【北京モーターショー2026】ヴァレオ もはや台数ではない――“技術価値競争”の最前線

グローバル・サプライヤーのヴァレオは2026年4月24日、世界最大規模の「北京モーターショー2026」で次世代モビリティ戦略を発表するとともに、中国市場における急速な技術革新に対応する最新ソリューション群を展示した。

電動化、ADAS、ソフトウェア定義車両(SDV)、さらにはロボティクス領域まで包括的な技術戦略は「チャイナ・スピード」を前提とした競争に適応していくことを強くアピールした。

2025年の中国自動車市場の販売台数は約3400万台規模と依然として世界最大を維持する一方で、その性格は大きく変化している。新エネルギー車(NEV:EVとPHEV)は販売の約50%を占め、BEVとPHEVの共存が進展。さらに、自動運転レベルの高度化やクラウド連携型アーキテクチャーの普及により、市場の競争軸は「販売台数」競争から「技術価値」競争へとシフトしている。

こうした環境下で、ヴァレオは開発から量産までを数ヶ月単位で実現する「タイム to マーケット」の短縮を競争力の中核に据えている。

【電動プラットフォーム】
電動化領域でヴァレオは「Valeo Power eSkateboard(ヴァレオ・パワー eスケートボード)」と呼ばれる統合プラットフォームを展示。最大350kWの電動パワートレインと高度な熱マネジメントを融合し、航続距離と効率の両立を図るシステムとなっている。

このEVプラットフォームは、統合バッテリー冷却システムを備え、急速充電レベルは5Cレート(20%~80%充電は約12分)を可能にしている。バッテリー昇温も統合され、低温環境での航続距離を改善。そして新世代のSiCインバーターを採用。このSiCインバーターは中国生産で、効率を5%以上向上させている。

そしてこれらは単体部品ではなく「システム統合」として提供される点が特長で、部品点数を最大30%削減しながら性能向上を実現している。

【高度運転支援から自動運転へ】
自動運転分野では、高速道路での自動走行を可能にする「NOA(ナビゲーション on オートパイロット)」対応の先進運転支援システムを発表。カメラ、レーダー、超音波センサーを統合したプラットフォームにより、車線変更や分岐走行を自動化している。

またヴァレオの第3世代LiDAR「SCALA 3 Evo」は、前方200m超の検知距離、毎秒1250万個の点群の3D認識、全天候対応という性能を紹介。これらにより、まもなく実現するレベル3~4自動運転の中核技術として位置づけている。

【SDV時代の中核は「集中制御」とソフトウェア】
中国市場で急速に進むSDV化に対し、ヴァレオは従来のハードウエア供給から脱却し、ソフトウェア主導のビジネスへ転換している。

その象徴が最大20センサーを統合処理するドメインコントロール・コンピュータで、OTAによる機能アップデート機能を備え、しかも消費エネルギーも最適化している。これにより、車両販売後も機能追加や性能向上が可能となり、自動車メーカーにとって新たな収益モデルを創出することができる。

【「移動手段」から「体験空間」へ】
中国特有のトレンドとして、「車内体験の高度化」が挙げられる。ヴァレオはこれに対し、130万ピクセル級HDヘッドランプによる路面投影技術、車内アンビエント照明と香りの演出、ARヘッドアップディスプレイなどを提案。車両を「第三の生活空間」として再定義する動きに対応している。

【ロボティクス領域への展開も加速】
ヴァレオは自動車技術をロボット分野へ展開している。LiDARやカメラ、超音波センサーといった量産技術を活用し、ヒューマノイドロボット向けの認識・制御システムを提供する構想を発表した。

南京には専用トレーニングセンターを設立し、AIモデルを用いたロボット開発を加速。自動車とロボティクスの融合が新たな成長領域に位置づけられている。

中国市場は現在、電動化、自動運転技術の加速、SDV/AIDVの普及、ロボティクス開発が同時進行する最前線となっている。ヴァレオは「中国で開発し、チャイナ・スピードで量産する」体制を武器に、この変化を単なる市場対応ではなく、グローバル戦略の中核へと高めることを目指している。

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