ボッシュは2026年4月23日、中国で4月24日~5月3日に開催されている北京モーターショーでレベル3自動運転技術など、最新のテクノロジーを出展すると発表した。
今回の出展により、世界最大級の自動車市場である中国において、ボッシュのモビリティ部門が存在感を一段と強めることになる。直近の決算によれば中国市場での売上高は約5%増の1223億元(約151億ユーロ:約2兆8000億円)に拡大。その売上高の過半を中国自動車メーカー向けが占めており、イノベーション主導型市場である中国でボッシュは確固たる地位を築いている。
2025年の中国の自動車生産台数は乗用車、商用車を合わせて3450万台に達し、世界全体の3分の1超を占めるなど、同国は依然としてグローバル市場の成長エンジンに位置づけられる。
ボッシュのステファン・ハルトゥングCEOは、「中国市場は競争が激しいが、当社は国内外の自動車メーカーと協業し、ソフトウェアとAIを軸としたモビリティ分野で高い競争力を発揮している」と語っている。
出展内容
【衝突回避を進化させる「自動緊急ステアリング」】
先進技術の代表が自動回避操舵機能「Autonomous Emergency Steering」だ。ボッシュは中国メーカーと共同で、わずか6カ月で量産化にこぎつけたという。
急な割り込み車両や歩行者などにより制動距離だけでは衝突回避が困難な場合、このシステムが自動でステアリング操作に介入。ブレーキ、操舵、パワートレインを統合制御する車両運動制御技術により、市街地だけでなく、雪道などの低μ路でも安定性を保ったまま回避動作を実現する。

【自動運転はレベル3へ本格移行】
ボッシュは電動パワートレイン、車載コンピューター、新ブレーキ、半導体、ADAS(先進運転支援)などの分野で中国市場における成長を加速する。2025年には中国では新車の約3分の2がレベル2+の運転支援システムを搭載している。
このレベル2+は、AIを活用したE2E技術により、市街地でも手放し運転が可能だが、ドライバーは交通監視義務、緊急時に自らの運転に切り替える必要がある。
ボッシュのモビリティ部門のマルクス・ハイン責任者は、「ボッシュは運転支援および自動運転分野で主要サプライヤーの一角を占めている」と強調している。
現在、中国市場ではさらなる高度化、すなわちレベル3自動運転への需要が急速に高まっている。こうした動きに対応し、ボッシュは2026年3月、中国・無錫においてレベル3車両の公道試験許可を取得した。

レベル2ではドライバーの監視が必須であるのに対し、レベル3では特定条件下で運転責任が車両側に移行する。これによりドライバーはハンズオフ/アイズオフ(手放し/交通監視義務なし)が可能となり、高速道路などでは移動中の時間を有効活用できる。
ボッシュのシステムは最高120km/hまで対応し、視界300m程度の条件下であれば作動するようになっている。自動車線変更機能も備え、AIの導入により、旧来タイプのルールベース型自動運転を大きく上回る性能を実現したことも優位点だ。

ボッシュの強みは、パワートレイン、操舵、ブレーキ、センサー、高性能コンピューター、ソフトウェア、AIに至るまで車両の全領域をカバーする総合力にある。第7世代レーダーなどのハードウェアから高度なアルゴリズムまで一括提供できる体制が、グローバル規模での量産効果と高い安全性を支えている。
【ブレーキ・操舵のバイワイヤ化が加速】
ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)時代に向けた中核技術が、ブレーキ・バイ・ワイヤおよびステア・バイ・ワイヤだ。

ボッシュの油圧式ブレーキ・バイ・ワイヤは、新開発アクチュエーターと従来のESPを組み合わせた構成を採用。すでに5社と供給契約を締結し、2026年半ばから量産開始予定。さらにロボタクシー向けにも2027年の採用が見込まれている。

操舵系でもボッシュはステア・バイ・ワイヤを中国市場で展開する。操舵ギヤレシオを自在に変化させることで、駐車時の快適性からワインディング路でのスポーティな応答、さらにはサーキット走行まで幅広く対応することができる。

【48V電源と電動化技術も進化】
電動化領域では、ボッシュはこれまでに2500万点以上の電動関連コンポーネントを生産。2026年の単年でも700万点以上を供給予定で、中国を含む30社以上の自動車メーカーに提供している。
電動モーターでは効率損失を最大30%低減。さらにスポーツ用途では出力密度を最大16kW/kgまで高めている。小型車向けにはアルミ製ステーターコイルを採用し、軽量化とコスト低減を両立させることも実現している。

また、2025年にはマグネシウム合金製ハウジングを採用したeアクスルを導入。重量を約20%削減したほか、モーターやインバーターなどを統合した「6 in1 eアクスル」を中国で量産化する予定だ。
レベル3自動運転は、中国のみならず高速道路網の発達したアメリカやヨーロッパでも需要拡大が見込まれている。ボッシュは地域ごとのニーズに適応しながら、グローバル品質を維持することで、次世代モビリティの主導権を握る戦略だ。













