三菱自動車は2019年10月23日、東京モーターショーでスモールサイズの電動SUVコンセプトカー「MI-TECH(マイテック)コンセプト」と、軽コンセプトカー「スーパーハイト K-ワゴン コンセプト」を世界初披露した。
三菱の電動化戦略
プレス・カンファレンスで、加藤隆雄CEO、グプタ・アシュワニCOOが登壇し、電動車戦略について、「当社は電動化技術、特にPHEV を得意としており、これからもPHEVカテゴリーをリードすべく、さらなるバリエーションの拡充を推進し、アライアンスにおける多様な電動化技術を活用することで、電動車のラインアップを拡充します。具体的には2022 年までにミッドサイズSUV、コンパクトSUVに、いずれかの電動化技術を採用した新型車を投入する計画です」と語った。
次期型アウトランダーは日産エクストレイルと共通プラットフォーム化することなども計画されている。
MI-TECHコンセプト
光と風を感じながら大地を駆け抜ける電動SUVをコンセプトに開発され、軽量・小型化した新しいPHEVシステム、4モーター方式の電動4WDシステム、先進の運転支援技術や予防安全技術をスモールサイズのSUVに凝縮したコンセプトカーだ。
デザインは、活動的なバギータイプのデザインで、2座席スポーツカー的なSUVとしている。ボディカラーはライトブルーメタリックとし、モーターのコイルをモチーフとした銅色の差し色を、グリル、ホイール内部、インテリアの各所に採用し、電動車としての先進性を表現している。
ボディサイドは大きく張り出したオーバーフェンダーと大径タイヤによって、本格SUVとしての力強さと機動力の高さを表現している。金属のインゴットを切削機械で切り出したようなボディは、重厚感とシャープさを表現し、切り出した面をサイドステップに利用することで、デザインと実用性を両立。
インテリアは、インスツルメントパネルを水平基調とし、ステアリングホイールと同様に銅色のラインを入れている。またインスツルメントパネル中央部には鍵盤タイプのスイッチを配置。一目見てすぐ機能が理解でき、触った際にしっかりとした操作感があるスイッチとしている。
またフロントウィンドウシールドにはクルマの挙動や地形の認知、最適なルート案内など、運転を支援する情報をAR技術を使用してグラフィカルに表示できるようになっている。さらに進化させた次世代の「マイパイロット」を搭載し、より高次元のドライバー支援が実現している。
カスタービン式PHEV
新しいPHEVシステムは、ガソリンエンジンに比べて軽量・小型なガスタービン・エンジンを発電用にリヤに搭載している。エンジンのダウンサイジング化が進んでいる中、新たな技術的な提案としてガスタービン式PHEVをスモールサイズのSUVに搭載した。なおリヤ上面の4個の穴は、ガスタービン・エンジンの吸気口である。
ガスタービン・エンジンはコンパクトなサイズで、しかも重量あたりの出力が大きく、排出ガスがクリーンであり、燃料はガソリンだけでなく軽油、灯油、アルコールなど様々な燃料が使用可能なため、燃料事情に違いがあるグローバルでの適合性が高いのも特長だ。
4モーター4WD
電動4WDシステムは、モーター2基で構成する「デュアルモーターAYC」を、フロントとリヤそれぞれに搭載した「Quad motor(クアッドモーター)4WDシステム」を採用している。この独自の4モーター方式の4WD に、三菱ならではの車両運動統合制御システム「S-AWC」を採用。
さらにブレーキキャリパーも電動化することで、4輪独立の駆動力・制動力を高応答・高精度で制御できる究極のS-AWCとなっている。そのため旋回性能とトラクション性能を大幅に向上させ、オフロードは片側のタイヤが空転するような場合でも、接地輪に駆動を伝えて走破することが可能。さらに左右のタイヤを逆回転させることで、戦車のようにその場で180 度回転できるなど、新感覚の走りが可能になっている。
スーパーハイトKワゴン コンセプト
名称、見た目もそのまま、軽自動車のスーパーハイトワゴン、つまり次期型eKスペースだ。コンセプトとはされているが、すでに開発の終盤となっているクルマだ。ライバルが多い中で、新世代のスーパーハイト軽ワゴンとして広々とした居住空間を実現。カテゴリーに求められる性能と機能を盛り込みながら、三菱らしいSUVテイストの「ダイナミックシールド」のフロント・デザインとしている。
展示車のボディカラーは、オリーブグリーンとホワイトの2トーン、ルーフレールはシルバーを採用。インテリアは後席の居住空間を最大化させ、クラス・トップレベルのリヤドア開口部と後席足元の空間を確保しているという。
もちろん、高速道路同一車線運転支援技術「マイパイロット」や、衝突被害軽減ブレーキシステム、踏み間違い衝突防止アシストなど「サポカーSワイド」に相当する予防安全技術を搭載している。なお発売は2020年3月頃が予定されている。
エンゲルベルク・ツアラー
エンゲルベルク・ツアラーは2019年のジュネーブ・モーターショーに出展されたが、日本では初公開となる。ツインモーター方式PHEVシステムを採用し、次世代の電動化技術と4輪制御技術を進化させた3列シートのSUVで、次期型アウトランダー/日産エクストレイルのベースモデルと噂されている。
大容量の駆動用バッテリーを車両中央フロア下に搭載。高出力・高効率モーターをフロントとリヤに搭載したツインモーター方式とし、さらにPHEVシステムの小型化とレイアウトの最適化により、より広い室内空間を確保し3列シートパッケージを実現している。
EVでの航続距離は70km以上(WLTP)とPHEVでトップレベルとし、満充電・燃料満タンの状態からの総航続距離は700km以上(WLTP)を目指している。
駆動方式はフロントとリヤにモーターを搭載する高出力・高効率のツインモーター方式のフルタイム4WDとし、前輪左右の駆動力配分をブレーキで制御するAYCを採用。さらに4輪のブレーキ制動力、前後モーター出力の制御(ABS+ASC)を統合制御して、走る・曲がる・止まるといった運動性能を飛躍的に高める車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」を採用している。