ヨコハマタイヤのSUV向けスタッドレスタイヤが世代交代をし、2026年9月にアイスガード8 SUVを発売した。その新世代SUV向けスタッドレスタイヤを雪上でテストすることができたので早速お伝えしていこう。

テストは北海道旭川にある横浜ゴムのテストコース「TTCH」(タイヤテストセンター北海道)で、さまざまな車種のSUVにアイスガード8 SUVと先代のG075との比較も行ないながら、雪上と氷上のテストを行なった。
乗用車向けアイスガード8についての詳細は既報でこちらを参考にして欲しい。
関連記事:【横浜ゴム】新スタッドレスタイヤ「アイスガード8」は最新技術“冬テック”採用
ステアリングの切り始めで分かるグリップ感
最初に雪上でのハンドリングテストは、トヨタ・ハリアーに装着し40km/hからのブレーキ性能、同じく40km/hでスラローム、そして50km/hでのレーンチェンジといった項目で、G075との比較を行なった。


レーンチェンジで感じるのは操舵初期の手応えの違いだ。微小舵角でのグリップ感がアイスガード8 SUVのほうがしっかりとした手応えとして伝わり、グリップしている安心感がある。そこからの操舵角では大きな違いは感じられず、丁寧なじわり操作をした時に違いがあることを感じた。
それとスラロームでも同様に感じられたのがリヤの追従性に違いがあることだ。アイスガード8 SUVは、フロントの操舵に対して遅れることなくリヤも追従するので、早く直進状態に戻る姿勢になる違いがあった。

ブレーキは縦の制動力になるが、ABSの介入のタイミングが異なることから、グリップ力の違いがあるとイメージできるが、G075は急制動に対してタイヤが潰れるイメージがあり、逆にグリップしているようにも感じるため、実際のフィーリングとして大きな違いは感じにくく、結果的には制動距離も大きな違いを感じることはなかった。


次も雪上のハンドリングだが、やや速度域が高く80km/hからの制動と50km/h程度でのワインディング走行だ。こちらは比較ではなくアイスガード8 SUVが遭遇するであろう、一般的な道路を再現したコースだ。ここではソルテラAWDとCX-60、さらにGLC AMG AWDとボルボXC-60AWDの4車種でテストをした。


EVや車両重量のあるモデルで、プレミアムモデルも含まれたラインアップだ。より多くのユーザーにアイスガード8 SUVの適応範囲が広いことが伝わってくる。
試乗テストにおいて車種が変わっても操舵フィールや制動への安心感といったものに変化はなく、車両性能通りの操舵フィールと制動フィールが伝わってくる。ある意味タイヤの役目をきちんと果たしているというわけだ。
氷上ブレーキではノーズダイブを感じる安心感
最後は氷盤路での短制動と定常円旋回テストだ。短制動は30km/hからのフルブレーキで何メートルで停止するかをG075との比較テストで車両はハリアーを使用した。

この短制動のテストはTTCH自慢の室内テストコースで行った。この設備は天然氷と人工氷の双方を備えており、比較テストにおいて、同一のテスト環境を維持できるため、正確な性能テストができる環境だ。ただ、今回の短制動では、30km/hの速度は車両の速度計で目視し、パイロンに到達した時点で笛がなり、ブレーキを踏む。計測は1m単位で目視で計測という簡易なものだ。
つまりブレーキを踏むタイミングは反射神経テストでもあり、30km/hを正確に維持できるかのテストでもある。その結果、各タイヤで5回トライをし、最低と最高の距離を削除し3回の平均値を出したところ、G075は平均16.6mでアイスガード8 SUVは16.3mという結果になった。
ただ、この数字以上にブレーキを踏んだ瞬間のノーズダイブでは、アイスガード8 SUVのほうが大きくダイブしていたので、数値以上の違いはあるように感じられた。
テスト結果(先代G075)
| 制動時速度 | 制動距離 | |
|---|---|---|
| 1回目 | 未確認 | 18m |
| 2回目 | 未確認 | 16m |
| 3回目 | 31km/h | 17m |
| 4回目 | 31km/h | 17m |
| 5回目 | 30km/h | 15m |
テスト結果(アイスガード8 SUV)
| 制動時速度 | 制動距離 | |
|---|---|---|
| 1回目 | 30km/h | 16m |
| 2回目 | 31km/h | 16m |
| 3回目 | 30km/h | 17m |
| 4回目 | 32km/h | 16m |
| 5回目 | 30km/h | 17m |
氷上のコーナリング性能比較は大きな違いに
次に氷盤での定常円旋回だ。こちらもハリアーを使用しG075とアイスガード8 SUVとの比較を行なった。テストは1ラップ何秒で周回するか?というテストと時速何キロで滑り出すか?というチェックを行なった。


結果はG075は6ラップを行ない、平均は23.94秒で、アイスガード8 SUVは7ラップし、平均22.20秒と圧倒的な違いがあった。そして滑り出す速度でも、G075はおおよそ21km/h付近で滑り出し、アイスガード8 SUVは23km/h付近で滑り出すという違いがあった。
また滑り出した後のグリップの回復に関しても、G075よりアイスガード8 SUVのほうがグリップの回復が早く、またタイヤ自体の剛性感、しっかり感の違いも感じることができた。
その結果から、氷上でのブレーキ性能はフィーリングに違いがあり、性能の向上がわずかにある。さらにコーナリングに関しては大幅な進化を体験することができたわけだ。
| アイスガード8 SUV | G075(先代) | |
|---|---|---|
| 1周目 | 22.87秒 | 25.08秒 |
| 2周目 | 21.47秒 | 23.29秒 |
| 3周目 | 21.87秒 | 23.56秒 |
| 4周目 | 22.12秒 | 23.89秒 |
| 5周目 | 22.59秒 | 23.52秒 |
| 6周目 | 22.08秒 | 24.30秒 |
| 7周目 | 22.44秒 | – |
| 平均タイム | 22.20秒 | 23.94秒 |
アイスガード8搭載の基盤技術“冬テック”
さて、こうした進化はどんな技術を搭載しているのか、見てみよう。

ヨコハマタイヤのスタッドレスは、氷上性能を重視し、プラスして雪上性能やライフといった性能を底上げして開発してきている。これらの性能に対してアイスガード8 SUVでは、SUVならではの要求として摩耗という項目がプラスされている。車重が重くなる分、摩耗を気にするユーザーが多いということだろう。
そこで氷上、雪上、摩耗といった項目をさらに向上させるために、最新のスタッドレスタイヤの技術を搭載し、氷上性能を向上させつつ、雪上、摩耗性能も向上させる。そして専用構造の採用でSUVに対応するという手法になる。
ひとつには乗用車向けアイスガード8に採用した「冬テック」の搭載がある。ミクロレベル、コンパウンド、マクロレベルでの接地面積の最大化をテーマとした基盤技術で、2025年に発売されたアイスガード8にて初搭載している。さらにSUV向けに専用のコンパウンドを開発。これは「冬ピタ吸水ゴム」と呼ばれるもので、従来の吸水バルーンの進化型「水膜バスター」を開発し、バルーンサイズを小型化したことで、高密度に配合でき接地面積の拡大に成功している。さらにタイヤの剛性感を出すことにも寄与し、天然素材もあるため、サスティナブルにも配慮した技術と言える。
またシリカ配合ではミクロレベルでのしなやかさが増加するため、路面への追従性が向上し、氷上、雪上の両方にメリットがある。つまりブロック剛性を上げつつ、しなやかさを持つ二律背反の両立ができているわけだ。
摩耗に関しては劣化抑制技術を搭載した。これまでのさまざまなアプローチを組み合わせることで、劣化抑制配合技術を採用し、従来品よりも抑制することができたという。
またパターン技術においてはAI設計技術の「HAICOLabo(ハイコラボ)」を用いて冬用タイヤに4つの機能を最適化・最大化したプロファイルを完成させたとしている。
それは排雪性の高いパターンを採用し、ラグ溝、主溝を配置して氷上と雪上の性能向上をし、溝エッジ量を従来より19%増加させている。また接地面積は従来品に対して3%増加させているのだ。
ブロック剛性は、車重のあるSUV向けに高剛性のパターンを採用し、従来品と比較し16%増加。デザインも、方向性のあるパターンとして雪をきちんとグリップさせつつ、氷上性能も高めるデザインへと変更している。


溝エッジ量を増やすと氷の性能が悪くなるため、雪上性能との両立が難しいが、アイスガード史上最大量の溝エッジを搭載しながら、パターン配列も方向性を持たせることで氷上・雪上性能を両立させている。これまで非対称パターンでイン側をアイス性能、アウト側を雪上性能といったレイアウトも見直された。
このように冬タイヤ開発の基盤技術をベースに、それぞれの性能を向上させ、最大量の溝エッジを搭載しながら、剛性感もありすべての領域で性能向上を果たしているのがアイスガード8 SUVというわけだ。















