ENEOSと自動車メーカー5社(トヨタ、ダイハツ、スズキ、マツダ、スバル)は2025年4月11日、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の開催期間中、来賓・関係者向け車両の会場内運行に、ENEOSが製造した合成燃料を混合した燃料を使用すると発表した。

また、この合成燃料でガソリン同様に走行できることをスズキ、スバル、ダイハツ、トヨタ、マツダの各社は事前に確認している。
ENEOS中央技術研究所内の実証プラントでの合成燃料の生産は、バイオエタノールなどから製造する燃料ではなく、「eフュエル」と呼ばれ、水素とCO2をフィッシャー・トロプシュ法で化学合成し液化した合成燃料だ。この実証プラントでの製造能力は日産で約159Lとされている。

この「eフュエル」は、すでに2022年からポルシェがアメリカのHIF社と合弁でチリの実証プラントを稼働させており、かなりの製造能力を備えている。チリが選ばれたのは豊富で安価な風力発電電力が得られるからである。
ENEOSOの合成燃料は、再生可能エネルギー由来の水素とCO2を原料としており、製品ライフサイクル全体において CO2 排出量を抑えることのできる燃料だ。液体燃料である合成燃料は、既存インフラを活用できるため、内燃機関でのCO2排出量削減を可能にする。
しかしながら、水から電気分解で水素を発生させ、CO2から分離されるCO(一酸化炭素)と水素を触媒反応させることで液化燃料を製造するという工程のため、大量の電力が必要となり、電力コストの高さと、一連の製造工程での効率に課題がある。