【フォーミュラE】シーズン8 メルセデスEQのヴァンドーンがシリーズチャンピオンに

FIA ABBフォーミュラE選手権シーズン8の最終戦、ソウルE-Prixはヴェンチューリのエドアルド・モルタラが優勝し、シリーズチャンピオンはメルセデスEQのストフェル・ヴァンドーンが、そしてチームシリーズチャンピオンもメルセデスEQチームが獲得して終了した。

2022年8月14日韓国・ソウルで開催されたフォーミュラEシーズン8の最終戦は、前日の第15戦と同じ場所で開催。韓国・ソウルオリンピックスタジアムに設置された特設コースと、周辺の一般道、駐車場を使って開催。

ヴァンドーンがシーズン8のチャンピオンとなった

この日の最終戦ではシリーズチャンピオンがトップのメルセデスEQのストフェル・ヴァンドーンと2位ジャガーTCSのミッチ・エバンスの二人に絞られていた。ヴァンドーンとエバンスの得点差は21点で、優勝が25点のためエバンスが逆転チャンピオンになるには、優勝しかなかった。さらにヴァンドーンが7位以下という条件付きのため、エバンスにとってはかなり厳しい状況ではあるものの、荒れたレース展開の多いフォーミュラEでは必ずしも絶望的とは言えない。

もう一つ最終戦でのトピックは国内のスーパーGTで走るサッシャ・フェネストラズ選手が急遽参戦したのだ。サッシャはジャガーチームのリザーブドライバーとして登録していたが、ドラゴン・ペンスキーのジョビナッチが怪我のため不参加。その代役に抜擢されたということだ。

サッシャはフォーミュラEのレースは初体験であり、しかもライバル達は前日に第15戦で走行もしているため、サッシャの初参戦としては大きなハンデとなった。

レースは終始モルタラが引っ張る展開で速さを見せた

予選

さて、グループ予選Aではモルタラ、ヴァンドーン、ロビン・フラインス(エンビジョン・アウディパワートレイン)ルーカス・ディ・グラッシ(ロキット・ベンチューリ・メルセデスパワートレイン)がデュエルスに進出。ヴァンドーンもきっちり上位スタートのポジションを獲得している。

グループBはジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ・BMWパワートレイン)、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチータ・DSパワートレイン)、ジャン・エリック・ヴェルニュー(DSテチータ)、ダン・ティクトム(NIO)が初デュエルスに進出した。

そしてチャンピオンを争うエバンスがなんとグループ予選敗退で予選7列目からのスタートという背水の陣となってしまった。他、日産のブエミが10番手、ギュンターが5番手でデュエルスには進出できなかった。

デュエルスではダ・コスタがモルタラを破りポールポジションを獲得。2列目3位にデニス、そしてポイントリーダーのヴァンドーンが4番手からのスタートとなった。

有終の美を飾ったメルセデスEQ

決勝はスタート直後の1コーナーはクリーンに通過するものの、つづく2コーナーではトップ4台の通過以降のグループが3ワイドでコーナーに侵入したため、行き場を失うマシンが続出。多重追突が発生した。

直後にSC(セーフティカー)となり、マシンの回収を終えて再開。順位はモルタラ、デニス、ダ・コスタ、ヴァンドーンという順に入れ替わり、エバンスは13位のスタートから10位にまで順位を上げていた。

最終戦のアッタクモードは4分間2回の使用義務だったが、アクティベートゾーンがストレート上にあったため、大きな順位変動もなく、落ち着いたレース展開でラップを重ねている。15分経過時点でヴァンドーンは4番手と変わりないが、エバンスはじわりと順位を上げ9位。ぶっつけ本番となったサッシャも14位にまで順位を上げている。

残り21分ごろに日産ギュンターのマシンが接触しマシンストップ。マシン回収のため再びSCが入り、結局6分45秒のアディショナルタイムが加算されることになった。そして残り13分45秒からレースが再開するものの、ダ・コスタがデニスとのバトルで接触し、2番手を走るデニスに5秒のペナルティが加算。

そのため4番手を走行していたヴァンドーンは無理なく2位に浮上して、最終局面を迎えた。エバンスもしぶとく順位を7番手にまであげているものの、厳しい状況は変わらない。アディショナルタイムに入って各マシンとも電池残量も十分で、順調に周回を重ね、モルタラが今季4勝目を挙げ、2位にヴァンドーンという、メルセデスにとって完璧なシナリオのレースとなった。

最終戦はモルタラが勝利

レース結果は優勝モルタラ、2位ヴァンドーン、3位デニスとなり、シリーズチャンピオンはヴァンドーンが獲得。チームチャンピオンもメルセデスEQで2位もメルセデス・パワートレインを使用するヴェンチューリで、2年連続メルセデスがシリーズ・チャンピオンに輝いた。

初参戦の昨年、ニック・デ・フリースがチャンピオンになり、今年はチームメイトのヴァンドーンがチャンピオンというメルセデスの強さを見せる結果だ。そしてメルセデスEQチームは今季限りで完全撤退する。

左)チャンピオンのストフェル・ヴァンドーン、中央)チームプリンシパルのイアン・ジェームス、右)昨季チャンピオンのニック・デ・フリース

Gen3マシンになるシーズン9はチーム編成も要注目!

来季は既に撤退はしていたもののパワートレインの供給を行なっていたBMW、アウディも完全撤退となっており、来季のチーム編成がどうなるのか興味深い。

現在のところGen3マシンに切り替わり新体制で臨むのは、メルセデスEQチームがそのままマクラーレンチームとなり、パワートレインは日産が供給するとしている。そしてメルセデスパワートレインを使用していたヴェンチューリは来季からマセラティにスイッチする。

結局ドイツ勢のワークス参加で盛り上がりを見せたGen2だったが、Gen3で参戦するドイツ勢はポルシェとZFだけになった。ZFは現在のところマヒンドラへの継続供給と予想され、DSテチータも変更はなさそうだ。またアウディは撤退するもののアプトが参戦するということで、VW系の開発はアプトにシフトするのかもしれない。

BMWを使用していたアンドレッティ、アウディを使用していたエンビジョンチームの状況は発表されておらず、動向が気になるところ。またドライバーの移籍も活発に行われる様子で、今季からの変更なしはジャガーのサム・バードとミッチ・エバンスは変更なし。それ以外は変更されるということで、大きなオフシーズンになるのは間違いない。

そして、350kWに出力アップされたGen3マシンにリニューアルされるシーズン9にも興味は尽きない。

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