ホンダ新型インサイト試乗 EVへの橋渡し役は成功するのか?

2026年3月にホンダから4世代目となった「ホンダ インサイト」が発表された。

この時、インサイトの位置付けは初代が1999年にガソリン車からハイブリッド車への先駆者的役割を果たし、4代目はハイブリッドからEVへの先駆者としての位置付けであるとしていた。

さらに投入の狙いとして、2027年にデビュー予定としていたゼロシリーズへとつながるエントリーモデルの位置付けで、2026年はこのインサイトとスーパーワンの2台のEVで市場を牽引していく計画だと説明していた。

ホンダのEV戦略見直しで変わる立ち位置

がしかし、ゼロシリーズは計画の見直しが行なわれ、このあと試乗するスーパーワンはBEVでありながらエンジン車のようなサウンドや変速ショックを再現したモデルとして仕上げられている。ホンダのEV戦略は大きな転換点を迎えており、インサイトの立ち位置も当初とは変化しているように見える。

中国生まれの新型インサイト

さて、すでにお伝えしているが、新型インサイトは中国の東風ホンダで生産され、日本へ逆輸入されたモデルだ。中国では2024年から「ENS2」として販売されており、日本仕様では右ハンドル化とCHAdeMO急速充電への対応が行なわれている。

デザインは見ての通りエッジの効いたプレスラインが特徴的で、従来のインサイトとの共通点は少ない。ホンダによれば、4代目インサイトはクロスオーバーSUVとして「EVの新たな価値」を提案するモデルと位置付けられている。

そのボディサイズはヴェゼルのプラットフォームを流用しながらも、全長4785mm、全幅1840mm、全高1570mm。C+セグメントながらDセグメント級の存在感を持つ。

ホンダもアッパーミドルセグメントという表現を用いており、プレミアムな移動体験を求めるユーザーをターゲットとしている。また販売台数は3000台限定で、希少性も特徴のひとつだ。

上質さを追求した室内空間

そんな状況の中で発売されたインサイトだが、まず印象的なのは室内空間の広さだ。足元はフラットでゆとりがあり、EVらしくセンタートンネルのない開放的な空間となっている。

5ドアハッチバックスタイルということもあり、ラゲッジスペースも十分な容量を確保している。

シンプルで洗練されたコックピット

メーターまわりは非常にシンプルだ。速度表示用のメーターは横長でコンパクトなサイズだが、視認性に不満はない。

ダッシュボードは水平基調のデザインで統一され、中央には大型ディスプレイを配置。シフトレバーは廃止され、センターコンソールのボタン式セレクターが採用されている。

全体としてスタイリッシュな印象で、試乗車の鮮やかなブルー(アクアトパーズ・メタリックⅡ)も相まって横浜の市街地ではかなり目を引く存在だった。

市街地で感じた走りの実力

もちろん、BEVなので静かに走行し、シートも柔らかなソファ系なので高級な気分になる。装着するタイヤもコンチネンタルのウルトラコンタクトUC6でアジア向けの乗り心地と静粛性に配慮したコンフォート系タイヤを装着している。サイズは225/50-18で汎用性の高いサイズだ。

一方で速度が上がるとモーター音がやや目立つ。日産リーフと比較すると、モーター音は大きめという印象を受けた。

それでもアクセル操作への反応は自然で、発進時の扱いやすさは高い。中間加速ではモーターならではの力強いトルクが発揮され、大柄なボディを感じさせない余裕ある走りを見せる。

快適性の裏で気になったロードノイズ

操舵フィールは軽快で素直だ。直進安定性も高く、日常域で不満を感じることはない。

ただし後席ではロードノイズがやや気になる。同乗した編集者からも「EVは静かという先入観があるだけに、後席で聞くとノイズは大きめに感じる」とのコメントがあった。

ホンダセンシングは今や「あたりまえ」の時代

ADASはホンダセンシングを標準装備している。高速道路では積極的に活用したい装備だが、現在では多くの車種が同等機能を搭載しているため、最先端という印象は薄い。

むしろOTAアップデートによって機能進化していく時代において、こうした運転支援機能が「あって当たり前」になりつつあることを実感した。

次世代EVへつながる一台となるか

新型インサイトは従来のハイブリッド専用車から大きく姿を変え、EVクロスオーバーSUVとして生まれ変わった。広い室内空間や上質な乗り味、個性的なデザインは大きな魅力だ。

一方で、EVとして突出した先進性や革新性を感じる部分は限定的で、ホンダの電動化戦略が揺れ動く中で登場した過渡期のモデルという印象も残る。

それでも初代インサイトがハイブリッド時代の扉を開いたように、この4代目もホンダの次世代EV戦略を占う重要な一台であることは間違いない。

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