グローバル・サプライヤーのマレリは2026年4月24日から北京で開幕した世界最大規模の「Auto China 2026(北京モーターショー)において「革新に根差し、世界中へ」をテーマに、駆動系、熱マネジメント、シャシー制御分野の最新技術を展示している。
これらの技術は、地域特性や多様な駆動方式に対応しながら、パワートレインの進化全体を通じて自動車メーカーを支援するマレリの取り組みを示すものだ。

パワートレイン領域
【新型eトランスミッション冷却ポンプ】
新開発のeトランスミッション冷却ポンプを展示。これらの製品は、最新世代トランスミッション向けに必要なタイミングで高精度なオイル冷却を行う先進システムであり、市場の主要ベンチマークと比較して30Wの省電力化を実現している。

eアクスル用およびハイブリッド用・トランスミッション向けに最適化された革新的なモジュール式トランスミッション制御ソリューションをベースとしており、高効率(40%)、高い統合性、競争力のあるコストが特長。同一の基本モジュールにより、トランスミッション領域での複数展開も可能だ。
業界トップクラスの動作効率によりエネルギー消費を抑え、電費と燃費の双方の向上に寄与する。また、機械的・電子的な環境の双方に対する高い親和性を備え、車両への統合や認証にかかるコストを低減する。12Vおよび48Vの両バリエーションを用意し、マレリのモジュール式スマート・アクチュエータ構想に基づく初の量産適用例であり、現行車両アーキテクチャおよび将来のマルチ電圧プラットフォームに幅広く適合可能だ。
【フレックス・フューエル・システム】
本システムは、持続可能かつ高性能な3気筒・4気筒エンジンへのニーズに対応し、バイオ燃料やエタノールの使用を可能にする。自動燃料判別機能により燃費および排出ガス性能を最適化し、燃料レールに内蔵されたヒーターが低温時の始動性を確保する。20年以上にわたるフレックス・フューエル技術の実績を基に、環境負荷低減と高い柔軟性を提供し、各市場の要件に応じた設計・生産が可能となっている。
【熱マネジメント】
マレリは駆動系技術に加え、グリーン・テクノロジーズ事業部より、低炭素で安全かつ信頼性の高いモビリティを支えるための、車両の熱エネルギーおよび排気ガス管理の最適化に関する最新技術を披露する。
これらの技術は、ハイブリッド車および電気自動車の熱効率を最大化するため、軽量化・柔軟性・高効率を実現する最適設計と小型化が特長である。これにより、車両レベルでの消費電力低減とエネルギー利用効率の向上を実現し、航続距離の延長に貢献する。

高性能チラーは、電動車両におけるバッテリーの熱マネジメント性能を大幅に向上させる。従来設計と比較して熱交換性能を高め、バッテリー温度制御とエネルギー効率を改善する。これを実現しているのが、精緻な内部フィン構造と軽量設計であり、コンパクト化と冷媒流量の均一化を両立。高速充電にも対応し、高いコスト競争力も備えている。
eアクスル用オイルクーラーは、軽量かつ高効率な熱交換を実現するソリューションである。新設計の内部フィンによりコンパクト化と熱性能向上を達成するとともに、最適化されたディンプル構造によって水流速度を高め、デッドウォーター領域を低減。冷却効率を向上させている。小型設計により、スペースおよび重量の削減、レイアウトの柔軟性、コストメリットを提供しつつ、厳しい性能要件にも対応する。

その他に、オールアルミ製ラジエータも展示。本製品は、すでに市場投入されている電動パワートレイン向けの実績あるソリューションであり、新エネルギー車(NEV)における効率的かつ信頼性の高いバッテリー冷却を実現する。コンパクトなアルミ構造によりサイズと重量を低減し、高い熱交換性能と柔軟なレイアウト設計を可能にするとともに、コスト削減と冷却時間の短縮に貢献している。
シャシー制御領域
マレリは北京モーターショーにおいて、車両運動制御および先進サスペンション技術が、車両の安全性、走行性能、ユーザー体験、快適性、さらにはブランド差別化においてますます重要な役割を果たしていることを紹介している。これらの技術は、ソフトウェア定義型車両(SDV)への進化を支える要素としても注目されている。
【アクティブ・キャンバー】
アクティブ・キャンバー・システムは、ホイールのキャンバー角をリアルタイムで補正することで車両の安定性を高め、走行性能と安全性の向上とともに、より快適なドライビング体験の提供を目的に開発されている。
キャンバーとは、車両を正面から見た際のホイールの内傾または外傾角度を指す。適切なキャンバー角を維持することで、タイヤと路面の接地状態が最適化され、グリップ力が向上。その結果、安定性、制動性能、加速性能が高まるとともに、タイヤ摩耗の均一化にも寄与する。

今回披露される新ソリューションは、センサーを内蔵した電子制御スマート・アクチュエータを採用し、路面状況を常時モニタリング。インテリジェントな制御ユニットがミリ秒単位でデータを処理し、走行状況に応じてホイール角度をリアルタイムに自動調整する。これにより車体の不要な動きを抑制し、グリップを強化することで、より正確なハンドリングと高い安全性を実現する。さらに、さまざまな走行条件下でもスムーズな乗り味を提供し、タイヤの均一摩耗による寿命延長にも貢献する。
【電動メカニカル・リフター】
電動メカニカル・リフターは、ダンパーに一体化されたフル電動式デバイスで、特定のシーンにおいて車高を調整する機能を持つ。スマート・アクチュエータを用いた本システムは自動レベリング機能を備え、さまざまな状況下でも車両バランスを最適に維持する。
スポーツカーや高性能車、スポーティSUVなどの車両セグメントに適しており、多様なユースケースに対応可能である。スポーツカーおよび高性能車では、ガレージのスロープやスピードバンプ、積雪路への対応を目的に車高を引き上げることが可能。一方、スポーティSUVでは一定の車速域で車高を調整し、空気抵抗を低減することで空力性能の向上を図ることができる。さらに、乗降性の向上にも寄与する。本ソリューションはオイルフリー構造かつ軽量設計であり、自動車メーカーにとっても組み込みやすい高い統合性を実現している。
【電動アクティブ・サスペンションとフル・アクティブ電動メカニカル・サスペンション】
電動アクティブ・サスペンションは、ハイブリッド電動メカニカル・サスペンションであり、手頃なコストで革新的な価値を提供することを目的に開発された新しいサスペンション・アーキテクチャである。フル・アクティブ・アクチュエータ技術とクラス最高水準のセミ・アクティブ・ダンパーを融合することで、コスト効率を維持しながら高級車レベルの走行体験を実現する。

本システムは電子制御ユニット(ECU)により制御され、フロントにはフル・アクティブ電動メカニカル・アクチュエータを採用。最適な減衰力を発生させるとともに、必要に応じて反力を生成し、ロール、ピッチ、ヨー、振動を最小限に抑制する。リヤにはセミ・アクティブ・ダンパーを組み合わせ、上下方向の動的応答を最適化。これにより、さまざまな走行条件下でスムーズな走りと優れた安定性、安全性の向上を実現する。

フル・アクティブ電動メカニカル・サスペンションはオイルフリー・システムであり、4つの電子制御アクチュエータが各輪のサスペンションおよび減衰特性をリアルタイムで制御し、車両ごとに最適な挙動を能動的に生成する。ミリ秒単位で処理されるデータを基に、高度なアルゴリズムが路面状況に応じた最適制御を行い、「魔法の絨毯」のような快適な乗り心地を実現する。
これら2つの電動アクティブ・サスペンション・ソリューションは、車両の安定性と快適性を高めることで、読書やノートPC使用といった自動運転時の車内アクティビティにおける乗り物酔いの低減にも寄与する。さらに、運動エネルギーを電気的に回生する設計により、パッシブ式やセミ・アクティブ式と比較して最大80%のエネルギー効率を実現している。













