スバル新型レヴォーグはこうして造られている ボディ サスペンション解説

新型レヴォーグへの興味はどこにあるか、人それぞれで興味深いポイントは異なると思うが、今回は地味だけど製品クオリティのレベルアップに大きく貢献している技術を中心にお伝えしよう。新型レヴォーグは2020年8月20日の本日から先行予約が開始され、10月15日(木)に正式発表される。基本となる考えは、レガシィで培ったグランドツーリング思想を継承し、日本のための専用モデルとしている。では早速新しくなった新型レヴォーグの詳細を見ていこう。

インナーフレーム

グランドツーリング志向であるから、目的地に快適に、速く、安全に行けることが大切になる。そのため、重視したのがボディだ。

「インナーフレーム構造」に変更した。これはクルマの造り方の違いであり、造り方が変われば工場も変える必要があり、スバルは多大な資金を工場に投資している。だから、今後発売されるスバルの新型車はインナーフレーム構造となって誕生してくるのだ。

さて、そのインナーフレーム構造とは何か?欧州車、とくにプレミアムモデルのほとんどがこの工法で製造されているが、日本車では唯一ホンダだけが採用している。スバルが2社目となる。

一般的にクルマはモノコック構造と言われ、フレームとパネルが組み合わされたユニットが土台になって生産されている。クルマの基本性能を見直したとき、サスペンションの働きやステアリング応答性、そして乗り心地、静粛性といった項目を改善する時に、ボディの見直し、つまり根本的な箇所の見直しが必要になる。

赤い部分がインナーフレーム構造によって強化できた部分

そしたときモノコック構造の場合、すでにパネルとフレームは繋ぎ合わされているため、剛性を変えようとしたとき、パネルが邪魔になり、うまく変更できないケースが出てくるという。したがって、先にフレームでボディの骨格を形成し、あとからパネルを組み合わせる造り方であれば、かゆいところに手が届くというわけだ。

スバルにはモータースポーツや特装車、強化パーツなどを開発する子会社STIがあり、そのSTIではこれまでスバルの市販モデルに補剛材を追加してハンドリングやスポーツ性を高めるパーツを数多く開発してきている。例えばドロースティフナーやフレキシブルサポートサブフレームなどであり、そうしたノウハウがフィードバックされたのではないか、と想像する。

つまり、インナーフレーム構造であれば、設計段階でわかる剛性やいなしを織り込んだボディが造りやすくなるということなのだ。

新型レヴォーグでインナーフレーム構造としたメリットを具体的に聞いてみた。するとキャビンスペースとリヤセクションが従来は別々にあり、アウターパネルで接続されていた。そのため後から溶接ができず、補剛材を被せて溶接する造りだったが、今回は先にフレーム構造で剛性を出せることができているという。


リヤセクションのフロアとボディサイドの面セットの倒れ込みを抑制する構造では、現行方式ではボルトオンで補剛している状態だという。それが組み方を変えることでフロアとボディサイドを先に取り付け、しっかりスポット溶接が可能になり、タイヤハウス全体の剛性が上がっているという。また結合ロスもなくなり、溶接による重量増も避けられるという。そしてこれは、サスペンションの動きをよくする効果もあるわけだ。

こうしてボディ全体の骨格部材(フレーム構造)が強固に組み立てられ、外板パネルを後から溶接する新工法としたことで、ボディのねじり剛性で現行比44%もの向上を果たしている。さらに新型レヴォーグでは構造用接着剤も範囲拡大し、インプレッサ比で約4倍の27mまで拡大している。

こうしたボディ剛性の向上は、車格をワンランク上に格上げする効果をもたらすのだ。

サスペンション

剛性アップしたボディを背景に、サスペンションもジオメトリーを含め新設計されている。形式はフロントがマクファーソンストラットでリヤはマルチリンク。コンセプトはストロークを伸ばして接地性や乗り心地を向上させる狙いがある。現行レヴォーグ比でフロントは約25%、リヤが約10%ストロークが伸びている。

フロントのジオメトリーではキングピン軸とタイヤ中心線を近づける工夫が入っている。つまりキングピン軸線上にホイールセンターが近づくようなジオメトリーで、転舵軸(キングピン軸)とタイヤ(ホイールセンター)が遠いと路面からの外乱でステアリングへのキックバックが大きくなり、操舵が乱れやすい。そのため転舵軸とタイヤを近づけ、外乱に強くなる工夫があるわけだ。

デュアルピニオンのラックアシストタイプのEPS

さらにスバル初搭載となるデュアルピニオンの電動パワーステアリングを搭載している。これはタイヤからの外乱を含めステアリングトルクセンサーに余分な情報が入力されてしまうが、操舵入力と切り離してギヤを設置するため、トルクセンサーへの入力がドライバーのからの信号だけになり、結果として思い通りの動きが手に入るということになる。またこれまでの1ピニオン式ではモーターの振動がダイレクトに伝わってしまうことやリニアに伝達しにくいといった課題も解決できるわけだ。もちろん、その分、コスト高にはなっている。

このデュアルピニオン式としたことで、正確に大トルクに対応することが可能となり、新アイサイトにある緊急時プリクラッシュステアリングへの対応が可能になっているわけだ。

ZFのCDCカットモデル。前後に装着している

サスペンションではもうひとつ、新型レヴォーグにはショックアブソーバーに連続可変制御ダンパーが採用されている。ZF製のCDCが装備されている。このダンパーの特徴は、減衰力をリアルタイムで制御する仕組みで、センサーが路面からの状況、車両の走行速度、ドライバーの操作によるクルマの動きを検知し、ダンパー内の作動油の流れを電子制御されたバルブによってコントロールするセミアクティブ・サスペンションとして機能する。

これを新型レヴォーグではドライブモードセレクトに組み合わせ、走行フィールの変化につなげているわけだ。

電動油圧ブレーキになった。アイサイトとの連動で欠かせない

ZFのCDCはSACHS(ザックス)ブランドの製品で、ZFに吸収されていることはマニアであればご存知であろう。今回CDCを採用するにあたって、ダンパー制御プログラムをドイツのSACHSと共同で進めたという。ZFは中国の上海郊外安亭市にある「アンチンテックセンター」があり、ここを国内OE向けの開発拠点とし、CDCをはじめ多くのパーツがここから供給されている。

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しかし、スバルのエンジニアによれば、レースカーから超高級車までのダンパー造りをしてきたSACHSのエンジニアがドイツにいるため、ドイツで共同開発をしてきたということだ。それほど新型レヴォーグへの開発にはコストと時間をかけているというエピソードがある。
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