NECをはじめ、ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構(TOPIC)と、群馬大学、そして日本モビリティは2021年1月8日、群馬県前橋市で5G技術を活用した自動運転バスの公道実証実験を2月15日から28日にかけて実施すると発表しました。
この実証は総務省事業である令和2年度「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の委託を受け、自動運転バスの社会実装を目指して実施されるものです。
誰でも乗車できる
運転が行なわれるのは、前橋駅から中央前橋駅までの約1kmの区間で、日本中央バス株式会社が運行する一部のバスを対象に、自動運転の実証を実施します。このバスは通常運行のバス同様に誰でも乗車可能になっています。
今回の実証実験では、公道で自動運転バス(レベル4）を走行させ、5G通信技術の高速・大容量・低遅延のメリットを活かし、自動運転リモート管制や路車間通信を実現するソリューションの技術検証を行なう実証実験です。
これは、限定した地域でのレベル4自動運転(完全自律型自動運転)の社会実証を想定しており、通常運行のバスとして利用者を乗せて実施されます。
ただしこの実証実験では完全自動運転ではあるものの、国の決めたガイドラインに従い、ドライバーが乗車し、緊急時にはドライバーの判断で手動運転に切り替えることで安全性を確保する対策をしています。また、安全確認のため、公道走行時に群馬大学研究・産学連携推進機構次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)の遠隔管制室から遠隔監視も行なっています。
この実証実験では5G通信技術を利用し、車両カメラの映像も大容量で高画質のまま転送します。従来の4G/LTE通信では車両から遠隔管制室に送信できる速度や容量に制限があり、車両カメラで撮影した対向車や周辺の交通状況の高精細映像を伝送するのは困難でした。しかし、情報密度が向上してより高画質なまま伝送ができる技術を開発したことで、遠隔監視室からの遠隔監視、操作者の安全確認業務を支援できることを確認します。
さらに、路側に設置したカメラやセンサー情報を収集することで、車両から見て死角になる映像情報を遠隔管制室へ高速・大容量でデータ転送します。車両側では、5G技術とエッジコンピューティングによる低遅延の特性を活かし、路側センサーから必要な情報を車両制御に直結させ、緊急停止等のリアルタイム性が求められる運行管制を支援できるようになっています。
これらの技術の中で、NECは学習型通信品質予測技術と学習型メディア送信制御技術を使用することで、走行車両や路上カメラの通信品質を可視化・予測し、それに応じてカメラ映像から注目領域の画質を自動調整することにより、カメラ映像の送信データ量を削減して通信遅延を抑え、通信の安定化を実現します。
さらに2021年2月上旬から中旬にかけて、CRANTS試験路でローカル5Gとキャリア5Gの連携を用いた自動運転の実証も行ないます。CRANTS試験路にローカル5G基地局とキャリア5G基地局を併設し、必要に応じてローカル5Gとキャリア5Gの接続を切り替えることで、継続的に自動運転車両の遠隔監視・操縦管制が可能なことを確認します。
これら以外では、他の地域連携として、しずおか自動運転ShowCASEの一環で、5G基地局やカメラを静岡県沼津市の公道上に設置し、前橋市の実証実験と同様に群馬大学の自動運転車両と日本モビリティの自動運転システム、NECのシステムを使用した実証実験を行ないます。
5G技術の特性である低遅延を活かし、自動運転車両(群馬大学提供)や歩行者などをリアルタイムにカメラで認識し、安全・安心に寄与する実証実験となっています。
2020年12月からNECモビリティテストセンター(御殿場市)のローカル5G評価環境を活用して評価・検証を行ない、2021年1月13日から22日にかけて沼津市大手町交差点での公道実証を行なう計画となっています。
