今回お伝えするのはボルボXC90。「あれ？ボルボはEV専業になるんじゃなかったけ？」と、クルマに詳しい方は思うかもしれないが、いずれはEV専業になるが、そのプロセスの途中にいるということで、目標値を変更しているのだ。
当初、2030年までにBEV化100％としていたが、それを少し遅らせる判断をしたということ。狙いはCO2ゼロに変わりはないので、2040年までに温室効果ガス排出ゼロ企業になる目標は変わっていない。車両については今年度（2025年度）中に50〜60％をBEVとPHEVする。そして2030年までに90〜100％をBEVとEVにする目標だ。
つまり、しばらくはICEを使ったモデルは継続生産される目標に変わったわけで、一方でEVの投入計画は当初の予定どおり進めていくとしているのだ。
ということで、XC90のマイルドハイブリッドとプラグイン・ハイブリッドがフェイスリフトを行なっている。現行のXC90は2016年に国内導入されており、9年ぶり2回目のマイナーチェンジだ。販売台数もまもなく100万台に到達するという息の長いモデルだ。
XC90はボルボのSUVのフラッグシップモデルで、3列シートの7人乗り。マイルドハイブリッドは、エンジンがミラーサイクルを採用したエンジンになり、燃費が約5.3%向上している。モデルラインアップは「Plus B5 AWD」「Ultra B5 AWD」を用意している。
そして今回試乗してきたのはPHEVで「Ultra T8 AWD Plug-in hybrid」。エンジンは2.0L4気筒ターボのB420型で317ps/400Nmの出力を持っている。これに前後モーターを搭載し、フロントモーターが53ps/165Nm、リヤモーターは107ps/309Nmの高出力モーターを搭載している。バッテリーは18.8kWhでEV走行可能距離は73kmとなっている。
じつはこのPHEVモデルのハードスペックに変更はなく、いわゆるフェイスリフトでフロントとリヤのデザインの変更が中心なのだ。ところがフロントフェイスの変更とはいえAピラーより前側は全て変更されているのだ。それはボンネットも左右のフェンダーも変更されているので、MCとしてはビッグマイナーと言っていい。
これはEVのEX90と共通のデザインテイストが盛り込まれたわけで、グリルデザインやLEDヘッドライトはよりスリムになりつつ、デザインアイコンのトールハンマーは残している。もちろんバンパーも新デザインになっているので、フロントフェイスを見る限り新型XC-90と見間違えるほど変わっているのだ。
またインテリアにも手が入り、インパネのデザインが以前より直線的になり、また100％リサイクル素材を採用したテキスタイルパネルとウッドパネルを組み合わせたトリムとするなど、細かな変更がある。またセンターコンソールの使い勝手が改良され、より使いやすく変更されているのだ。
このXC90にはエアサスペンションが標準装備されており、フラッグシップモデルに相応しい上質な乗り心地が提供されている。さらに乗降時や高速走行などでは自動で車高調整する機能も持っている。そして静粛性も極めて高い。
ピラーに発泡充填材を注入し、剛性だけでなく遮音性も上げ、合わせガラスは標準装備とするなど走行音への配慮がある。
ややゆったりめのボディの動きと乗り心地の良さ、高い静粛性がXC90の特徴であり、魅力でもある部分だ。そしてEV走行も積極的に行なう制御で、バッテリー残量次第だが、EVの素早いレスポンスは気持ち良い。
3列目シートは170cmまでならOKとされ、それなりに広さはあるが、乗降性は高くなく、元気な子供向けシートかもしれない。
実際、ボルボジャパンによるとオーナーの傾向として若い世代が多く、子供が2人で、まだ小さいといった家族。祖父、祖母も元気という家族構成のオーナーがチョイスしているモデルと説明していた。
残念ながら急速充電には対応しておらず、家庭での普通充電の対応になる。CHAdeMOへの対応は開発段階でコストや時間がかかると言われており、ボルボが今後PHEVをCHAdeMO対応するかは台数次第なのかもしれない。
ユーザーとしてはCO2削減をどの手段で行なうのがいいか、選択肢が多い方がありがたいわけだが、そうした製造側の理由もあり難しいところだろう。
価格
XC90 Plus B5 AWD：1019万円（税込み）
XC90 Ultra B5 AWD：1099万円（税込み）
XC90 Ultra T8 AWD Plug-in hybrid：1294万円（税込み）
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