ダンロップと富士通は2026年6月4日、ダンロップが長期経営戦略に掲げる設計DXに向けて、タイヤの性能をAIで高精度かつ短時間に予測する「AIサロゲートモデル」を共同開発し、実証実験で成果を確認したと発表した。

この実証実験では、開発した技術をタイヤが路面に接地した際の変形挙動の予測に適用した結果、解析時間を従来の約45分から約5分へと大幅に短縮(約90%削減)するとともに、約60万要素(メッシュ)規模の解析を実現した。
両社はこの成果をもとにタイヤ設計の開発支援ツールの開発を進めており、ダンロップは2027年4月の実用開始を目指している。これによりデータドリブンな開発を加速し、安全性や環境性能に優れた高品質なタイヤをより迅速に市場へ供給することを目指すとしている。
なお、この技術は富士通が開発する高性能かつ省電力性を追求したArmベースの次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」での動作を前提に設計されている。今後両社は、この技術をベースに「FUJITSU-MONAKA」検証機での実証を2026年12月までに開始し、さらなる推論速度や精度、電力効率の最適化を目指していく。

今回の実証実験では、ダンロップのタイヤ設計ノウハウと実設計データ、富士通のAI技術を活用し、グラフニューラルネットワーク(Graph Neural Network:GNN)のアルゴリズムをベースとしたAIサロゲートモデルを共同開発。タイヤの構造解析に関する実証実験を行なった。
実証実験では、タイヤの路面接地時における接地形状や接地圧分布など、変形挙動や接地特性の評価を対象とした。その結果、従来のFEM解析では約45分を要していた解析を約5分で行なえるようになり、タイヤと路面の接地形状についてもFEM解析と比較して平均87.7%の精度で予測できることを確認した。
この技術により、従来は複数の設計プロセスを経て決定していたタイヤの構造や材料仕様を、より少ない設計プロセスで短時間に決定できるようになる。これにより意思決定の迅速化が可能となり、性能向上だけでなくコスト最適化も期待できる。
なお、今回の成果の一部は、2026年6月3日から開催されている第31回計算工学講演会で発表されている。
今後両社は、このAIサロゲートモデルについて2026年12月までに「FUJITSU-MONAKA」検証機での実証を開始し、推論速度や電力効率のさらなる向上を目指す。また、タイヤ構造解析の適用範囲を拡大するとともに、専門知識がなくても設計者が直接利用できる設計開発支援ツールとしての開発を進め、ダンロップは2027年4月の実用開始を目指している。
ダンロップは、「ゴムから生み出す“新たな体験価値”をすべての人に提供し続ける」ことを目指し、今回の富士通との共創を通じて独自のゴム技術と解析技術をさらに進化させ、「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる」の実現を推進していくとしている。
一方、富士通は今回の取り組みを基に、自動車産業をはじめとする製造業への大規模FEM解析技術の横展開を推進する。今後は「FUJITSU-MONAKA」とGNN(グラフニューラルネットワーク)を組み合わせたAI推論プラットフォームの開発を進めるとともに、AIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」での提供を通じて、製造業における開発の効率化と省電力化を支援し、カーボンニュートラルの推進に貢献するとしている。













