新型ヤリス 走るためのコンパクト試乗記(FF 1.5Lハイブリッド)

新型ヤリスの試乗は2019年12月以来で、この時は発売前のプロトタイプをサーキット走行でのテストだった。今回試乗できたのは、既販車で1.5Lハイブリッドの「G」グレード。FFの2WDモデルを高速、ワインディング、市街地で試乗してみた。

新型ヤリスGグレード。1.5Lハイブリッド。車両本体価格213万円(税込)

関連記事:トヨタ 常識破りの設計で生まれた「ヤリス」の注目ポイント 第1弾

スポーティドライビング

これまでもお伝えしてきているが、トヨタはヴィッツからヤリスに車名を変更するとともに、コンセプトも変更している。それはドライビングの楽しさを前面に打ち出していることが注目のポイントだ。「走ることが楽しくなる真の軽快感」とトヨタが言っているのだから、その楽しさを味わってみたい。

目指すワインディングへのルートで、スタートは高速道路を利用。高速道路に乗って最初に感じるのはロードノイズだった。ハイブリッドモデルなので、ある程度の静粛性には期待をするが、そこまで静かではなく路面のザラザラ音が入り、クラスレベルという印象だ。

直進の安定性は高い。コンパクトでホイールベースも短いのにビシッと締まった安定性を感じる。このあたりは流石に注力した部分なのだろうと想像できる。

これまでのヴィッツやアクアとの系譜が残されたフロントフェイス

高速から一般道へ降りて感じるのは、ハンドルの軽さだった。高速走行ではまったく気にならず、程よい手応えを感じていたが、市街地走行では非常に軽い。女性を意識したものなのか、もう少し手応えがあってもいい気がする。一方、高速ではロードノイズが気になったが市街地では、とても静かでなめらかに走る。だが、若干サスペンションは硬めな印象だ。微低速域の入力がもう少ししなやかであればと思った。

ワインディングへと続く道では本領が発揮された。ハンドルの手応えも良く、操舵フィールの軽さは車速に応じての味付けであったことがわかる。手応えを感じながらステアしていくと思い通りのライントレースをする。そしてコーナリング中にアクセルを開けたり、あるいはブレーキを踏んでも旋回方向がぶれずに、ハンドルを切った方向に曲がっていく。

B、Cピラーが太くボディ剛性の高さが伝わってくる。リヤに向けて絞り込むデザインはフロント優先のデザイン

欧州で戦うモデル

当たり前のようだが、アクセルを踏めば外側へ膨らみ、ブレーキを踏めばイン側へノーズが向く味付けのモデルも一方では存在するのも事実だ。しかし欧州車のほとんどが今回のヤリスのように、アクセルやブレーキに影響されず操舵方向優先のクルマ造りになっているのだ。

走ることに重点を置き、欧州マーケットも強く意識しているモデルということが、こうした味付けからも感じ取れる。

さらに、車両の重心が低い位置にあることも感じられる。試乗車はハイブリッドのFFで、これは気にしてみると、高速道路やワインディングだけでなく市街地走行でも低重心であることが感じられるのだ。それにより安定感も得られるのでプラスな要素だと思う。

プロトタイプでサーキット試乗した時は、NAモデルの軽快感が印象に残り、ハイブリッドは床下の重さを感じていたことを覚えている。だからといって鈍重という意味ではなく相対比較での話だ。今回のようにハイブリッドでも軽快に走るし、回頭性の高さもあった。

またワインディングをスポーティドライブしたときの乗り心地は、サスペンションの硬さは気にならず、逆に足がよく動いているという印象を持った。さらにロールも少なくキビキビと回頭する気持ちよさが印象的だった。

スポーツモードを選択してワインディングを走行したとき、それなりにエンジン音が室内に入るが、音質は今ひとつ。気持ちの良い音とは言い難くエコカーが頑張っているイメージなので、改良されると気分も上がるだろう。

1.5Lハイブリッド。十分満足できるレベルでスポーティに走らせられ、環境性能も高い

走りにこだわるBセグメントモデル

さて、ヤリスがカテゴライズされるBセグメントにおいて、求められる要件は、ユーティリティと燃費の項目が重視されてきた。キャビンスペースを可能な限り広くするためにFFが必須で、可能な限りエンジンルームを小さくする。そして運転席はアップライトな姿勢にして後席のスペースを確保、ラゲッジルームの広さを確保するという技法で作られてきた。

唯一マツダ2(デミオ)だけはスタイル、デザインを優先し、狭いキャビンにはなるがロングノーズにしたという思い切りのあるクルマ造りは例外的だ。しかし、今回のヤリスもキャビンスペースが多少狭くなってでもドライビングポジションがスポーティな姿勢になるようなクルマづくりをしているのだ。

だからシートに座ってみるとアップライトな姿勢ではなく、足を投げ出すとまではいかないが前方に置く姿勢で座れる。ヒップポイントも比較的低く、欧州車であればポロやルーテシアより低く感じる。ただ、ボディの剛性ははっきりと感じられているものの、シート剛性なのか、車体との一体感がもう少しはっきり掴みたいという印象を持った。
DSC02425.JPG
モデルは158cm。先代ヴィッツより少し後席のスペースは狭くなった。また太いC
ピラーで若干の閉塞感がある

黒豆デザイン

デザインの初期段階では、黒豆をイメージしたという。小さく、おいしく、面がふくよかで艶があるという意味だそうだ。完成したヤリスのファーストインプレッションはそこまで黒豆感は得られなかったが、ワインディングを走った後に再度、スタイルを眺めていると、黒豆の意味が少しわかったような気がした。

小さく塊感のあるデザインで走りをイメージできるシルエット

そして、デザインキーワードは「B-ダッシュ」とした。 Bold=大胆、Brisk=活発、Boost=加速、Beauty=美、Bullet=弾丸を意味しており、ヤリスのデザインに込めたイメージだ。

そうした開発背景を踏まえエクステリアデザインを眺めてみると、多彩なラインを持っていることがわかる。リヤサイドウインドウから前に向かって下がっていくデザインで、前傾姿勢に見え、いかにも走りの瞬発がイメージできる。そしてリヤドア中央から前に向かって上向きのラインがあり上下で引き締めている。

大きな開口部は存在感がある。アクアやこれまでのヴィッツの流れは途切れていない顔立ち

フロントマスクは、顔を強調するように両サイドから絞り込み、押し出す造形と大型グリルは可愛いいではなく戦闘モードのような険しさすら感じる。リヤフェンダーの膨らみは力強さをイメージさせ、リヤハッチはサイドに広がり踏ん張り感が表現されている。

インテリアの造形はインパネ断面を薄くし、すっきり見せている。一方でインパネ上部と下部をアーチ形状を逆にして視覚的な立体感がある。また複雑な造形を入れることでクラスを超えるような上質感の視覚的演出がされているインテリアという印象だ。

Gグレードのインテリア。視覚的演出で上質に見える

装着されるステアリングは、クラスを超えるレベルの装備に感じた。上級クラスの質感のあるハンドルが装備され、またACCなどの装備もされていたため、さらに上級な印象を受けたのだろう。

2020年秋にはGRヤリスもデビューする。こちらは純粋にスポーツカーの位置づけでデビューする。WRCをはじめレースに参戦するベースモデルも兼ねるグレードがあり、ヤリスイコール走りへとイメージチェンジしていた。ちなみに今回のテスト試乗での燃費は30.0km/Lを記録している。

情報では、カタログ値の36.0km/Lを軽く上回る40km/L台を記録したという話も聞き、ハイブリッドモデルの実用燃費は相当にいい。特にモーターの使い方が積極的になり、新開発されたIGBTの効果が大きいと想像できる。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

いろんな情報が表示される2眼式メーターだが、もう少しスポーティにしてもいいと感じる

試乗車主要諸元

全長3940mm、全幅1695mm、全高1470mm、ホイールベース2550mm
エンジン:1.5L 4気筒ガソリンハイブリッド
駆動方式:FF

価格

ヤリス ハイブリッドG 213万円(税込)
オプション込み289万5600円(税込)
オプション合計76万5600円(税込)
●ボディカラー:ブラック×コーラルクリスタルシャイン7万7000円
●18インチタイヤ&アルミホイール5万9400
●コンフォートシートセット:5万1700円
●ヘッドランプ類+リヤコンビネーションランプ8万2500円
●ブラインドスポットモニター(BMS)10万100円
●トヨタチームメイトアドバンストパークモニター付き7万7000円
●アクセサリーコンセント(AC100V)4万4000円
●T-コネクトナビキット11万円
●TV+Apple CarPlay+Android Auto3万3000円
●ドライブレコーダー6万3250円
●ETC2.0ユニット3万3000円
●トノカバー1万1000円
●フロアマット2万3650円


The Mortor Weekly

ページのトップに戻る