フォルクスワーゲン【動画】 パイクスピーク・ヒルクライムを制した電気駆動レーシングカー「I.D. R パイクスピーク」

開発テスト(動画)

このマシンは、生産車の電気自動車と同じようにリチウムイオン・バッテリーを使用する。しかし生産車とは違ってバッテリーセルにはとても高い電力の出力密度が求められ、その出力密度は、高電圧を発生する際のシステムで最も重要な要素なのだ。市販の電気自動車とは異なり、モータースポーツでの技術目標は最大航続距離ではなく、パイクスピークの頂上を目指す上り坂で可能な限り大きなトルクを発生させることだ。

フォルクスワーゲン I.D. R パイクスピーク コックピット フルカーボンシート
I.D. Rパイクスピークのコクピット

リチウムイオン・バッテリーは、コックピットの周囲に配置され、フロント、リヤアクスルに搭載されている2基の高出力モーターに電力を供給。ブレーキは完全なブレーキ by ワイヤーで制御され、減速回生により走行に必要なエネルギーの最大20%を賄う。
フォルクスワーゲン I.D. R パイクスピーク 運転風景

モータースポーツチームは、ウォルフスブルグ本社にある技術開発のeモビリティチームのサポートを得ながら開発を進め、今回の開発で得た知見は量産モデルにも生かされるとしている。例えば、バッテリー開発は、フォルクスワーゲンが量産モデルのために定めている社内試験の基準を満たしているという。

圧倒的な性能を実証

パイクスピーク・ヒルクライム用のマシンは、どのようにテストを実施するのかは、参戦する際の大きな課題の一つとなっている。レースが開催されるコロラドスプリングズのヒルクライムコース(19.99km)でのテストは厳しく制限されており、テスト走行は特定のセクションに限られているからだ。

フォルクスワーゲン I.D. R パイクスピーク ロマン・デュマ選手 シミュレーターによる慣熟走行
実際のコースを走る機会は1回のテスト走行だけなので、シミュレーターを使って慣熟走行を行なうロマン・デュマ選手

このため、多くのテストは実際のパイクスピークのコースではなく、南フランスの山地にあるサーキットで行なわれた。

「I.D. R パイクスピーク」のステアリングを握って電気自動車による記録の更新に挑戦するのは、世界有数のドライバーであり、2017年のパイクスピークでも優勝しているロマン・デュマ選手だ。39 歳の彼は、パイクスピークで3 回優勝しているだけでなく、ポルシェ・ワークスのドライバーとしてル・マン24 時間レースでも2 回優勝している。

公式練習時のフロントに取り付けたカメラ映像(動画)

パイクスピーク・ヒルクライムはスタート地点が標高2862m、山頂のゴール地点との標高差は1440m、コースには156 のコーナーがある100%アスファルト舗装路でたった1 回のタイムトライアルという厳しい条件の競技である。新記録を達成するには、最高のテクノロジーとドライバーの果敢な走りに加え、気象条件も重要な要素となる。ゴール地点となっている標高4302m のパイクスピークの頂上では、6 月末でも気温が氷点下になることも珍しくなく、またコースの途中で雨が降ることさえあるのだ。

決勝走行の映像(動画)

フォルクスワーゲン I.D. R パイクスピーク フィニッシュ風景

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