【アウディ】新型RS5 PHEVに世界初の電気機械式クワトロを搭載して登場 四駆の概念を大きく刷新

アウディ本社は2026年3月31日、新型ハイパフォーマンス・スポーツモデル「RS 5」を発表した。

新型「RS 5」は、ブランド史上初となる高性能PHEVシステムの採用と、それを支える革新的な駆動技術「ダイナミックトルクコントロール付きクワトロ」の導入をした。


パワートレイン
パワートレインは、モジュラー式のハイパフォーマンスユニットを搭載している。エンジンは改良された 2.9L V6ツインターボエンジンと、8速ティプトロニックATに内蔵された130kWの電動モーター、そして新開発のリヤ・トランスアクスルから構成されている。リヤ・トランスアクスルにより電気機械式トルクベクタリングが可能となり、特に高速かつ精密なトルク配分を実現するとともに、卓越したドライビングダイナミクスを生み出している。

8速ティプトロニックには、プリロード付きのLSDを内蔵するセンターデファレンシャルが組み合わされ、走行状況に応じて前後アクスル間のトルク配分は前後70:30~15:85 の範囲で可変制御される。

プリロードLSDは、駆動トルクがかかっていない状況でも前後アクスルの結合状態を保持する機構だ。例えば公道でのコーナー進入時、ドライバーがアクセルペダルから足を離した状態でも、デファレンシャルのプリロードがターンインを強力にサポートし、イン側のアンダーステアを最小限に抑制する。

改良された2.9L V6 TFSIエンジンは、 従来型より44kWパワーアップし375kW(510ps)を発生する。またこのエンジンは部分負荷領域では吸気バルブを早閉じ式のミラーサイクル運転を行ない効率を高めている。2基のターボは可変ジオメトリー式を装備。

ハイブリッドシステムの電動モーターは130kW(177ps)/460Nmを発生し、システム合計では最高出力470kW(639ps)、最大トルク825Nmに達する。加えて、ワンタッチで10秒間作動するブースト機能も備えているる。

電動モーターと400V電気システムは、総電力量25.9kWh(正味22kWh)のバッテリーによって駆動され、0-100km/h加速は3.6秒という強烈な動力性能を実現。電動システムは電気機械式トルクベクタリングにおけるトルク配分にも重要な役割を担う。EV走行距離は最大84km、市街地では最大87kmとなる。

バッテリーはトランクフロア下に配置。セルの改良により、低SOCや過酷な温度条件下でも高出力を維持できる。このバッテリーは駆動用モーターだけでなく、トルクベクタリングユニット内の永久磁石同期モーターにも最大8kWを供給する。充電は最大11kWの普通充電に対応する。

減速時の回生ブレーキは自動回生に加え、パドル操作による3段階調整が可能。運転モードは「EV」と「ハイブリッド」を選択でき、「ハイブリッド」モードではバッテリーのSOCを任意に指定できる。

世界初の電気機械式トルクベクタリング
新世代クワトロは、リヤトランスアクスルに世界初の電気機械式トルクベクタリング機構を組み込むことで、従来の4輪駆動の概念を大きく刷新した。駆動力配分をミリ秒単位で最適化し、限界域でも高い俊敏性と安定性を両立する。

この新機構は、400Vシステムで駆動される水冷式永久磁石モーター(8kW/40Nm)を採用。オーバードライブギアとデファレンシャルの組み合わせにより、左右後輪間に最大2000Nmのトルク差を瞬時に発生させることが可能だ。

応答速度も特筆に値し、わずか15ミリ秒でトルク配分を調整。加減速やブレーキングの有無にかかわらず常時作動する。従来の機械式やクラッチ式トルクベクタリングと異なり、エンジントルクに依存しない制御が可能な点も大きなアドバンテージとなっている。

コーナリング時には外側後輪へ積極的にトルクを配分してトラクションを高めつつ、必要に応じて内側後輪にも駆動力を与え、オーバーステアおよびアンダーステアを制御する。これにより、ドライバーは自然で予測性の高いハンドリングを得ることができる。

この高度な駆動制御を支えるのが中央制御ユニット「HCP1(ハイパフォーマンス・コンピューティング・プラットフォーム)」である。ドライブトレインとサスペンションを統合制御し、車両状態、路面状況、ドライバー操作、縦横G、ヨーレート、スリップ角、速度、推定摩擦係数などをリアルタイムで解析し、最適なターゲット駆動トルクを算出する。

特に注目すべきは、ステアリング入力からドライバーの意図を予測する機能だ。「コーナーで攻めているのか」、「安定させたいのか」といった意図を読み取り、それに応じたトルク配分を行なう。

電気機械式トルクベクタリングは単体で機能するのではなく、電子制御デファレンシャルロックやブレーキトルクベクタリング、さらにはツインバルブ式アダプティブダンパーと連携している。

特にフロント側ではブレーキ制御によりトラクションが確保され、リヤでは電動トルク制御が主導することで、前後の役割を分担。これにより、高速域からのコーナー進入や立ち上がりにおいても、極めて正確かつ俊敏な車両挙動を実現している。

新型「RS 5」は単なるパフォーマンスの向上だけではなく。ドライバーの操作に対する応答性は極めて高く、かつ挙動は常に予測可能でコントローラブルだ。ニュートラルな設定からリヤ寄りのアグレッシブな特性まで、ドライブセレクトによって自在にキャラクターを変化させることができる。

サスペンション/シャシー
「RS 5」は専用設計のフロント/リヤアクスルに加え、ツインバルブダンパーを備えたスポーツサスペンションを装備。ステアリングは13:1のクイックレシオとされ、専用開発タイヤを装着した鍛造ホイール(フロント20インチ/リヤ21インチ)、さらに高性能スチールまたはセラミックブレーキが組み合わされる。

サスペンションは前後とも5リンク式サスペンションを採用。フロントは新設計され、新しいジョイント、リンク、およびラバーブッシュを採用。その結果、高い快適性とともに、より正確かつ俊敏なハンドリングを実現している。

さらに、これらの改良によりロードホールディングは一段と安定し、ステアリング入力への反応はよりダイレクトになっている。

サスペンションでは、ツインバルブ式ダンパーを組み合わせ、ダンパーは伸び側と縮み側を独立して制御できるため、快適性とよりスポーティなドライビングを両立。また、ピッチングやロールを大幅に低減し、路面状況の変化に対してダンパーが迅速に反応する。さらにアウディドライブセレクトのモードにより、サスペンションを好みに合わせて調節でき、極めてしなやかな設定から最大限にスポーティな設定まで幅広く選択することができる。

ブレーキは、ブレーキ・バイ・ワイヤ式の統合ブレーキ制御システム(iBRS)を採用。減速時には回生ブレーキを使用し、より大きな制動力が必要な場合にのみ摩擦ブレーキが介入するようになっている。

ボディはベースモデルよりも剛性が10%アップされており、高負荷時のたわみを抑制し、より コントロール性の高いドライビングフィールを実現している。

電動化時代におけるスポーツモデルの価値が問われる中、新型「RS 5」は電動化は退屈という既成概念を覆し、ドライビングプレジャーを拡張する方向へと進化したといえる。

ダイナミックトルクコントロール付クワトロは、まさにその象徴といえる技術だ。アウディはこのモデルによって、次世代のスポーツドライビングの新たな基準を作り上げようとしている。

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