新型「ヤリス」「フィット」は世界で通用するか!?

フィットのコンセプト変更

これまでの歴史的な経緯から考えると、驚くほどコンセプトが変わったといえるのが新型フィットだ。もちろん根幹にあるBセグメントとしての実用性、機能性、使いやすさなどの価値観は不変であるが、デザイン、パッケージング、走りの性能などに「用の美」という着想のもとで、扱いやすさ、心地よさ、シンプルさを重視したコンセプトを採用している。

そのため、Bセグメントでトップレベルの広さを持つパッケージングは維持しながらも従来からのデザイン手法を一新した。フィットはこれまで広さ感を重視したワンモーション・フォルムを採用してきたが、そのためにAピラーが前進した典型的なキャビンフォワード・レイアウトになっていた。

このキャビン・フォワードはAピラーがより前方に位置するため、斜め目前方の視界が悪化する。そのブレイクスルーとして新型フィットは極細Aピラー、強度を担当するAピラーNo2を採用し、さらにダッシュボード位置を下げ、フラットにデザインすることで、前方視界を大幅に改善。視界の良い明るいキャビンを実現している。

また、センタータンクレイアウトを採用しながらもプラットフォームを進化させ、滑らかなストレスのない走りと乗り心地の両立、静粛な室内など大人向けの走りのテイストを目指している。

こうした感性性能を重視し、数値にこだわらないという開発の方向性を採用したため、吸遮音材や、各種の装備のため車両重量はヤリスより重くなっている。結果的に、ヤリスとの燃費競争は諦めている。

新型フィットは、自然吸気4気筒1.3Lエンジンが98ps/118Nm、そして新採用の2モーター式ハイブリッド「e:HEV」は1.5Lエンジンが98ps、モーターが253Nmの出力となっている。このハイブリッドのチューニングも、滑らかな加速特性を重視している。その結果、WLTCモード燃費は29.4km/Lとなり、ヤリス・ハイブリッドの36.0km/Lに比べて相当差が開いている。

ただ、新型フィットは日常での利便性にこだわり、約1000kmの航続可能距離を確保するため容量40Lのタンクを採用している。燃費は実走行で27km/L程度を想定すると、40Lのタンクなら給油ランプが点灯するまでの実用で、約37Lのガソリンを使用でき、航続可能距離は999kmとなる。

一方、ヤリス・ハイブリッドのタンク容量は36L、ガソリン・モデルは40Lと使い分けている。ヤリス・ハイブリッドも燃費性能を考えるとほぼ1000km近くの航続距離は実現している。

ホンダ フィット 諸元表

ヤリス、フィットはグローバルで通用するか?

ヤリスはTNGA-Bとダイナミックフォース・エンジン、さらに改良型ハイブリッド、フィットはグローバルBプラットフォーム、「e:HEV」を投入し、世界市場に参入する。従来から比べると、いずれも性能的に大幅にレベルアップしたことは間違いない。

しかし、ヨーロッパでは、トヨタの渾身の作ともいえるカローラでも、実用性能は高いが質素なインテリアといわれるなど、B、Cセグメントに対する要求は厳しい。また、現行のフォルクスワーゲン・ポロに続く競合モデルが、フランスから登場している。

ルノー・クリオ(ルーテシア)
2020 – Nouvelle Renault CLIO E-TECH
2019 – Nouvelle Renault CLIO

まずは2019年にデビューしたルノー・クリオ(ルーテシア)だ。最新のCMF-Bプラットフォームを採用。エンジンは0.9L・3気筒、1.3L・4気筒ターボ、1.5Lディーゼルをラインアップし、さらに2020年には「E-テック」と呼ぶ新開発の1.6Lエンジン+2モーター式ハイブリッドを投入する。

クリオのパッケージ

ルノー・クリオは、先代モデルはヨーロッパではポロを抑えてBセグメントでトップに立った実績を持っており、最新Bセグメントの覇権争いの中心車種といえる。

新型プジョー208

さらに、ヨーロッパでの躍進しているPSAからは新型プジョー208が登場している。EMP1プラットフォームを採用し、性能を一段と向上している。

パワートレーンはピュアテック1.2Lターボ、1.5LブルーHDiディーゼルをラインアップし、アイシン製の8速ATと組み合わせている。そして50kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載したEVモデル、「e-208」もシリーズに加えている。

このEVは136ps/260Nmのモーターを搭載し、340kmの航続距離を実現している。なお「e-208」はオペル・コルサe、DS3クロスバック-eテンスと兄弟モデルになっている。

新型プジョー208のパッケージ

この新型208はヨーロッパ・カーオブザイヤーを獲得していることかわらもわかるように、走り、デザイン、インテリアの質感、装備などで高い評価を得ている。

Bセグメント・ハッチバックはどれもボディサイズはほぼ同一で、どれだけキャビン・スペースやラゲッジ容量を生み出すか、走り、乗り心地、静粛性のレベルをどれだけ高めるか、そしてインテリアの質感を向上させるか、ある意味で日本の軽自動車の性能競争に似たところがある。

そして手頃な価格でありながらCセグメントのクルマの性能を目指して競争が行なわれている。その中で、新型ヤリス、フィットがどうのような評価を受けるか興味深い。

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