ルノー・日産自動車・三菱自動車が設立した戦略的ベンチャーキャピタルファンド「アライアンス・ベンチャーズ」は2018年10月31日、完全自動運転(レベル4)の技術に特化した企業として、中国で業界をリードするWeRide.ai社(旧:JingChi.ai社)の資金調達ラウンド(シリーズA)において、リード投資家をつとめたと発表した。
今回の投資は、次世代自動車技術の最先端に立つ起業家や新興企業を支援するアライアンス・ベンチャーズの戦略の一環で、中国への投資はWeRide.ai社が初めてのケースとなる。
WeRide.ai社は、2017年、トニー・ハンをはじめとする優秀な人材が集まり創業。一般向け完全自動運転車の大規模な商業展開を目指す自動運転車企業として業界を率いる存在となっている。WeRide.ai社では、人間が関与せずとも周囲を察知し走行する完全自動運転車の実現のために人工知能を利用しており、安全・確実・便利な「サービスとしてのモビリティ」の提供に向け積極的に取り組んでいる。
WeRide.ai社は、今回の資金調達ラウンドではモルガン・スタンレーからアドバイスを受けており、自動車、交通サービス、都市の建築設計に対する人々の意識を大きく変えるとされる中国での自動運転技術の開発に懸命に取り組んでいる。
アライアンス・ベンチャーズの支援により、WeRide.ai社では、完全自動運転(レベル4)に特化した中国の新興企業の中でグローバル規模の自動車会社グループから投資を受けることになり、戦略的提携を結ぶ最初の企業となる。
投資された資金を活用し、WeRide.ai社は、2019年に自動運転車500台を用いて、実走行距離を500万キロまで伸ばすとともに、広州市と安慶市で主要パートナー企業とともに運用および商業化の実験を行う計画だ。同社の自動運転車の累計走行距離はテスト開始からすでに6万キロを超えており、世界で3千人以上にサービスを提供してきた。
前回の資金調達ラウンドでリード投資家となったQimingベンチャー・パートナーズは今回のラウンドにも参加しており、他にもHanforキャピタル、Atopキャピタル、ジョンソン・エレクトリック、シャオペン・フー、Idinvestパートナーズ、OceanIQキャピタルが今回のラウンドに参加した。
アライアンス・ベンチャーズとオープンイノベーションを担当するアライアンス グローバル バイス プレジデントのフランソワ ドーサは、
「新しいモビリティサービスの開発に際し、自動運転システムはアライアンスの重要課題の一つです。アライアンスのメンバー各社は、中国などの主要市場にそうした技術を導入することを約束しており、要求が厳しい中国市場向けの完全自動運転システムの先駆者であるWeRide.ai社を支援できることを嬉しく思います」
とコメント。
また、WeRide.ai社のCEO兼 共同創業者でもあるトニー・ハンも、
「財務的投資に加えて、ルノー・日産自動車・三菱自動車とWeRide.aiは特定の領域で戦略的に提携することで関係を一層強化していきます。自動運転革命は、新たに2.0の段階へ突入したと確信しています。WeRide.aiは技術革命をリードし続け、皆様に実質的な多大な利益をもたらしていきます」
と話している。