2018年6月25日、ダイハツはハッチバックタイプの新型車「ミラ トコット(Mira TOCOT)」を発表し、同日から発売を開始した。「ミラ トコット」は、2018年3月に販売を終了した「ミラ ココア」の後継モデルだ。
■開発コンセプト
軽乗用車は、女性、高齢者などを中心に特に地方都市で通勤、通学、買い物などに欠かせない存在で、軽の乗用車系は毎日使用するユーザーが75%と、一般の乗用車よりはるかに稼働率が高い特長がある。
トコットは軽自動車の本質を重視しながら、特に初めてクルマを購入する人や若い女性などのエントリーユーザー層が安心して乗ることができる、シンプルで、愛着の湧くデザインとし、若年層でも買いやすい低価格を追求している。
開発のキーワードは「エフォートレス」で、肩ひじを張らず、自然体で安心して乗ることができるクルマであることを意味している。
開発にあたっては、ダイハツとして初めての試みとなるユーザー層に近い若い年代の女性プロジェクトチームによって、企画、コンセプトの絞り込みが行なわれた。製品企画、商品企画、デザイン、生産管理部門の若い女性メンバーがプロジェクトメンバーとなり、これまでの女性をターゲットにしたクルマの方向である「かわいい」、「かっこいい」、「女らしい」といった「盛る」感覚より、「素」の魅力を重視し、流行、異性、他人の視線に媚びない、自分らしさを重視する価値観を前面に打ち出すことにした。
その結果、無理なく、不安なく、自然体で乗ることのできるクルマ=エフォートレスなクルマというコンセプトとし、日々の暮らしのパートナーにふさわしいクルマに仕上げることにした。
ちなみにトコット(TOCOT)という車名は、To Character、To Confortableness、To Convenienceの頭文字の「To C」を活かした造語だという。
■デザインとパッケージング
エクステリア・デザインは、スクエアなボックス形状のハッチバックでありながら角を丸めることで、シンプルながら愛着を感じられるようにしている。ヘッドライトは、全車がバイアングルLEDを標準装備する丸型デザインとし、リヤはLEDストップランプを内蔵する丸型のコンビランプを採用。
またサイドビューでは、サイドウインドウのラインを水平にし、バックする時の視界の良さを重視。さらにAピラーはミラ イースより15%角度を立てることで、斜め前方視界を向上させるとともに、頭周りの圧迫感を少なくしている。
ボディサイズは、全長3395mm、全幅1475mm、全高1530mm、ホイールベースで2455mmで、ミラ イースとの比較では、全高が30mm高められている。これはAピラーを角度を立てたためで、その結果室内高も1270mmとミラ イースより30mm拡大され、ヘッドクリアランスを増大させている。
インテリアは、シンプルで居心地の良いことをテーマに、水平基調のインスツルメントパネルとし、明るい配色に。上級グレードのG、Xはインスツルメントパネルの加飾パネルに陶器のような質感のセラミックホワイトを採用しクリーンで暖かみのある質感を生み出している。
メーターパネルはグレード別に設定されているが、いずれもシンプルなデザインのアナログメーターとし、視認しやすいように配慮されている。
シートもシートバックは明るいベージュ、座面は汚れが目立ちにくい茶色を組み合わせたツートーンにしている。
ボディカラーは8色をラインアップ。さらにツートーンも選択できる。ルーフカラーはペイントではなく、フィルムを工場で貼ったデザインフォルム・トップ(Dトップ)で、キャンバス地調のアイボリーを選択できる。
またユーザーが個性を主張できるように、ディーラーオプションで「スイート・スタイル」、「エレガント・スタイル」、「クール・スタイル」という3種類のキットが選択できる。
「スイート・スタイル」はパーツホワイトのパーツを活かしたデザイン・テイストに、「エレガント・スタイル」はメタル調のパーツや革巻きステアリングやシフトノブにより質感の高さをアピール。「クール・スタイル」はブラックをアクセントに使用した都会的なクールさを強調している。
■ボディ、シャシー、パワーユニット
プラットフォームはミラ イースと共通で、サイドボディに高張力鋼の厚板を採用したDモノコック構造だ。またサイドシルやAピラー基部に超高張力鋼板を採用。骨格の結合部を強化するなど、高強度・高剛性化を実現している。
またボディ軽量化のために、フロント・フェンダー、フューエルリッド、バックドア、燃料タンク、ラジエーター・サポートフレームなどに樹脂を採用している。
サスペンションはフロント・ストラット式、リヤはトーションビーム式だが、フロント・ストラットはリバウンド・スプリング内蔵式で、ロールを穏やかにしている。またリヤのブッシュも最適化され、安定感のあるリヤ・アクスルとしている。
電動パワーステアリングはモーター容量を大きくし、素直な操舵フィールに。また運転に慣れていない女性の使用を想定し、低速域の操舵力はミラ イースより大幅に軽くして、車庫入れや狭い路地での扱いやすさを高めているのも特長だ。また最小回転半径は4.4mとし、Uターンや車庫入れでの取り回しも優れている。
エンジンは自然吸気の3気筒KF型で、出力52ps/60Nm。トランスミッションはCVT。駆動方式はFFと4WDが設定されている。JC08モード燃費はFFモデルで29.8km/L、4WDで27.0km/L。もちろんエコカー減税の対象車となっている。
■安全システム、装備
安全システムとしては、ステレオカメラ式の衝突回避システム「スマートアシストⅢ」をG、Xに設定。また前方の障害物に対する誤発進抑制制御機能とステレオカメラ、そして超音波センサーを追加し、様々な障害物に対応できるように改良されている。
また、エアバッグは前席用に加え、サイドエアバッグ、カーテン・エアバッグを軽自動車として初めて全グレードに標準装備化している。
さらに軽自動車初となる、パノラマモニターと超音波コーナーセンサーをダブルで設定している。販売店オプションのパノラマモニタータイプナビの装着を前提に、G SAⅢには標準装備され、X SAⅢにはメーカーオプションの設定としている。
パノラマモニターとコーナーセンサーで、狭い路地でのすれ違いや、駐車時に視覚と音で運転をサポートすることができる。
室内装備としては、G SAⅢ、X SAⅢはUSB電源を2個装備し、さらに女性ユーザーに欠かせないバニティミラーを運転席/助手席に装備する。またG SAⅢは運転席/樹種席にシートヒーターも標準装備している。
またG SAⅢはフロントガラス、フロント・ドアガラスにIR& UVカットガラスを採用。その他のグレードはUVカットガラスを装備している。
若い女性をメインターゲットにし、従来の女性向けデザインや趣向の概念を切り替えた、さらに価格面でもアピール力を備えた新型トコットは、新しい軽乗用車像をプレゼンテーションするニューモデルだ。