軽自動車のミツビシ・eKスペース/カスタムは発売から1年2か月が経ち、2015年4月にフェイスリフトが行なわれた。エクステリアでは、標準モデル、カスタムに「2トーンスタイル」を新設定した。また自然吸気エンジン、ターボエンジン車ともに燃費をさらに向上させている。<レポート:松本 晴比古/Haruhiko Matsumoto>
eKスペース系は2014年12月に低車速域衝突被害軽減ブレーキ「e-Assist」搭載車が追加されているが、今回のフェイスリフトでは、さらに燃費とデザイン面で魅力アップを図ったことになる。
2トーンスタイル(+5万4000円~9万1800円)は、ボディカラーとルーフ、ドアミラーを塗り分けたタイプで、ルーフカラーは標準モデルがパールホワイト、カスタムモデルはブラックマイカという設定だ。これまでの、もっとおしゃれに、個性的にというユーザーからの要望を取り入れた形となる。
実際、地方都市の大型スーパーの駐車場などでは多種多様な軽ハイトワゴン、スーパーハイトワゴンが並んでいるのが特徴で、こうしたカテゴリーの軽自動車は少し離れてボディフォルムを見るとどうしてもよく似ている。オーナーにとっては、もっと個性的なエクステリアにしたいという要望は当然といえるわけだ。
燃費向上のために採用された技術は、自然吸気エンジンはアイドリングストップ機能で減速から停止までのゴーストストップ域を9km/hから13km/hに拡大することで、JC08モード燃料消費率を0.2km/L向上。ターボエンジンはアイドリングストップ機能を新採用し、2WD、4WDとも燃費を1.8km/L向上させ、カスタムT 2WDでは24.0km/Lとしている。向上分はそう多くはないが、これにより、カスタムT 4WDを除く全車が2020年度燃費基準を達成したことになり、全車がエコカー減税の対象となった。
今回の試乗は、NAエンジン「G」、ターボエンジン車「カスタムT」ともに2トーンスタイル・モデルだ。まずはカスタムTのステアリングを握る。
市街地で走り出すと、交差点の赤信号で新たに装備されたアイドリングストップが作動するが、停止寸前でのエンジンストップ、再始動の条件も自然で違和感はない。ターボエンジンの加速感もしっかりしている。<次ページへ>
eKスペースというクルマ全体に言えることだが、乗り心地の良さ、路面の当たりのマイルドさはトップレベルだ。純正装着しているタイヤの特性、指定空気圧も程よく、サスペンションの設定も乗り心地を重視していると思う。
ただその半面でステアリングを、ダブルレーンチェンジ的に早めに切った場合のロール感はやや大きめとなる。これはNAエンジン車でも同様の傾向で、乗り心地は良いが操舵の速度が速いと車体の動きはグラッと感じやすい。この辺りは女性ユーザーが多いことを前提に乗り心地に振った影響といえそうだ。
当然のことだが、NAエンジンモデルは加速のフィーリングはかなり異なる。市街地走行での緩加速、追い越し加速、といったシーンでは、アクセルペダルの踏込量と加速感は一致しないので、運転感覚はちょっと慣れが必要だ。シフトセレクターには動力性能を高めるための「Sモード」のスイッチがあり、これをオンにすると確かにエンジン回転数が高まり、よりエンジンを引っ張って変速する。しかし加速フィーリングとしては、やはりアクセルペダルの踏込量とは比例しないという特徴はそのままだ。
eKスペースは乗り心地の良さ、装備、特に室内の空気を強制循環させるリヤ・サーキュレーター、リヤビューモニター付きルームミラー(いずれもGクレードに標準装備)、インテリアの質感などはスーパーハイトワゴンのカテゴリーではトップレベルにある。ターゲットユーザーの女性層には、運転支援システムの「e-Assist」やユーザーフレンドリーな装備や仕上げは評価すべきところといえよう。