを体験したから、当然そう感じるわけで、一般道の峠を走行する時にそこまで重要かは疑問であるが、演出という意味では大きな意味があるのは伝わってくる。
しかしそれ以上にGによる痛快感が強い印象に残るのだ。つまり旋回性の高さ、駆け抜ける手応えが素晴らしく、クルマとして高いレベルにあることが伝わってくる。
50mmトレッドを広げただけで、こうもしっかり走れるのようになるのかというのが印象的だ。もちろん、ワイドトレッド化したことでタイヤサイズがアップし、185/55-15になりグリップ力も上がっている。逆にエアボリュームがあるから乗り心地もいい。
何よりタイヤからの入力が大きくなるため、ジオメトリーの作り直し、ボディ剛性の向上といった車両開発全体がしっかりと見直された結果が、その駆け抜ける手応えなんだということだ。
それはシートでも感じられ、バケット風の座り心地は旋回Gをしっかり受け止めるシート形状でありながら、見た目は都会的なセンスでデザインした表皮になっているギャップも楽しい。
これらは軽用プラットフォームの熟成とセンタータンクレイアウトの部位にバッテリーを配置し、低重心としている点も効果が大きい。専用アルミ鍛造ロアアームやドライブシャフトも延長し、ねじれ剛性を等価となるよう設計し、さらに前後の剛性バランスを見直すといったスポーツカー設計要素に注力して、開発された結果なのだ。
クルマがEVになることで、提供できる価値も変化してくるわけで、当然エンジンとは異なってくるものだ。今はまだ、エンジンと同じようにすることを求めるユーザーもいるが、重要なのは人はどこで、何を感じているのかだと思う。
デザインも含め、視覚、体感、聴覚、など刺激を受ければ人は「楽しい」とか「嬉しい」「下手」などと感じるわけで、「感じる」ことができるのかどうか、そこが今後のEVからの提供価値のキーになると感じた試乗だった。

ついでに価格が安い!ことも追記。モノグレードなので339万200円。これに補助金が130万円あるので、209万200円!さらに東京都など手厚く補助金を出す自治体であれば、さらに安く購入できるわけだ。
そうなるとセカンドカーも可能だろうし、V2Hの定置バッテリーの役目も果たせるわけで、ソーラー発電の出し入れ用としても検討できる逸材なのだ。これもEVが提供できる大きな価値ではないだろうか。








価格

諸元














