三菱ekクロスの「フロントマスク」は、かわいい悪魔?(ハイブリッド/CVT/4WD) 試乗記

三菱から注目の軽ワゴンが登場した。ekワゴンとekクロス。これまでのekシリーズにはekワゴンとekスペースがあったが、ハイトワゴンとスーパーハイトワゴンの2モデルだった。今回のekワゴン/X(クロス)は同じボディでSUVライクにしたフロントマスクにしたのがekクロスという名前でデビューした。

三菱ekクロス SUVテイストのクロスオーバーとして新登場
三菱ekクロス SUVテイストのクロスオーバーとして新登場

ハイブリッド搭載

新型ekクロスは全てハイブリッド搭載モデルで、ターボありと、ターボ無しの2モデルがラインアップし、各グレードにFFと4WDが設定されている。ターボなしであっても最大30秒間はモーターアシストによる加速が可能で、ターボ付きであるとより力強い加速感がある。試乗したモデルはハイブリッドのターボなしタイプで4WD。グレードは「G」。価格は税込168万4800円。

 

 

レポーターの伊藤梓さんが、初挑戦した車中泊。軽自動車でも楽に楽しめたとコメントしているが、ユーティリティ性能も高く、走行性能もいい。そしてライバルはリッターカーだという声も聞く新型ek X(クロス)についてお伝えしよう。

車速が約13km/hを切ると自動でエンジンが停止するオートストップ&ゴー機能があり、日常のチョイ乗りが多いユーザーにはおすすめの一台だが、今回は長距離を走ってみた。全行程450kmで、そのうち高速道路を約250km、一般道を200kmという距離を2日間で走行した。

デリカD:5にも通ずるダイナミックシールドの顔に特徴があるekクロス
デリカD:5にも通ずるダイナミックシールドの顔に特徴があるekクロス

高速走行とマイパイロット

高速道路では軽自動車初搭載となるレベル2の高度運転支援システム「マイ・パイロット」を使いながら走った。このマイ・パイロットが抜群に運転を楽にしてくれたのだ。設定速度は80km/hと100km/hで状況に合わせて変更しているが、随所でその恩恵を受ける。ちなみに、約0-100km/hの間で走行時の車間および操舵制御を搭載した軽自動車は初となる。

例えば、試乗車は駆動力においてターボなしのNA(自然吸気)が基本で、加速時にモーターアシストがあるというマイルドハイブリッドだから、100km/h巡行での車速維持には気を使う。ボディはハイトワゴン形状だから横風の影響など乗用車よりは空気抵抗も大きい。そしてわずか660CCという排気量だから余裕たっぷりの高速走行とまでは言いがたい。

フェンダーアーチを黒にし、オプションのルーフレールを装備すると一層SUV テイストが強調される
フェンダーアーチを黒にし、オプションのルーフレールを装備すると一層SUV テイストが強調される

ところが、マイ・パイロットを使えば、自動で車速を維持し、かつ、自動で前走車との車間距離を調整するのでドライバーはしっかり前を見て、ハンドルを握っているだけで交通の流れに沿って走ってくれるのだ。このマイ・パイロットを使わないで高速走行すると、どうしてもアクセルコントールを常に意識する必要がでてくる。だけどマイ・パイロットがあれば、そこに神経を使うことなく巡行速度を維持するので、長距離利用する人にはマストアイテムと言ってもいいだろう。

ちなみにマイ・パイロットは渋滞などでは、停止後3秒以内であれば自動で再スタートする。そして白線を認識し車線の中央付近を維持するレーンキープアシスト(LKA)も装備されるので、かなり運転疲労が軽減されると感じるのだ。

また、予防安全技術としてe-Assistを搭載している。これは従来から搭載している衝突被害軽減ブレーキシステム、踏み間違い衝突防止アシスト、車線逸脱警報システム、オートマチックハイビームに加えて、新たに車線逸脱防止支援機能を設定し、全車サポーカーSワイドに該当している。

軽初の運転支援や高い静粛性など軽自動車の枠を超えた出来栄えだ
軽初の運転支援や高い静粛性など軽自動車の枠を超えた出来栄えだ

高い静粛性

新型になったekシリーズは静粛性の高さも素晴らしかった。軽自動車で高速道路走行と考えれば、エンジン音や風切り音が気になるが、まさにリッターカーなどの小型車を上回る静粛性がある。それはボディ剛性のしっかり感もプラスに働いていて、ドライバーや乗員はその剛性感からくる安心感と静かさによって、長距離移動が楽しめることにつながっているのだ。

空調はタッチパネル式でシートヒーターも設置できる。また停車したときにサイドブレーキがかかるホールド機能も搭載
空調はタッチパネル式でシートヒーターも設置できる。また停車したときにサイドブレーキがかかるホールド機能も搭載

ライバルはリッターカーだとする所以は、こうした高い静粛性とボディ剛性からくる安心感に由来している。そして、さらに乗り心地も先代と比較すると格段に良くなっている。特に大きい振動のいなし方はまさに乗用車のように感じるしなやかさがある。こうしたこともプラスされ、軽にあらず、と言いたくなるわけだ。

装着するタイヤサイズは14インチと15インチが用意されており、試乗車は15インチを装着していた。当然14インチと比較すればエアボリュームのある14インチのほうがマイルドな乗り心地ではあるが、15インチでも十分乗り心地はいいと感じられると思う。

センタートレイ。手に持っている鍵やスマホ、サングラスなど一瞬どこに置くか迷うような時にサッと引き出せる
センタートレイ。手に持っている鍵やスマホ、サングラスなど一瞬どこに置くか迷うような時にサッと引き出せる

広いキャビン

従来モデルからホイールベースを65mm延長したことで、快適な居住空間が実現され、後席のニールームを70mm拡大し、かつフラットなフロアになっている。前席を一番後ろに下げた状態でも足が組める広さが確保されているのだ。この広大さはリッターカーより間違いなく広く、天井高もあるので、さらに広く感じる。こうしたことも仲間や家族と長距離移動が楽しめる要素となる。

また、ユーティリティという点でも満足度は高いだろう。小物入れの充実やUSBコネクター、紙パックが収められるドリンクホルダー、さらに後席のスライドは荷室の広さをラゲッジ側からも片手で変更でき、FFモデルであればゴルフバックを後席を倒すことなく収納できるなど利便性の高さには関心させられる。

500mlの紙パックも置けるドリンクホルダーはセンターにもある
500mlの紙パックも置けるドリンクホルダーはセンターにもある

モデル概要

ekクロスはekワゴンと共に2019年3月28日から販売され、ekクロスはSUVテイストのクロスオーバーとして新登場したモデルだ。ボディサイズは全長3395mm、全幅1475mm、全高1640(FF)/1660mm(4WD)、ホイールベース2495mm。

豊富な収納。車検証入れとは別に小物入れが設置されているのも嬉しい
豊富な収納。車検証入れとは別に小物入れが設置されているのも嬉しい

デザインコンセプトは「THE CUTE BEAST」直訳すれば「かわいい野獣」で、アクティブさと遊びごころいっぱいで存在感のあるデザインとしている。また、フェイスデザインは三菱のデザインコンセプトでもあるダイナミックシールドを採用し、縦型の3灯式LEDデザインは上2段がロービーム、その下にハイビームを配置することで路面状況を把握しやすくしている。

サイドシルガーニッシュとホイールアーチをブラックにし、そのホイールアーチには専用のデカールを設定することでSUVらしさを強調している。またメーカーオプションでは、専用ルーフレールを設定している。

ボディカラーは豊富に11通りあり、新色を含む6色のモノトーンと5通りの2トーンカラーが設定されているので、好みのカラーコーディネイトが見つかるだろう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

【グレードと価格(税込)】

ekワゴン

  • グレードM 自然吸気3気筒+CVT 2WD:129万6000円
  • グレードM 自然吸気3気筒+CVT 4WD:142万5600円
  • グレードG 自然吸気3気筒+CVT 2WD:137万7000円
  • グレードG 自然吸気3気筒+CVT 4WD:150万6600円

ekクロス

  • グレードM ハイブリッド3気筒+CVT 2WD:141万4800円
  • グレードM ハイブリッド3気筒+CVT 4WD:154万4400円
  • グレードG ハイブリッド3気筒+CVT 2WD:155万5200円
  • グレードG ハイブリッド3気筒+CVT 4WD:168万4800円(試乗車)
  • グレードT ハイブリッド+インタークラーターボ3気筒+CVT 2WD:163万6200円
  • グレードT ハイブリッド+インタークラーターボ3気筒+CVT 4WD:176万5800円

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