【ダンロップ】天然ゴム調達策を体系化 農家支援と研究開発を強化

ダンロップ・グループは2026年10月8日、ダンロップ・ブランドで展開する持続可能な天然ゴム調達の取り組みを体系的に整理したことを発表した。

同時に、インドネシアでの小規模農家支援プロジェクトについて、2026年4月から第2フェーズに入っていることを明らかにした。タイヤの主原料である天然ゴムの調達リスクに、サプライチェーンの上流から向き合う姿勢を打ち出した形だ。

天然ゴムは多くの小規模農家が生産を担っており、農家の生産性や収益、環境・社会面の課題は、原料の安定調達にも直結する。ダンロップはこれまで、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に基づき、「LEAPアプローチ」で自然との接点や依存・影響、リスク・機会を評価してきた。

今回、10月に新設した「持続可能な天然ゴム(SNR)部会」が、把握したリスクと機会を事業活動につなげるため、対応策を整理。軸に据えたのは、Science Based Targets Network(SBTN)が示す「AR3Tフレームワーク」だ。自然への影響に対する企業の行動を、次の4つの観点で分類する。

回避(Avoid):森林破壊ゼロ・環境への配慮、トレーサビリティの確保、サプライチェーンリスクの評価

低減(Reduce):農家への農業技術支援(施肥や水資源管理など)、農園訪問・対話、収量向上技術の開発、特定地域への依存リスクの低減

修復・再生(Restore・Regeneration):アグロフォレストリー農法の展開

変革(Transform):高機能化天然ゴムや天然ゴム代替材料、脱石油合成ゴムの開発、タイヤの軽量化・長寿命化、リトレッドタイヤの推進

ダンロップは、これまで個別に進めてきた施策の位置づけと今後の対応領域が明確になったとしている。対象はゴム農家から加工場、材料開発・研究開発までのバリューチェーン全体に及ぶ。

第2フェーズの土台となるのは、2022年から2025年に実施した第1フェーズの成果だ。このプロジェクトは、ダンロップの天然ゴム調達会社SUMITOMO RUBBER SINGAPORE PTE. LTD.が、天然ゴムの生産・流通を手がけるHalcyon Agri Corporation Ltd.のゴム加工会社PT. Hok Tongと共同で進めている。

インドネシアは世界有数の天然ゴム生産国で、スマトラ島はその主要産地の一つだ。第1フェーズでは同島のJambi地域で1000軒を超える小規模農家を支援した。対象地域では天然ゴムの収量が最大で約19%増加するなど、生産性と収益の両面で改善効果が確認されたという。

農家支援プロジェクトは、AR3Tの「低減」に位置づけられる取り組みだ。第2フェーズでは、第1フェーズで得た知見を生かし、サプライチェーン上で同様のリスクを抱える北スマトラのRantau Prapat地域にも支援を展開する。農家の生産性・収益性の向上を図り、天然ゴムのサプライチェーンにおけるリスク低減につなげて行く。

また、Jambi地域では、第1フェーズに参加した農家への再指導を実施する。技術指導や農業資材の支援を継続することで、技術の定着とさらなる収量向上を目指す。新たに加わる北スマトラのRantau Prapat地域は、サプライチェーン上で同様のリスクを抱える地域だ。両地域あわせて年間約1740軒の農家を支援し、支援目標は2029年4月まで段階的に拡大していく。AR3Tの枠組みでは「低減」に位置づけられる取り組みである。

ダンロップはマテリアリティ(重要課題)の一つに「生物多様性」を特定しており、天然ゴムなど自然資源への依存と影響を自覚したうえで、周辺の生態系と共存する企業を目指すとしている。

今後は「持続可能な天然ゴム方針」に基づき、SNR部会を核にサプライヤーや生産者などのステークホルダーとの対話・協働を進めていく。天然ゴムの持続可能かつ安定的な調達とサプライチェーンの強靭化に加え、生産地域の環境保全や生産者の生活水準向上といった社会課題の解決にも貢献する考えだ。

ダンロップは8月にも、タイの研究機関・大学と連携し、天然ゴムの持続可能な生産に向けた共同研究を開始している。生産性向上を目指すもので、農家支援と研究開発の両面から調達基盤を固める動きが続く。

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