フェラーリ 800psを発生するV12スパイダー「812GTS」復活

フェラーリは2019年9月9日、フロントにV型12気筒を搭載したスポーツ・スパイダー「812GTS」をマラネロで初公開した。

フェラーリ 800psを発生するV12スパイダー「812GTS」復活

復活したV12フロント・エンジンのスパイダー

フェラーリのV12スパイダーは1948年に登場した166MMから始まっている。この本格的なコンペティションGTモデルは、1949年に世界で有名な耐久レース、ミッレ・ミリアとル・マン24時間に勝利した。

そのV12フロント・エンジン・モデル・シリーズの最後のモデルは、1969年にデビューした365GTS4であった。このモデルは「デイトナ・スパイダー」とも呼ばれている。1967年のデイトナ24時間レースにおいて、2台のワークス330P4とNARTの412Pが横一線に並んでチェッカーを受け、1位〜3位を独占するというフェラーリの伝説的な勝利を記念したことに由来している。

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その後、フロントにV12を搭載したフェラーリのスパイダーは、365GTS4以降は登場していない。例外的に4台のスペシャル・シリーズ限定エディション、2000年の550バルケッタ・ピニンファリーナ、2005年のスーパーアメリカ、2010年のSAアペルタ、近年では2014年のF60アメリカなどの限定モデルがあり、F60アメリカは、わずか10台のみ製造された。

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そして今回、新たに登場した812GTSのパフォーマンスはスパイダー・モデルとして新たなベンチマークとなる。出力800psを発生する自然吸気V12エンジンを搭載したフェラーリは、ただ単に市場で最もパワフルなプロダクション・スパイダー・モデルというだけではなく、このセグメントで唯一のリトラクタブル・ハードトップによって、優れた実用性能とより大きなトランク容量を実現している。

このリトラクタブル・ハードトップは、45km/h以下であればわずか14秒で開閉し、しかもインテリア空間に影響を及ぼさず、広々としたコックピットが実現している。ウインドストッパーとして機能する電動リヤスクリーンは、ハードトップを格納すると立ち上がり、乱流を抑え快適性な居住性を保つことができる。また、ルーフがアップするとウインドストッパーが下がり、ドライバーもパッセンジャーも自然吸気V12エンジンの独特なラグジュアリー・サウンドを堪能することができる。

自然吸気V12エンジン

812GTは、812スーパーファストのスパイダー・バージョンであり、そのエンジン・パフォーマンスを引き継いでいる。パワーユニットは、800ps/8500 rpmという大出力を誇り、このクラスで最もパワフルだ。718Nmのトルクは812スーパーファストとほぼ同等の加速性能を実現し、8900rpmという高いレブリミットによってスポーティ・ドライビングを満喫することができる。

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この傑出したパフォーマンスは、エンジン設計の最適設計や350バールのダイレクトインジェクション・システムをはじめ、自然吸気F1エンジン由来の可変吸気システムなどによるものだ。排気量は6.2Lから6.5Lに拡大することで最高出力を引き上げ、しかも低回転域でも鋭いピックアップを実現している。

燃料の噴霧を改善するため350バールという高圧直噴が採用され、さらにガソリン粒子フィルター(GPF)を装備している。またスタート&ストップ・システムを装備し、最新の排ガス規制をパスしている。

許容最高回転数の8500rpmまで一気に上昇する出力曲線の形状、低慣性エンジンによる回転速度の上昇スピードは、搭乗者に無限ともいえる感覚のパワー感と加速感をもたらす。加速感は、全ギヤにおける最高出力の増加と6500〜8900rpmの出力曲線の最適化によるものだ。

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デュアルクラッチ・トランスミッションのギヤ・シフトは、車両のスポーツ性を高めている。マネッティーノによりスポーツモードに設定にした際、アップシフトとダウンシフトのどちらの時間も大幅に短縮され、クロスしたギヤ比と組み合わせたことで、ドライバーは瞬時にスロットルに反応する車両の挙動を感じることができる。

動力性能は、0-100km/h加速は3秒未満、0-200km/h加速8.3秒。最高速度は、812 スーパーファストと同じ340km/hとなっている。

エグゾースト・システムも進化している。ルーフ・ダウン時の極めてスポーティなサウンドを強調するためにサウンド音量を上げている。さらに、排気レイアウトは中央の延長パイプの長さを変更することで高周派サウンドを強調。6-1エギゾースト・マニホールドのパイプを等長とし、サウンドをチューニングしている。その結果、ドライビング中にキャビン内にはフルボディのV12サウンドを楽しむことができる。

デザインとエアロダイナミクス

812GTSはフェラーリ・スタイリング・センターがデザインし、V12を搭載するフロントエンジンの伝統的なフォルム、プロポーションを踏襲しており、エクステリア・サイズ、キャビンのスペース、快適性のいずれも犠牲にすることなくスポーツ性とエレガンスさを融合させている。812GTSのサイド・ビューは流麗なファストバックで、栄光の1968年式365GTB4(デイトナ)を想起させるハイ・テールのデザインだ。

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もちろんリヤ部分(ルーフ、トノカバー、ラゲッジ・コンパートメント)は専用設計されている。ルーフの可動メカニズムが格納されている2つのバットレスを中心にスムーズな形状でまとめられている。

812GTSは空力的にベルリネッタ・バージョンと同じ性能をリトラクタブル・ルーフで実現すると同時に、ルーフを下げた状態での走行時の乗員の快適性を最大限に高めている。そしてボディ底面で効率的なダウンフォースを得るために、リヤ・ディフューザーに3枚のフラップを一体化させている。

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運動性能

812GTSは、812スーパーファストのコンポーネント・システムと制御システムをすべて搭載している。電動パワーステアリング(EPS)を備え、フェラーリが特許を取得したSSCバージョン5.0を含むすべての電子ビークル・ダイナミクス・コントロールと統合することにより、性能面におけるポテンシャルを最大限引き出すことができる。

さらに統合制御されるバーチャル・ショートホイールベース2.0システム(PCV:後輪操舵システム))を採用。これはF12tdfに初搭載されたシステムを進化させている。

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またドライバー支援システムも充実している。フェラーリ・ピークパフォーマンス(FPP)は、コーナリング時にグリップが限界域に達すると、ステアリングホイールの重さを変化させてドライバーに注意を促す。フェラーリ・パワーオーバーステア(FPO)はコーナー脱出時にパワーオン・オーバーステアが発生する段階で、ステアリングホイールの重さを変化させ、ドライバーに注意を促す。

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812GTSも7年間の純正メンテナンス・プログラムが設定されており、最初の車輌登録から7年間にわたり、パフォーマンスと安全性が最高の状態で維持されるべく、すべての定期メンテナンスが保証される。

フェラーリ 812 GTS 諸元表

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