【アウディ】A2 e-tron、電費12.8kWh/100kmの衝撃 Cd 0.24、SiC、LFPで追求したEVの究極効率

アウディ本社は2026年8月4日、新型コンパクトEV「A2 e-tron」の概要を発表した。

WLTPモードで、140kW仕様モデルに「エフィシエンシーパッケージ」を装着した状態の電費は100kmあたりわずか12.8kWhと、アウディがこれまで市場に投入してきたどのモデルよりも優れた電費を実現している。

ゲルノート・デルナーCEO

「A2は、1990年代に私がフォルクスワーゲングループに入社して以来、私のキャリアにおいて常に変わらない存在であり続けています。当時も、その画期的な3.0L/100kmという仕様は、効率性を特徴としていました。これこそが、新型A2 e-tronで推進するビジョンであり、卓越した効率性、優れた日常での使いやすさ、そして現代の電動モビリティに対するお客様の期待を明確に理解している表れです」と語っている。

なお、ヨーロッパWLTPモード電費値は、100kmあたり「エフィシエンシーパッケージ」モデルは12.8kWhとなっている。

空力性能はCd値0.24を実現
100km/hを超える速度域では、走行に必要なエネルギーの半分以上を空気抵抗が占めるとされる。つまり巡航速度域での電費を左右する最大の要因は空力性能であり、抗力係数(Cd値)をわずかでも下げることが、そのまま航続距離の改善に直結する。

A2 e-tron 140kW(エフィシエンシーパッケージ装着車)のCd値は0.24。これはアウディのコンパクトモデルの中で最も優れた数値だ。

デザイン
ボディフォルムは、丸みを帯びたフロントフェイス、なだらかなルーフライン、切り立ったリヤエンドという、いわゆる「流線形設計」の原則に基づいている。

フロントフェンダー周辺には、乱流の発生を抑えて空気の流れを整えるエアカーテンが配置されている。さらにホイールアーチ周辺の気流を穏やかにするギャップリデューサー、ギャップブリーザーと呼ぶ細部の空力対策も採用。ギャップリデューサーはホイールアーチのトリム部に組み込まれ、タイヤとアーチの隙間を狭めることで気流を整え、乱流を抑制する仕組みだ。

もうひとつの特長が、アクティブ制御式の冷却エア取り入れ口の採用だ。通常走行時および高速走行時は閉じた状態を保つことで空気抵抗を抑え、航続距離を最適化する。一方、充電時や急加速時、あるいは夏場の高温環境下では自動的にオープン状態になり、バッテリーや電装系を冷却して保護する。

これら空力対策を総合すると、対策を施さなかった場合と比較して、電費を最大0.9kWh/100km改善する効果があるという。これが電費12.8kWh/100kmという数値を支える大きな柱のひとつとなっている。

高効率な駆動系
A2 e-tronに搭載されるモーターは、永久磁石式同期モーター(PSM)だ。市街地や郊外での実用的な速度域での効率を重視したチューニングがなされている。効率向上に寄与する要素は、大きく分けて3つある。

パワーエレクトロニクスは、従来のシリコン半導体に代えてシリコンカーバイド(SiC)半導体を採用し、スイッチング損失を大幅に低減。可変スイッチング周波数の採用により損失を最大20W削減し、さらに新しい変調方式の導入で、従来方式と比較してスイッチング損失を最大33%低減したという。

モーターは積層鋼板の厚みを従来の0.3mmから0.2mmへと薄くすることで、いわゆる「鉄損」を低減。また、ステーター巻線の結線方式をスター結線からデルタ結線へと変更し、より効率の高いモーター回転域での運転を可能にしている。

トランスミッションには低摩擦タイプの新開発オイルを採用し、摩擦損失を削減。加えて、高速走行時にモーター回転数を抑える10.2:1という高いギア比を採用しており、これが電費改善に寄与している。

LFPバッテリーを採用
A2 e-tron 140kWには、リン酸鉄リチウム(LFP)セルを採用した61kWhのバッテリーパックが搭載される。特筆すべきはその構造で、セルを直接パッケージ外皮に接着する「セル・トゥ・パック」設計を採用することでパッケージング密度を高め、限られたスペースの中でエネルギー容量とエネルギー密度の両立を図っている。

LFPリチウムイオン・バッテリーの利点として、ニッケル、マンガン、コバルトを必要としない点、他の一般的なリチウムイオン電池と比較して劣化が緩やかな点と、安全性に優れる点が挙げられる。

また、LFPバッテリー特有のフラットな電圧カーブにより、充電状態(SoC)が低下しても比較的高い電圧を維持できるため、安定した出力特性が得られる。アウディは効率とは単に消費電力を抑えることだけでなく、長期間にわたって性能と使い勝手を維持することも含む概念だと位置づけている。

高い充電効率と熱マネジメント
EVにおける高効率を実現するためには、バッテリー・セルの化学組成だけではない。真の効率向上は、バッテリー、熱マネジメント、充電エレクトロニクス、ソフトウェアが精密に連携することで初めて実現する。

さらに、LFPバッテリー専用にチューニングされたアルゴリズムにより、充電状態(SoC)と劣化状態(SoH)を高精度に把握・管理。アウディはこの点について、EVの効率はハードウェアだけでなく制御システムに大きく依存すると強調している。

双方向充電
A2 e-tronは双方向充電機能にも対応している。外部機器に電力を供給するV2L機能は高電圧バッテリーの充電状態が20%以上であることが条件となる。

車両と家庭電源を接続するV2H機能も搭載。つまり車両を大きな蓄電池として機能させるシステムだ。車両と家庭の電力網との間でのエネルギーのやり取りは、バッテリー充電状態が20~80%の範囲にある場合にのみ可能で、その範囲内では充電地点ごとに設定された充放電の上限・下限が適用される。充電状態が20%を下回る場合は充電のみ、80%を上回る場合は放電のみとなる。

V2Hの利用にはアウディ推奨の充電ボックスが必要で、V2H機能は当初、ドイツ・オーストリア・スイスの3カ国で提供が予定されている。

コンパクトEVの価値
A2 e-tronが実現した12.8kWh/100kmという電費は、単一の技術による成果ではない。Cd値0.24という卓越した空力性能、SiCパワーエレクトロニクスや高効率モーターによる駆動系の最大10%の効率向上、そしてLFPバッテリーと精密な熱・充電制御という、複数の要素技術が積み重なって初めて達成されている。

アウディはA2 e-tronを、電動時代における「実用本位のコンパクトモデル」と位置づけており、2026年秋に正式発表される予定だ。かつて初代A2が「3リッターカー(100kmを3Lの燃料で走行できる)」という低燃費仕様で効率の代名詞となったように、A2 e-tronもまた、電動コンパクトカーにおける効率のベンチマークにする意図を持って送り出すことになる。

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アウディ ジャパン 公式サイト

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