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フォルクスワーゲンは2017年10月に、完全な電気駆動レーシングカーでパイクスピーク・ヒルクライムに出場することを発表していた。そして2018年6月に開催される第96回パイクスピーク国際ヒルクライムまでの8ヶ月間で、フォルクスワーゲン・モータースポーツは「I.D. R パイクスピーク」を開発することになった。
短期間でのマシン開発
純粋な電動駆動レーシングカーを誕生させるにあたり、複雑なエアロダイナミック・コンセプトやレーシングカーならではのシャシーの開発に加え、これまでで最も複雑なパワートレーンの開発が最大のチャレンジとなった。
車載のリチウムイオン・バッテリーで駆動されるスーパースポーツカー「I.D. Rパイクスピーク」は2個のモーターで最高出力500kW(680ps)、最大トルク650Nm、車両重量1100kg 以下というスペックで企画された。
2018 年6 月24 日にアメリカのコロラドスプリングズで開催される国際的に有名なヒルクライム・レース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に挑むスペシャルマシン「I.D. Rパイクスピーク」は「I.D.」という車名が付けられていることからもわかるように、フォルクスワーゲンの電動車のシリーズの一環として開発され、「R」はフォルクスワーゲンの高性能モデル「Rシリーズ」に属するモデルであることを示している。
そのためもあって、開発の目標はパイクスピーク・ヒルクライムの絶対的な覇者になることだが、電気自動車としてエネルギー容量と重量の理想的なバランスを見つけることだったという。そのため通常のレーシングカーのように、最大限のパフォーマンス、最大限のパワーを追求するというコンセプトにはなっていない。しかしそれでも動力性能、0-100km/h加速タイムはわずか2.25秒で、フォーミュラE、F-1を上回るという。
このクルマの開発にあたっては、短期間の厳しいスケジュールの中で、グループ内の協力が行なわれ、例えばブラウンシュヴァイクのバッテリー工場からサポートを受け、ウォルフスブルグの技術開発部門とモータースポーツ部門が協力して開発作業を行なっている。