トヨタ ガズー(GAZOO)レーシングの2020年モータースポーツ活動計画を発表

トヨタGAZOOレーシングは2020年2月7日、GAZOOレーシングとして関わる2020年の全カテゴリーのモータースポーツ活動計画を発表した。

世界ラリー選手権(WRC)

トミ・マキネン氏が代表を務めるWRCチームのもとで、参戦車両はフィンランドを拠点にヤリスWRCを継続使用。搭載するエンジンはトヨタモータースポーツ(TOYOTA Motorsport GmbH:TMG)で開発した380ps以上を発生する1.6L直噴ターボエンジン「GI4A」を使用する。一方、新型GRヤリスのWRC仕様がいつ実戦投入されるかが注目点だ。

2020年第1戦モンテカルロ・ラリーで2位となったヤリスWRC

 

ドライバーは従来の顔ぶれを一新し、WRC界でナンバーワンの実力を持つ、セバスチャン・オジエがエースとなっている。

世界耐久選手権(WEC)

2019-2020年シーズンは、2019年9月の第1戦シルバーストーン4時間レースから始まり、年をまたいで2020年6月13〜14日の第8戦ル・マン24時間レースが最終戦となる。GAZOOレーシングは、前シーズンに引き続きLMP1クラスにTS050で参戦しているが、唯一のワークス・チームのため、重量ハンディが厳しくなり、ノン・ハイブリッドのLMP1車両と接戦を演じている。

2019-2020シーズンが最後となるTS050ハイブリッド

 

なお2019-2020年シーズンが従来の車両カテゴリー分けの最終シーズンとなり、TS050ハイブリッドも今シーズン限りとなる。2020-2021年シーズンは、市販ベースのハイブリッド・システムを搭載する「ハイパーカー(LMHクラス)」によって戦われる。このハイパーカーにはヨーロッパの複数の自動車メーカー・チームも参戦予定で、再びWECは盛り上がると見られている。


GAZOOレーシングは市販に向けて開発中の1000ps級のハイブリッド・システムを搭載した、GRスーパースポーツ(仮称)をベースとするレーシングカーを新規開発し、LMHクラスに参戦する。2020年9月5日の英国シルバーストーンで開幕し、2021年6月12・13日のル・マン24時間レースが最終戦となるスケジュールが決まっている。

2020-2021シーズンに向け開発中のハイパーカー(LMH)クラス用のGRスーパースポーツ・ハイブリッド

スーパーGT 500クラス

2020年シーズンは従来のレクサスLCから待望のスープラGT500を投入する。GAZOOレーシングは、トヨタカスタマイジング&デベロップメント(TCD)を通じ、6チーム・6台の支援を行なう。

テスト中のスープラ GT500。シャシー、サスペンション、ECUなど主要部品はDTMと共通のユニットを使用

なお、2020年シーズンからGT500クラスはDTMとの共通パーツが大幅に拡大され、他のワークス・チームともほぼ共通のマシンで戦うことになる。

スーパーGT 300クラス

GT300クラスには、プリウスPHVが2台、GRスープラが1台、レクサス RC F GT3が4台参戦する。

カスタマーモータースポーツ

FIA・GT3規定のレクサスRC F GT3をグローバル販売し、このマシンで耐久レースに出場するカスタマーチームをサポートする。また、レースを通して得られた技術を市販車へフィードバックすることで商品力を強化する方針だ。2020年も世界各国の耐久レースにRC F GT3が出場する。

FIA・GT4規定のGRスープラGT4は市販のGRスープラをベースに開発されたレース専用車で、2020年3月からヨーロッパで販売を開始し、8月から北米、10月から日本・アジアと順次販売地域を拡大して行く予定だ。

ヨーロッパでは、GT4ヨーロピアン・シリーズ、GT4フランス、ニュルブルクリンク耐久シリーズ、ADAC GTマスターズ、ブリティッシュGT選手権などに、主としてアマチュア・チームが参戦する。

全日本スーパーフォーミュラ

TRD(Toyota Racing Development)が、直列4気筒2.0Lの直噴ガソリンターボエンジン(Biz-01F)を6チーム/11台に供給する。タイヤはヨコハマタイヤのワンメイクで変更なし。

スーパー耐久

スーパー耐久に参戦するROOKIE Racingに、GRヤリス、GRスープラを供給する。ROOKIE Racingはプライベートチームという位置づけだが、トヨタのマスタードライバーである「豊田章男(モリゾウ)」をはじめ、レーサー、ラリースト、評価ドライバー、ジェントルマンといったさまざまなドライバーが2台をドライブする。

新型GRヤリス。スーパー耐久以外に、WRCを始め、国内ラリーなどに多数の参加が予想されている

 

なおGRヤリス、GRスープラの両チームは、Aドライバーは井口卓人選手、蒲生尚也選手が担当し、Bドライバー以下はレースごとに登録ドライバーから選ばれるシステムで、登録ドライバーの中には豊田章男、同氏の息子の豊田大輔氏も入っている。

ニュルブルクリンク24時間レース

GAZOOレーシングとして14年目の参戦となる2020年も、ニュルへの挑戦を通じて人とクルマを鍛え、市販車開発につながる活動を追求する計画だ。トヨタ社員もメカニック、エンジニアとして多数参加する。2020年は3年目となるレクサスLC(SPプロ・クラス)で参戦する。新開発のV8ツインターボエンジンなど、将来のスポーツカーなどの市販車に活かすための技術が先行投入されている。

ダカールラリー

2020年1月にサウジアラビアに舞台を移して戦われたダカールラリー2020には、GAZOOレーシングハワークスチームとしてラリーレイド仕様のハイラックス4台体制で参戦。フェルナンド・アロンソ選手が初挑戦して話題になり、13位となった。ナッサー・アル・アティヤ選手が総合2位に入賞した。

ハイラックス・ワークス・チームとして参戦したフェルナンド・アロンソ

またダカールラリーにはトヨタ車体チーム、日野自動車チームも継続参戦している。

全日本ラリー選手権

国内最高峰の「全日本ラリー選手権」に2020年も引き続きトヨタ社員が参戦する。社員がエンジニア、メカニックとして、車両製作からラリー参戦まで一貫して行なっている。使用車両はヴィッツGRMNラリー。

e-モータースポーツ

2019年は、「FIA GTチャンピオンシップ」をサポートし、同時にGRスープラのワンメイクレースである「GRスープラ GTカップ」を開催した。また、「FIA GTチャンピオンシップ」ではマニュファクチャラーシリーズでチーム・トヨタが優勝している。

2020年も「FIA GTチャンピオンシップ」のオフィシャルパートナーを継続し、「GRスープラ GT カップ」も2019年にひき続き開催予定。詳細は後日発表される。

ドライバー育成

GAZOOレーシングは、これまで国内外のレースやラリーで活躍できる日本人ドライバーを育成するためにTGRラリーチャレンジプログラムやWECチャレンジプログラム、トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム(TDP)、フォーミュラトヨタ・レーシングスクール(FTRS)を実施してきたが、2020年からはこれらの活動をTGRドライバー・チャレンジ・プログラム(TGR-DC;TGR Driver Challenge program)に統合し、若手レース、ラリードライバーの育成を進める。

ラリー分野では、WRCチャレンジプログラムで活動中の勝田貴元選手に続く若手ラリードライバー育成のため、ラリーにおけるTGR-DC育成ドライバーの枠を新設。FIA-F4に参戦するスカラーシップドライバーや国内ラリーに参戦する若手ドライバーから選出することを検討している。

なお2019年から開始されたTGR WECチャレンジプログラムでは、山下健太選手が抜擢され、WEC2019-2020年シーズンは、LMP2クラスに参戦している。

また従来のフォーミュラトヨタ・レーシングスクール(FTRS)をTGR-DCレーシングスクールに改称。国内外のトップカテゴリーで活躍できるレーシングドライバー、ラリードライバーの発掘・育成、正しいドライビング教育によりモータースポーツ底辺の拡大を図る。受講者の中から、優秀で将来性の見込めるドライバーに対し次年度以降のレース参戦支援やダート・スノー走行トレーニングを行なう予定だ。2020年の実施日程は未定。

GAZOOレーシング 86/BRZレース

2013年にスタートしたワンメイク・レースの頂点となる86/BRZレースは、2015年から「プロフェッショナルシリーズ」と「クラブマンシリーズ」の2シリーズ制を導入。「プロフェッショナルシリーズ」は、スーパーGTやスーパーフォーミュラに参戦経験のあるプロドライバーも多数参加している。

「クラブマンシリーズ」は、プロ認定ドライバーは参加不可で、アマチュアドライバーのみで戦われる。2020年シリーズも全国7サーキットを舞台に、全8戦が開催される。

GAZOOレーシング ネッツ・カップ ヴィッツ・レース

ネッツ・カップ ヴィッツ・レースは、ナンバー付きのヴィッツ「RSレーシング」、ヴィッツ「GRスポーツ・レーシングパッケージ」モデルを使用し、Aライセンス所持者であれば誰でも参加できるアマチュア向けワンメイク・レースだ。

2000年にスタートし、2019年には開催20周年を迎えた。全国主要7サーキットで開催され、参加者の半数がビギナーレーサーだ。2020年シリーズも全国7サーキットを舞台に、5つのシリーズで全17戦と特別戦が開催される。

GAZOOレーシング ラリーチャレンジ

TGRラリーチャレンジは、手軽にエントリーできる日曜開催のワンデイラリーをコンセプトに、国内ラリーの入門編として、日本全国で開催。国内Bライセンス所有者であればエントリー可能で、86だけでなく、ヴィッツ、アクア、新型車のヤリスや、コペン、ハイブリッド車やAT車でも参加できる。

GAZOOレーシング ドライビング・エキスペリエンス

ドライビング・エキスペリエンスは、クルマの「走る」、「曲がる」、「止まる」の基本操作から、よりハイレベルで実戦的なドライビングテクニックまで、自分のレベルに合わせてレッスンを受けることができる走行イベントだ。

メガWEBで運転の基本操作が学べる「PROGRAM1」、全国各地のサーキットでスポーツ走行初心者向けの「PROGRAM2」と、スポーツ走行経験者を対象とした「PROGRAM3」を開催する。また、ネッツ・カップ ヴィッツ・レース、86/BRZ Raceへの参戦を見据えた、より実戦的な「PROGRAM4」やサーキットとは異なるフィールドで、クルマの楽しさを体験できる「SPECIAL PROGRAM」も開催する。

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