トヨタ ダイハツの完全子会社化の狙いはなんだ? ニュース深読み

雑誌に載らない話vol132

トヨタ ダイハツ 完全子会社化
豊田章男社長と三井正則社長

2016年1月29日、トヨタは連結子会社のダイハツと株式交換を行い、2016年8月までにダイハツの完全子会社化に合意したニュースは既報だが、その狙いを探ってみた。

2社間の背景について、まずダイハツは、1967年にトヨタと業務提携を結び、その後1998年にトヨタがダイハツの株式を51.19%と過半数取得して連結子会社化している。その結果、トヨタ車に搭載されているガソリンエンジンでは、1.0LのKR型、1.3LのNR型、1.3L/1.5LのSZ型、2.7LのTR型、ディーゼルでは3.0LのKD型、3.7L/4.1LのB型などの開発、製造をダイハツが担当。一方、車輌ではプロボックス、パッソ、bB、シエンタなどを共同開発、受託生産を行なっている。

したがって、従来からトヨタとダイハツは事実上、一体化してクルマの開発、生産しており、これらの分野では切っても切れない関係が構築されている。しかし、2015年に開発子会社の本社復帰、ブレーキ技術をグループ内のアドヴィックスへの集約、商用ディーゼルの開発・生産を豊田自動織機へ集約、マニュアル・トランスミッションをアイシン・エーアイへの集約、ミニバン、商用車をトヨタ車体への集約など、次々に行ないグループ企業の役割分担を再編している。

またメーカー同士の業務提ではマツダと新たな業務提携を結んでいる。そして、その次のステップとして2015年秋にダイハツの完全子会社化の検討がスタートしたのだ。

トヨタ ダイハツ 完全子会社化

では今回の完全子会社化は何を目指しているのだろうか? まずはBセグメント以下の小型車の開発技術やノウハウ、事業基盤を完全に融合させ、両ブランドの特色を活かした魅力的でグローバルに競争力のある商品を展開することだという。つまり従来はエンジンや車両のプロジェクトごとに役割分担をしてきたが、今後はより密接なグローバル戦略や、車輌開発の企画構想レベルから一体化を図るということだ。

そのため技術戦略を初期構想の段階から共有し、トヨタは環境・安全・快適技術面での技術開発を主に担当し、ダイハツは小型車のパッケージング、 低コスト技術、低燃費技術、先進技術の低コスト化・コンパクト化を担当するとしている。

トヨタ ダイハツ 完全子会社化

そして、国内販売ではトヨタの販売ノウハウやインフラも相互活用し、ダイハツのブランド力向上と 収益力の両立を図ると同時に、海外、特に新興国で、それぞれの事業基盤を活用し、ダイハツが主体となって、開発・調達・生産といったモノづくりをスピーディかつ効率的に行なうとしている。

セニア
ダイハツがインドネシアで生産しているアジアカー「セニア」

ダイハツは、現在インドネシア、マレーシアで大きな市場を確保しているが、そうした市場でのトヨタ・ブランドとの棲み分けの明確化と、他の新興国での2ブランドによる市場の開拓などが推進されると見られる。

トヨタはダイハツを完全子会社化するものの、ダイハツ・ブランドは存続する。記者会見では豊田社長、三井社長はBMWとMINIのような関係を目指すと表現されたが、ルノー・グループにおけるルノー本社とダチア、または日産における日産・ブランドとダットサン・ブランドの関係に近い。つまり、新興国市場においてトヨタ・ブランドと、より小型・低価格のダイハツ・ブランドという2本立ての戦略が思い描かれていると考えるのが妥当だろう。

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