スバル「レヴォーグ」の変遷 シリーズ1 25年目のフルモデルチェンジ 初代レヴォーグ誕生(Aタイプ)

レヴォーグ Aタイプ2014-2015

レヴォーグは2014年4月、スバルのGTツーリング コンセプトを具現化した日本市場専用のスポーティ ステーションワゴンとしてデビューした。それから6年を経て、いよいよ2020年秋に2代目レヴォーグが登場する。そこで、改めて初代レヴォーグの変遷をたどってみることにしよう。

2014年にデビューしたレヴォーグ「2.0GT-S アイサイト」

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レガシィを引き継ぐ新ブランド誕生

新型レヴォーグは2014年4月に発表され、6月に発売された。SUBARUはレヴォーグの登場まではレガシィ ツーリングワゴンがフラッグシップのポジションに位置していたが、レガシィはアメリカ市場での主力車種として急速に成長。そのためアメリカのインディアナ工場で生産されるようになった。また商品企画としてもアメリカ市場からの要求を積極的に採り入れる必要が出てきた背景がある。

そのためレガシィはボディサイズなども含め、日本市場に最適とはいえなくなってきた。そこでスバルは日本市場に合わせたボディサイズで、スバルが目指す「GT」と呼ぶにふさわしい走りの性能を備えたステーションワゴン(スポーツツアラー)の新たなブランドとしてレヴォーグを開発した。

新生レヴォーグのキャッチフレーズは「25年目のフルモデルチェンジ」であった。これは25年前にデビューした初代レガシィの生まれ変わりを意味していたのだ。

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技術のフラッグシップモデル

初代レヴォーグのボディサイズは全長4690mm、全幅1780mm、全高1485mm、ホイールベース2650mmで、1世代前の4代目レガシィ(BP型)とほとんど同サイズだ。それでいてラゲッジ容量は当時のレガシィ(BR型)を上回る522Lを実現し、優れたパッケージングを実現していた。

さらにレヴォーグは、スバルの技術的なフラッグシップという新たな役割も与えられている。その証として、当時の最新の知見を投入し、後にSGP(スバル グローバル プラットフォーム)となる高剛性のボディ骨格構造を採用。

後に登場する新世代プラットフォーム技術を先取りしたレヴォーグのボディ骨格

ステレオカメラのカラー画像化、認識距離、認識角度の拡大といった要素を盛り込むことで自動緊急ブレーキ性能を向上させただけでなく、アクティブレーンキープなど新機能を実現したアイサイトver3を採用している。

アイサイトver3への進化

またエンジンも、最新の直噴システムを採用したFA20型DITターボ、FA16型DITターボを新開発して搭載している。レギュラーガソリンを使用するFA16型DITは圧縮比11.0という高圧縮比で、走りと燃費性能を両立。一方のFA20型DITは300ps/400Nmのハイパワーを発生するスポーツ エンジンとして仕上げられていた。

AWDシステムは、1.6Lモデルが油圧多板クラッチ制御のアクティブトルクスプリット式、2.0Lモデルは遊星ギヤ式センターデフのVTD式を採用。また全モデルがアクティブ トルクベクタリングを標準装備している。

アクティブトルクスプリット方式=ACT4(アクトフォー)とは

前後の駆動トルク配分の基本は60:40で、センターデフの代わりに電子制御油圧多板クラッチを採用。走行状態に合わせて前後トルク配分を可変制御する機能を備えている。走行状態に合わせ油圧多板クラッチの締結力をコントロールし、滑りやすい路面ではクラッチはロック状態になり50:50の配分になる。

CVT油圧を利用し多板クラッチを制御するアクティブトルクスプリットAWD

また、このACT4は制御を変えることでさまざまな性格の車種に展開できる特徴があり、悪路走破が想定されるフォレスターでは、発進時のトラクション性能を向上させ、スタックの状況での脱出性能を上げている。また、ブレーキLSD機能を盛り込んだXモードも追加し、片輪が空転するような状態でも走破することができる能力を持っている。

VTD方式とは

2.0Lエンジン搭載モデルにはVTD方式が組み合わされ、VTDとは、電子制御センターデフ式のユニットで、前後の駆動トルク配分の基本は遊星ギヤの組み合わせにより45:55としながら、前後可変トルク配分が可能。300psのレヴォーグ2.0、WRX S4などの高出力モデルに採用している。複合遊星ギヤ(プラネタリーギヤ。位置はトランスミッション直後に設置)と電子制御油圧多板クラッチを組み合わせたセンターデフ式となっている。

赤色部分が電子制御VTD-AWDセンターデフ

差動はプラネタリーギヤによる減速を利用し、コーナリング時に前輪のトルク配分を少なくすることで、前輪の横グリップ力を確保し、コーナリング性能を重視しているのが特徴。

ファンのハートをガッチリ

デザインも、その後のスバルのデザインのベースとなる「ダイナミック×ソリッド」を具現化している。またエクステリア、インテリアの質感、静粛性なども従来の常識を破る高いレベルに高めている。

ボディカラーは、新色のスティールブルーグレー メタリック、クリスタルホワイト パール(有料色)、アイスシルバー メタリック、ダークグレー メタリック、クリスタルブラック シリカ、ライトニングレッド、ギャラクシィブルー シリカの全7色が設定された。

このようにしてデビューしたレヴォーグのラインアップは、1.6GT、1.6GTアイサイト、1.6GT-Sアイサイト、2.0GTアイサイト、2.0GT-Sアイサイトの5車種となっていた。

GT-Sモデルにはビルシュタイン製の倒立式ダンパーを装備するなどスバル ファンのハートをがっちり掴むモデルもラインアップしているあたりがポイントだ。なお実際の販売面では、80%が1.6Lモデルとなっていた。

このように1.6Lモデルが好評なため、レヴォーグの初年度モデル(Aタイプ)で、2014年12月に、特別仕様車「1.6GT アイサイト Sスタイル」が追加設定されている。

特別仕様車「「1.6GT アイサイト Sスタイル」

このモデルは18インチアルミホイール、LEDロービーム+ハロゲンハイビームヘッドランプ、運転席8ウェイパワーシートなど、上級グレード用の装備を追加しながら、買い得価格に設定した特別モデルとなっていた。

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