TOYOTA GAZOO Racing、2017年WRC参戦に向けた開発テストで着実な手応え動画あり

TOYOTA GAZOO Racing WRCチームは、TOYOTA GAZOO Racingの目指す「もっといいクルマづくり」を具現化すべく、この9か月間ヤリスWRC（日本名：ヴィッツ）の開発を行なってきた。フィンランドにて最初のテスト走行に臨み、続いて南欧でテスト。これらの徹底したテストプログラムを通し、快調に走りだしたヤリスWRCは、今後もあらゆる道で走行テストを続けることでWRCの道に向かう。

2016年5月、チームはフィンランドの開発拠点に程近い場所でヤリスWRCの初シェイクダウンを行ない、その後多くの場所でテストを繰り返している。開発はまだ初期段階であったにもかかわらず、この時点ですでに欧州のあらゆる道で5000キロを走破。チーム代表のトミ・マキネンは「スケジュール通りに開発を進めるために、我々は懸命な作業を続けてきた。5月以来すでに多くのテストを予定通りにこなしている。2台目のテスト車両が加わったことでテスト計画はペースアップし、内容も多様化した。あらゆる環境と路面でテストを行ない、2017年シーズンに万全の体制で臨みたいと考えている」とコメントしている。

開発プログラムを最も効率よく行なうため、2台目は早い段階で投入された。「2台体制を敷いた理由は、開発を2つのパートに分けたかったからである。1号車はフィンランド国内で活動し、エンジンとギアボックスに焦点を当て、車両の信頼性と耐久性向上に注力。2号車はサスペンションに焦点を当て、スペインやポルトガルといったフィンランド以外の欧州をベースに活動している」とチーフエンジニアのトム・フォウラーは説明する。「ターマックでのテストはまだ始めていないが、車両のパフォーマンスレベルはとても高いと言える。これまでのところ大きな問題もなく進められており、チームの励みになっている」

開発プログラムをさらに進める前の現時点では、トミ・マキネン自らもハンドルを握っている。「気持ちを抑えきれず、自分が一番に車両を走らせた。素晴らしいフィーリングで楽しく運転ができた。メインテストドライバーであるユホ・ハンニネン、そしてヤルコ・ニカラが加わってくれたことも、とても幸運だ」とはマキネンはコメント。ハンニネンは「最初に運転したときはとても感銘を受けた」と話す。「ハンドリングと車両のバランスは完璧だったし、設計も非常に優れている。クルマの信頼性が高く大きな問題もなかったので、フィンランド国外で初めて行なったテストでは時間を無駄にすることなく、予定通りの走行距離をカバーできた。様々な状況・条件でテストを行なってきたが、ヤリスWRCのパフォーマンスはとても安定している」と加えた。

チームには毎週のように新しいメンバーが加わり、現在日本を含む7か国からのメンバーで構成される多国籍チームとなっているが、全員が「もっといいクルマづくり」の精神で、同じ目標に向かって邁進している。「この家族のような雰囲気のチームをとても気に入っている。人がどんどん増えているにもかかわらず、チームの雰囲気がほとんど変わっていないことに驚いている。言語による壁もなく、チームには一体感があり、一人一人が妥協することなくベストを尽くしている。これらは成功するチームには必須条件の一つだと考えており、皆が同じ方向を向いていることをうれしく思っている」とマキネンは語る。

さらにTOYOTA GAZOO Racingは、2017年ヤリスWRC開発テストの様子を公式動画で初公開。同時にグローバルSNSアカウントを開設し、参戦に向けて準備を進める様子を情報発信するほか、随時日本のTOYOTA GAZOO Racing公式FacebookおよびTwitterでも発信していくとのこと。ヤリスWRCがどう煮詰まっていくのか、そして2017年シーズンの活躍はどのようなものか、今から楽しみだ。